リユース市場は拡大を続け、その波はカー用品・バイク用品へも波及している。株式会社アップガレージグループは、カー用品・バイク用品のリユース市場で右肩上がりの成長を続ける注目企業だ。
アップガレージグループの代表取締役社長COOである河野映彦氏は、リユース事業を出発点として、自動車に関係するITソリューション事業を育て上げてきた実力派だ。河野社長は、どのような観点で会社を発展させてきたのか。まったくの異業種から参入したというその経歴や事業への思い、そして未来のビジョンを聞いた。
証券会社から自動車業界へ!業界を超えたリーダーとしての進化の軌跡
ーー河野社長の経歴をお聞かせください。
河野映彦:
弊社に入社する前は、「業界1位の会社で働きたい」という思いから野村證券で働いていました。野村證券での日々は想像以上に厳しく、目標設定が他社の倍程度に設定されていることを知ったときは本当に驚きました。ハイレベルなアウトプットにはそれ相応の努力が必要だったわけです。
そこからキャリアを変えたのは30歳手前のことでした。当時の私は受動的な働き方に疑問を持っており、ITを活用した能動的な働き方を模索していました。そんなとき「アップガレージでIT部門を始めてみないか」と声をかけてくれたのが弊社の創業者である石田誠氏だったのです。
こうして私は弊社に入社し、ECサイトの再構築やIT関連の子会社設立に携わることになりました。その後、これらの働きが評価され店舗運営を管轄している会社の社長に就任。そして弊社の取締役副社長を経て、2023年に代表取締役社長COOに就任しました。
ーー社長に就任してから大変だったこと、やりがいを感じたことを教えてください。
河野映彦:
まず大変なことは、上場企業ならではの株価を通じた客観的な評価が伴うことです。自分の頑張りと株価は必ずしも合致しません。独りよがりな努力ではなく、外部から評価される努力を続けねばならないのです。
やりがいを感じることは「カー用品のリユース」という事業そのものです。現在、多くの品目でリユースが浸透していますが、カー用品はまだ開拓が不十分です。近年のSDGsへの関心の高さも相まって、弊社の事業の社会的意義は今後も高まっていくでしょう。
カー用品のリユースを出発点に、新たな価値の開拓を続ける
ーー貴社の事業内容を教えてください。
河野映彦:
弊社のメイン事業はカー用品・バイク用品のリユース販売です。販売店には直営店とフランチャイズ店の2種類があり、フランチャイズ店でも直営店に負けないような品質の高いサービスを提供できるように心がけています。
また、自動車関連会社向けのDX提案やECサイト構築、受発注プラットフォームの開発といったITソリューション事業も行っています。
弊社は創業期からIT投資を続けてきた歴史があり、フランチャイズ店におけるシステムの試験も続けてきました。自動車業界の内部からITソリューションを生み出すことで、業務に本当に求められるサービスを生み出し続けています。
ーー貴社の社風についてもお聞かせください。
河野映彦:
弊社には社員同士の仲間意識が強く、皆の力で新しい価値を生み出して行こうという社風があります。若き日の私は「1位」の世界に憧れていた部分もありましたが、弊社に来てから個人の力には限界があるのだと思い知りました。
また、弊社には社員全体で社会貢献に取り組むという文化が根付いています。創業者が重視していた「楽しむこと」というキーワードを基に、人が協力することで生まれる力を信じて日々事業に邁進しています。
ーー貴社独自の強みは何でしょうか?
河野映彦:
弊社の強みは、自ら変化を望む組織体質であることです。現状に満足することなく改善を続けており、ときには今あるものを捨ててでも変化を求める場合もあります。
変化を推し進める力になっているのが「IT」です。積極的なシステム投資やシステム内製化により継続的な業務効率を実現しています。
変化には費用もリスクも伴いますが、失敗を恐れずに進めていけばより良い結果が待っているものです。この「前に進もう」と思う体質こそが私たちの強みなのです。
拡大フェーズにある今、ビジョンの実現に必要なものとは
ーー今後、注力したいと思っているテーマを教えてください。
河野映彦:
新規取引先の開拓、採用の強化、そして海外展開の3点が注力すべきテーマです。
まず新規取引先については仕入先・販売先の拡大が課題です。小売店や卸売会社などとの信頼関係をコツコツ積み上げていき、着実に取引先を増やしていきたいと考えています。弊社が参加しているカーレースでの活躍も含めて、自動車への本気度をもっと認知してもらう必要があると感じています。
採用に関しては、新卒採用と中途採用のバランスを考慮しながら「会社の成長」にフォーカスしてくれる人材の確保が重要だと考えています。2026年入社は50人を目標としており、今後も積極的な採用を進めていく予定です。
そして海外展開では、車をカスタマイズする文化が根強いアメリカからスタートしたいと考えています。アメリカは日本車とのつながりが強く、経済もインフレ基調なので、大きな可能性があると感じています。
「変化と挑戦を恐れない人材」がこれからの成長のカギ
ーーこの記事の読者にメッセージをお願いします。
河野映彦:
弊社では変化を恐れず、挑戦し続ける人材を求めています。どうしたら地に足を付けたビジネスをしながら非連続的な成長を遂げることができるのか。この課題に共感いただける方に仲間になってもらいたいと思っています。
特に20代、30代の皆さんには、一緒に新しいことにチャレンジする仲間になってほしいですね。仕事の中で自分が成長できる機会も多いと思うので、ぜひ皆さんの力を貸してください。
編集後記
アップガレージグループはリユース事業をベースに、自動車業界に新たな価値を生み出し続けている。河野社長が注力し続けているIT投資はカー用品のリユース市場をどう開拓していくのか、挑戦の行く末が非常に楽しみだ。
河野映彦/1981年生まれ、東京都出身。明治大学卒業後に野村證券に入社。2012年に株式会社アップガレージグループに入社すると、社長室長、事業本部長、子会社代表取締役社長、株式会社アップガレージグループ取締役副社長を経て、2023年に代表取締役社長COOに就任。