※本ページ内の情報は2024年12月時点のものです。

株式会社協同電子は、LED照明や電子機器の開発・製造などを手がけるメーカーだ。研究開発から製造、検査、梱包、出荷までをワンストップで提供し、多品種少量生産にも対応している。

製造一筋で歩んできたこれまでの経歴や、顧客の要望に応えた製品開発などについて、代表取締役社長の古澤誠也氏に話をうかがった。

現場で経験を積み、製造一筋で経営者へ。これまでの努力の成果を実感

ーーまず古澤社長の経歴についてお聞かせください。

古澤誠也:
大学卒業後に家業である弊社に入社し、製造現場でひとつの工程の作業に携わるところから始まりました。その後、製造部長となり、工場長へ昇進していきました。このように入社当初からこれまで製造部門一筋でここまで来ました。

弊社は製造が中心の会社ですので、経営の舵取りをする上でも製造のことを知らないと適切な判断ができません。そのため、一作業員から始まり現場で積み重ねてきた経験が、今の自分の役に立っていると実感しています。

また、製造部門に所属しながら、営業活動も行ってきました。弊社には営業が窓口となるお客様と、製造が直接窓口となるお客様があるため、お客様のところに伺い、直接お話しする機会も多くありました。

ーー印象に残っているエピソードを教えてください。

古澤誠也:
私は長年、弊社の基盤である工作機械の制御装置の製造に携わってきましたが、入社当時は生産台数は多くありませんでした。それから徐々に数を伸ばし、10年ほど前にはピーク時で月産1000台まで成長しました。

こうして目に見える形で会社の成長を実感でき、とても嬉しかったですね。もちろんこれはお客様の努力の賜物ですが、私たちがそれを支えてきたと自負しています。

多品種少量生産でお客様のニーズに合わせた製品を提供

ーー貴社の事業内容や活動について教えてください。

古澤誠也:
弊社は工作機械の制御装置のほか、電子基板の実装や電子機器の組み立て、LEDを搭載した高輝度照明の製造なども行っています。その中で研究開発から製造、検査、梱包、出荷まで一貫した体制を整えているのが特徴です。中には毎月3~4万個を生産している製品もありますが、基本的には100個前後の小ロットが中心です。

弊社のLED照明は、過酷な環境下でも使用できるのが特徴です。その一例が、業務用スチームコンベックスオーブンの内部に取り付けるLED照明です。これは、お客様から「市販品では壊れてしまうので、高温に耐えられる照明をつくってほしい」と相談を受け、開発しました。

このようにまずお客様の困りごとを聞き、その課題を解消する製品開発を行えるのが弊社、そして中小企業ならではの強みだと思います。

会社を経営する上で一番大切にしているのはお客様と従業員

ーー経営者としてどのような点を意識していますか。

古澤誠也:
私たちの仕事ができているのは、お客様あってのことだと肝に銘じています。まずはお客様にご迷惑をおかけしないことを前提とし、納期をしっかり守り、品質を保つことを心がけています。そして、会社の原動力である従業員も大切にし、経営者として彼らの生活を守ることを重視しています。

なお、今後は製造部分の受注よりも、設計・開発からワンストップで提供する仕事を増やしていきたいですね。こうして上流部分から携わることで、利益率アップを目指していきます。

ーー社内の雰囲気づくりで心がけていることをお聞かせください。

古澤誠也:
大切にしているのは、挨拶をすることです。特に上の人間が率先して挨拶をする文化を育てるため、すれ違ったときには必ずこちらから挨拶するよう心がけています。

週に1回は私が各部署を巡回し、気になることを各所属長にフィードバックするようにしています。

また、各部署で少人数のグループをつくり、各自が感じた改善点を聞き取る改善活動を行っています。生産現場での作業の効率化や、品質改善に対する提案など、一人ひとりの意見を吸い上げ、業務の改善に活かしています。

ーー貴社ならではの福利厚生制度について教えていただけますか。

古澤誠也:
弊社では従業員のお子さんが学生生活を終えるまでは、子ども手当を支給しています。大学に進学された場合は、大学を卒業するまで継続的に一定額を支給しています。

私にも子どもがいるからこそ、子どもを育てるには何かとお金がかかることを実感しているんですよ。そのため、子育て世代の金銭的な負担を少しでも軽減するため、支援を手厚くしています。

また、従業員に学びの場を提供しようと、昨年から通信教育の受講を促しています。英語学習やデータ分析、マネジメントなど、業務に直結したものからそれ以外のものまで、幅広い講座があります。このように、社員が興味のある分野を選んで学べる環境を整えています。

自然光を再現するLED照明の開発で広がる可能性

ーー今後の展望についてお聞かせください。

古澤誠也:
現在開発を進めている、自然光を再現したLED照明の実用化を目指しています。この照明は、さまざまな場面での活用が期待されています。たとえば、自然光を浴びることで体内時計を調整でき、乱れた生活サイクルを正常に戻す効果があります。

また、集中力を向上させる効果もあるため、オフィスや学校、図書館、スポーツジムなどでの活用を想定しています。さらに、自然光で食品や絵画をより魅力的に見せるなど、あらゆる活用方法があるんですよ。

まだ開発段階ですが、展示会などで多くの方のご意見をいただきながら、商品化を進めていきたいと考えています。

そして、従業員が安心して働ける会社であり続けるために、経営基盤の強化にも注力していきたいです。景気変動や災害など予期せぬ事態にも揺るがない強固な体制を築き、持続的な成長を目指していきます。

編集後記

製造一筋で技術を磨き続け、現場で培った経験やスキルを経営にも活かしてきた古澤社長。インタビューからも、ものづくりに対する情熱や、お客様のニーズに対応できる技術力の高さに対する自信を感じた。日光を再現したLED開発など、新たな挑戦を続ける株式会社協同電子の今後に期待だ。

古澤誠也/1979年愛知県生まれ。中京大学卒業。2002年に株式会社協同電子に入社し、2022年に代表取締役社長に就任。