Bleaf株式会社は、アパレルのサプライヤーとECを結びつけ、新たな流通の仕組みをつくり出している企業だ。支援事業と小売事業の2本柱で、アパレル業界において独自の存在感を放っている。コロナ禍をきっかけに急成長を遂げ、現在は60億円規模の流通額にまで成長した同社。上場を視野に入れ、さらなる飛躍を目指す同社の戦略と展望について、代表取締役の大場正之氏にうかがった。
ECサイト運営の経験を活かし、卸向けサービスの立ち上げに挑戦
ーー創業のきっかけについて教えてください。
大場正之:
私は新卒で大手のECサイト運営会社に入社し、販売ページのディレクションを担当していました。その後、アパレルECに携わる中で、日本のサプライヤーの実態を知ることになります。東京の馬喰町にあるアパレル商品を取り扱う問屋街に行くと、問屋の多くが高齢者向けの地方商店街の店舗を相手にしており、ネットで販売するような若年層向けの商品が限られていると感じたのです。また、地方の商店街自体も衰退しつつあり、厳しい状況に置かれていました。
そこで、ECの力で何かできないかと考えるようになりました。家族もいましたが、人生で一度しかない大きな挑戦だと考え、面白そうなことに挑戦したいという気持ちが強くなり、2016年に起業を果たします。最初はECコンサルタントとして自分の生活費を稼ぎながら、同時進行でアパレル卸のECサイト「TOPWHOLE(トップホール)」というサービスをスタートさせました。
ーー事業が軌道に乗り始めたのはいつごろでしょうか?
大場正之:
本格的に事業が軌道に乗り始めたのは、2020年2月のコロナ禍が始まったタイミングです。それまでは「TOPWHOLE」が思うように成長せず、課題を感じていました。
そのような中で、問屋の商品をBtoBではなく、BtoCで販売したら流通が広がり、画期的なビジネスになるのではと考えました。そこで、問屋価格で誰もが買える究極のプチプライス商品を提供する「BONJOUR SAGAN(ボンジュールサガン)」というサービスを立ち上げたのです。コロナ禍で人々が店舗に行けなくなったことや、収入に不安を感じていたことで、私たちのサービスが注目されるようになりました。
また、実店舗向けの在庫を抱えていたサプライヤーたちが、私たちを通じて出品代行依頼したいというニーズともマッチングし、急速に事業が拡大しました。
独自の支援体制でサプライヤーの成長を加速
ーー現在の事業内容について詳しく教えてください。
大場正之:
現在、大きく2つの事業を展開しています。1つは「サプライパートナー支援事業」です。サプライヤーが弊社を通じて簡単に商品を販売できるように、インフルエンサーとマッチングしたり、商品撮影を代行したりしてサポートを行っています。
もう1つは「自社で在庫を持つ小売事業」です。これは、コンサルティングやノウハウの提供を行う上で非常に重要な事業です。
また、弊社は問屋街にオフィスを構えているので、サプライヤーの実態を理解しやすく、密なコミュニケーションがとれることが大きな特徴と言えます。彼らの悩みや要望に対して、的確なソリューションを提供し、信頼関係を構築することを心がけています。
ーー貴社の強みはどういったものでしょうか?
大場正之:
私たちの強みは、サプライヤーの目線に立って支援できることです。商品の販売をサポートするだけでなく、抱えている課題や悩みに対して、解決策を提案しています。たとえば、コロナ禍で苦境に立たされていたサプライヤーに対して、私たちのサービスを通じてオンライン販売の道を開き、業績回復や成長につなげた事例もあります。また、SNSマーケティングも重要な要素です。適切なインフルエンサーとコラボレーションすることで、商品の魅力を最大限に引き出し、新たな顧客層の開拓にも貢献しています。
このようなサポートを通じて、以前は卸売のみだった事業者が、直接消費者に販売するようになり、売上を伸ばしているケースも多々あります。サプライヤーの成功が私たちの成長にもつながるという好循環を生み出しているのです。
チーム一丸となって成長・挑戦し続ける企業を目指す
ーー今後の展望についてお聞かせください。
大場正之:
弊社が1番のKPI(重要業績評価指標)としているものは流通額です。現在は60億円弱ですが、3年後までに100億円まで伸ばすことを目標としています。この目標達成に向けて、新しい領域へも積極的に展開していきたいですね。たとえば、アパレル以外にもコスメやフード、ライフスタイルなど、さまざまなカテゴリーのサプライヤーに対してサービスを提供していきたいと考えています。
さらに、海外展開も視野に入れています。私たちのビジネスモデルは、サプライヤーやインフルエンサーの収益化支援という点で、世界共通のニーズがあると考えているので、両者を支援し、満足してもらえる母数を海外にも広げて増やすことが、自社の成長につながっていくでしょう。長期的には、スキルや経験がなくても、商売をしたい人が簡単に始められる仕組みを提供したいですね。相手のニーズに応えることを第一に考え、着実に成長していきたいと考えています。
ーー最後に、読者の方々へメッセージをお願いします。
大場正之:
弊社では、「自責思考」「利他の精神」「ワンチーム」という3つのクレド(信条)を掲げています。「自責思考」とは、周りで起こった出来事に対して全て自分の責任と捉え、成長につなげる姿勢のこと。「利他の精神」とは、お金は人からいただくものだという考えをもち、常に相手目線で考え行動することです。そして「ワンチーム」とは、個人の力には限界があるので、チームで大きな目標に挑戦するという姿勢です。
弊社は大きな転換期を迎えており、3年後の上場を目指して、管理体制の整備や新規事業の展開など、さまざまな挑戦を続けています。来年には本社を移転する予定なので、現在の2倍以上の広さのオフィスに移り、100人規模の社員を収容できるようになるでしょう。
私たちは、これらのクレドに共感し、ともに成長していける仲間を求めています。特に、新しいことに挑戦する意欲や柔軟性のある方、そしてチームで大きな目標を達成したいという思いを持つ方は大歓迎です。日本の流通の未来をともに築いていきましょう。
編集後記
大場社長の話からは、ECの力で売り手を活性化させ、新たな流通の仕組みをつくり出そうとする情熱が伝わってきた。サプライヤーとインフルエンサーの橋渡し役となるビジネスモデル、そして3つのクレドに基づく組織運営。これらの要素が融合し、わずか数年で流通額が60億円規模にまで成長した同社。3年後の上場を目指し、新本社への移転や新規事業の展開を進める姿に、躍動感を強く感じた。
大場正之/1984年、神奈川県生まれ。大学卒業後、大手ECサイト運営会社にてWEBディレクションを担当。その後、複数のECサイトの立ち上げに携わる。2016年、Bleaf株式会社を創業し、代表取締役に就任。