※本ページ内の情報は2025年1月時点のものです。

株式会社シャルレは、レディースインナーウェアを中心とした衣料品や化粧品、健康食品などを取り扱う会社だ。全国に展開されている代理店を通じて特約店に商品を卸し、特約店から、主に訪問販売形式で一般消費者に向けて商品を販売する「シャルレビジネス」を展開している。

創業家に生まれ、2021年に代表取締役社長に就任した林勝哉氏は、現在、50年近く続けてきたシャルレビジネスの事業構造改革に着手しているという。そんな同社の取り組みについて、林氏に詳しくお話をうかがった。

自社商品の訪問販売を軸に、お客さまの満足を追求する

ーーシャルレの事業内容について詳しく教えてください。

林勝哉:
弊社は1975年に、レディースインナーウェアの販売会社として創業しました。現在はレディースインナーウェアを中心にアウター類などを含む衣料品の他に化粧品、健康食品、生活雑貨など多岐にわたるジャンルの商品を取り扱っています。

弊社では、代理店を経由して二次卸先の特約店を通じて、弊社が「メイト」と呼ぶ消費者会員に訪問販売という形式で商品をお届けしています。お客さまのご自宅でフィッティングができるので、商品を納得していただいた上で購入いただけるため、大変ご好評をいただいています。

ーー貴社の事業や商品の強みはどのようなところですか。

林勝哉:
レディースインナーウェアに関しては、やはり着心地の良さにこだわった商品開発をしているところです。昨年、当社独自の特許技術を用いた補整下着「シャルレミライ」を発売しましたが、締め付け感がなく楽に着られる上、背中やお腹もすっきり見せられるとお喜びの声をいただきました。

また、お客さまのご自宅を訪問して丁寧にお話を伺い、フィッティングや商品のご提案を行うことで、お客さまの満足度が高められることも弊社の強みと言えるでしょう。自宅に訪問されるのに抵抗があるお客さまには、代理店やビジネスメンバーが試着会場を用意して商品をご覧頂いたり、通信販売で弊社から直接商品を購入できる「ダイレクトサービス」をご案内することもあります。

時代の変化を見据え事業改革に踏み切る

ーーどのような考え方や方針のもと事業構造改革に臨まれたのか教えてください。

林勝哉:
「チャレンジなくして成功なし、変化なくして進化なし」という考え方を大切にしています。長年同じスタイルで事業を継続できたことは弊社の強みでもありますが、その反面、時代の変化に対応することができていないという側面も感じていました。

社会や経済、当社を取り巻く事業環境は大きく変化し、事業も不安定な状態が続きました。事業環境や時代の変化、社会の環境をしっかりと見据え、変革していかなければ、といった思いで事業構造改革を推進しています。

ーー事業改革として、具体的にどのような取り組みをしていますか。

林勝哉:
まず1つ目に、商品ラインナップの見直しを行い、安定した商品供給ができる体制を構築しました。2つ目は、代理店において、グループ単位で意見交換の場を設けました。販売現場でお客様の声を直接聴いているビジネスメンバーから意見を出してもらいつつ、全体最適につながるかどうかなどを社内でしっかり検証した上で、対応策を実行しています。現場で働くビジネスメンバーと向き合うことで、信頼関係の強化が図れます。

そして3つ目として、今年の4月に本社を移転して、従業員の働き方改革や職場環境の改善に取り組み、資産の有効活用につなげました。新本社は部署の壁を取り払い、フリーアドレス化したオープンなオフィス空間で、従業員間の活発な交流を目指しています。働きやすい職場環境を整備して、一人ひとりの業務効率や生産性の向上を図るための取り組みです。

中期経営計画の柱は既存ビジネスのデジタル化と新規事業開発

ーー最後に、5年後、10年後に向けた貴社の中長期的な展望をお聞かせください。

林勝哉:
今年5月に弊社が策定した中期経営計画では、大きく2つの方針を掲げています。1つ目は、「シャルレビジネス事業の再生」として、商品のデリバリーや代金の決済システムなどの事業インフラをデジタル化して、ビジネスメンバーにおける活動の効率性や生産性を向上させ、かつお客さまにとってもより利便性の高いサービスを提供するというものです。

また、今年の10月に「ITSUMOTTO」という新たなホームページを立ち上げました。弊社の企業ブランドや世界観などを一般消費者の方に広く伝えていきたいと考えています。

2つ目は、「新規事業開発による新たな柱の創造」です。ベトナムを中心とした東南アジアの海外市場への進出に力を入れると同時に、M&Aによって経営基盤を強化し、資本コスト経営を推進したいと考えています。

事業改革をしっかりとやりきって、グループ全体の収益に貢献し、すべてのステークホルダーに弊社ならではの価値を提供する企業を目指していきます。そのためにも、弊社の企業コンセプトに共感し、チャレンジ精神を持って仕事に取り組むことができる人と一緒に仕事ができたら、非常に心強いです。

編集後記

2021年の社長復帰以前から、事業改革の必要性を感じていたという林社長。一つひとつの取り組みについての詳細かつ丁寧な発言に、改革への熱意が感じられた。訪問販売の手法は残しつつ、事業の変革を目指す同社の取り組みに、新しい時代の可能性を感じた。

林勝哉/1969年兵庫県生まれ。関西学院大学卒業後、新卒で伊藤忠商事に入社。2000年に株式会社シャルレに入社後、取締役、当時のグループ企業取締役兼代表執行役社長を経て2021年に代表取締役社長に就任する。創業時の理念を受け継ぎながらも事業のデジタル化や、M&Aによる新事業への参画にも目を向け、抜本的な事業改革を推し進める。