※本ページ内の情報は2025年1月時点のものです。

シックスセンスラボ株式会社は、40代以上を主なターゲットとして、サプリメントを中心とした商品を開発・販売している会社だ。同社の代表取締役を務めるのが、紀伊国屋書店玉川高島屋店で週間ランキング1位を獲得した書籍『女性の悩み解決大全』の著者でもあり、女性に寄り添う姿勢を大切にし続けている石川奈穂子氏だ。

同氏が女性向けの商品を開発するに至った経緯や、商品へのこだわり、社員全員が女性だからこその社内環境づくりなどを聞いた。

女性の求める商品が理解されていないことへのジレンマから起業を決意

ーー今までの経歴や創業の経緯を教えてください。

石川奈穂子:
大学卒業後は、株式会社リクルートに入社しました。リクルートでは経営者の方々と会う機会も多く、このときの経験が今の私の価値観の基盤となっています。その後、リクルート専属の広告代理店として26歳のときに初めて独立し、それから17年後にシックスセンスラボを立ち上げました。

会社を立ち上げた理由の一つが、当時は女性向け商品を手がけている会社経営者の多くが男性で、彼らの手がける商品が女性が本当に求めている商品とマッチしていないように感じたことです。1人の女性消費者として見たときに、商品の中身よりも包装や広告など、むしろ外側にこだわっているように感じたのです。

また、2人の子どもを出産したことも影響しています。健康についてよく考えるようになり、自分自身で健康に関する商品を開発・販売したいと思うようになりました。

本当に良い商品を提供するために、コストはすべて商品の中身に投下

ーー商品の開発経緯やこだわりについて教えてください。

石川奈穂子:
女性の一生に寄り添い「明日の笑顔を届ける」をコンセプトにした商品を展開しています。

創業当初はユーグレナにまだ出会っていなかったため、まずは世の中で何が求められているのかリサーチとマーケティングを行い、商品を開発するところから開始しました。その結果、最初に生まれた商品が、メイクの上からUVケアできる「UVカットスプレー」です。

この商品は、UVケアのためにファンデーションが厚塗りになってしまう女性の悩みを解決したいという思いで開発しました。

その後、会社の設立を手伝ってくれた女性からユーグレナについて教えてもらったのが、一つの転機となりました。素晴らしい素材だと感じ、ユーグレナの培養に世界で初めて成功した出雲充社長へ熱烈な手紙を送ったところ、とんとん拍子で商品の開発が決まりました。

私たちは「本当に良い商品を提供する」というスタンスを貫き、無駄な広告費は一切かけていません。商品の中身にコストを投入しているため包装はシンプルですが、弊社のこういった価値観も消費者から支持されています。

家族を大切にしてほしいという強い思いで1時間単位の有休取得を可能に

ーー働きやすい環境づくりについて、どのような取り組みをしていますか。

石川奈穂子:
私自身も子育てを経験したからこそ、社員たちには子どもときちんと向き合ってもらいたいと考えています。参観日などの行事には必ず顔を見せてあげてほしいという思いから1時間単位で有給を取得できるようにしています。

また、社員の誕生日に自宅へ花を贈る取り組みも行っています。会社の代表者から花を届けることで、家族の皆さんに「うちの妻(母)は会社で頑張っているんだな」と思ってもらいたいのがその理由です。

そのほか、社内に理念を浸透させてより強固な組織にするために、社内クレド(従業員が心がけるべき信条や行動指針をまとめたもの)をつくりました。1年かけて社員たちとともにクレドを完成させ、現在は半年や1年、2年といったタイミングで、クレドを達成できているか振り返るようにしています。

社員と顧客の両方から愛される会社になれば、数字は後からついてくる

ーー今後の展望をお聞かせください。

石川奈穂子:
一つは新商品開発です。サプリ以外の健康に良い食品や、自分に自信を持つことを後押しするような美容品など、お客様に本当に必要とされているものを開発していきたいと思います。60代からの美容も非常に重要ですので、その年齢層に向けた商品展開も計画しています。

また、現在はベトナムだけですが、今後は台湾、フィリピン、カンボジア、中国、アメリカへの進出を予定しています。実際にアメリカではヘルスケア商品のコンサルティング会社とのプロジェクトを進めています。今後は海外進出も積極的に進める方針です。

そして、私自身が掲げる目標は、社員に「ここで働いて良かった」と思ってもらえる会社になること。また、お客様に「この会社の商品に出会えて良かった」と思ってもらえる商品づくりをすることです。この2点があればきっと、描いた目標を達成でき、数字は後からついてくると考えています。

編集後記

「自分の言っていることが間違っているかもしれないと、俯瞰して見ることが大切」と語った石川社長。忙しい中でも、顧客からの問い合わせは全て自分で目を通すなど、会社の方向性が間違っていないか常に答えを探している。シックスセンスラボが「女性たちの真に求める商品」を開発できるのは、妥協せず顧客目線を追求する石川代表の姿勢があるからだと感じた。

石川奈穂子/1965年福岡県生まれ。大学を卒業後、株式会社リクルートに入社。その後、リクルート専属広告代理店として独立。2008年にシックスセンスラボ株式会社を設立し、女性のためのサプリメントの開発を開始。東洋医学の理論をベースとした、和漢サプリシリーズ「TUMUYUI」は多くの人に支持されている。2015年、九州大学ビジネス・スクールの成長志向MBAプログラムを修了。