
DXへの推進状況は企業ごとに差があり、日本では特にサービス業や規模が小さな企業での取り組みの遅れが課題となっている。
こうした状況を改善しようと取り組んでいるのが、イクシアス株式会社だ。今回、代表取締役社長CEOの内藤崇司氏を取材し、同社が開発した「STOREPAD(ストアパッド)」の魅力や今後の展望などを聞いた。
集客媒体を一括管理できる「STOREPAD」で企業や店舗のDXを推進
ーー創業の経緯を教えてください。
内藤崇司:
大学在学中に自分たちで広告事業を始めたことをきっかけに、「社会にインパクトを残す事業を生み出したい」と思うようになりました。そのための力をつけるために、大学卒業後は株式会社リクルートへ入社し、新規事業開発や子会社経営、ベンチャー投資などを経験しました。
ベンチャー投資の業務に携わる中で、アメリカと比べて日本の店舗はDXが進んでいないことに気づいたのが、起業の1つのきっかけです。非常に悔しく感じた一方で「これはビジネスチャンスだ」とも思いました。そこで、この課題を解決しようとイクシアス株式会社を創業し、「STOREPAD」を開発したのです。
ーーSTOREPADの詳細を教えてください。
内藤崇司:
STOREPADは、店舗の情報発信や口コミ分析、それらを多言語で対応するインバウンド対応などができる、情報発信・分析プラットフォームです。飲食業、宿泊や美容など特にサービス業の店舗で多く活用されています。
Googleマップのような地図アプリや各種SNSや業界ポータルサイトなど、店舗が集客に使う媒体は多様化しており、これらの多岐にわたる媒体の対応をSTOREPADで一括管理・最適化することで、店舗事業者様のDXを支援しています。
店舗事業者様はSTOREPADを使うことで、工数を削減しながら多数のメディアでの集客を成功させたり、口コミ対応や口コミ分析による店舗運営改善により、来店率を上げたりすることが可能です。
また、最近は生成AIも活用しており、たとえば情報発信や口コミへの返信や口コミ分析をAIが自動支援することで業務を効率化します。自動的に多言語対応が可能なため、インバウンド集客にも活用できます。

ーーSTOREPADが多くの事業者に利用されている理由は何だとお考えですか。
内藤崇司:
理由の1つは、国内だけではなく国外のポータルサイトなど、通常であれば連携が難しいような媒体も管理できることです。また、店舗事業者のユースケースにあわせて誰でも使えるわかりやすい形で生成AI支援機能が搭載されており、人手が必要となるような業務を、生成AIで効率化できる点も評価されていますね。
そして、知識やリソースにとらわれずに、どなたでもご利用しやすいサービスである点もご好評いただいていおります。僕はビジネスを通して日本を元気にしたいと思っており、そのためには大企業だけではなく、中小企業や個店など規模の小さな事業者でも使えるサービスを提供することが必要です。
多くの集客媒体管理システムは大企業が使いやすいように開発されていますが、STOREPADは数店舗しかお店を持たない中小企業や個店にも価値を感じてもらえるよう開発していることが特徴です。中小企業や個店、大企業など、企業規模に関わらず誰でも使いやすく、価格がリーズナブル。さらに運用代行の手厚いサポートを行っている点がSTOREPADの強みで、実際に継続率は99%となっています。
求めるのは「文化祭実行委員」のような主体的に動ける人材

ーー採用方針について聞かせてください。
内藤崇司:
営業部門の強化やプロダクトマネジメント、マーケティング部門の充実を目指していますが、基本的には全職種でたくさんの仲間を求めているフェーズです。
弊社はスタートアップ企業なので、やはり主体性のある人材を求めています。たとえば「文化祭実行委員」のような、整っていないものを自分の力で整えることに面白さを感じる人にとっては、非常に良い環境だといえるでしょう。
僕の目標の1つは弊社を未来永劫続く会社にすることで、もう1つが社員に成長の機会を与えられる会社になることです。そのため、社員たちが自主性を発揮して成長できる企業文化を重視し、より働きやすい環境づくりに今後も注力していきます。弊社は今、サービスを日本中に広める拡大期にあります。会社がこれから大きく拡大する中で、ともに成長できる仲間を大募集中です。
店舗の「総合的なDXインフラ」を目指し、成長のチャンスを掴みにいく
ーー将来の展望をお願いします。
内藤崇司:
今後はSTOREPADを使っている事業者が、VOC(顧客の意見や要望、クレームなど)をもとにサービス改善ができるような技術の導入も視野に入れています。また、接客、採用、教育などは、まだまだDXが見込まれる分野です。こういった部分に弊社が携わり、店舗の総合的なDXインフラとしての役割を果たしたいと考えています。
将来的には、STOREPADを数十万から数百万の店舗事業者が利用するサービスにすることが目標です。そのためにもお客様にこの自信をもったサービスをご案内する機会ををさらに増やし、弊社が急成長し、日本中の店舗のDXをインパクト大きくご支援できるチャンスを積極的に掴みにいこうと思います。
編集後記
大企業より中小企業の方が圧倒的に多い日本では、中小企業の成長が日本経済の回復に不可欠だ。中小企業や個店の生産性を改善させるイクシアス株式会社のSTOREPADは、まさに「日本を元気にする」サービスそのものだと感じた。高い志を持った内藤社長率いる同社なら、さまざまな業界でDXを推し進め、日本の未来をより良いものにしてくれるはずだ。

内藤崇司/1986年埼玉県生まれ、法政大学卒。大学在学中に起業参画後、2009年に新卒でリクルート(現リクルートホールディングス)入社。全社新規事業開発室・子会社経営企画室長・R&D本部中長期戦略統括などを経て、コーポレートベンチャーキャピタルのシニアヴァイスプレジデントとしてリクルートにおける事業開発投資業務を担当後、2020年、イクシアス株式会社を創業し代表取締役CEOに就任。