
人生の中で最も高い買い物といえるマイホーム。外観や間取り、質感、価格、ローンの返済計画まで、納得のいく「後悔しない家づくり」を叶えるのは、至難の業だ。
そんな人々の思いに寄り添い、一般的にはオプション扱いとなる設備も標準装備に含めて提供するのが、株式会社富士住建の注文住宅『完全フル装備の家』である。取締役相談役である竹田浩之氏に、顧客への真摯な思いと、全国展開を視野に入れた企業戦略についてお話をうかがった。
「いい家」を適正価格で!コストの無駄を徹底的に抑えた企業努力
ーー貴社の特徴についてお聞かせください。
竹田浩之:
弊社の大きな特徴は、注文住宅のみを扱い、標準装備が充実した「完全フル装備の家」を提供している点です。他社では追加工事としてオプション扱いとなる設備も、弊社ではあらかじめ標準装備として組み込んでいます。
一般的に新築住宅では、エアコンやカーテン、照明などの設備はオプション扱いで別途費用がかかりますが、弊社ではこれらの設備はもちろん、キッチンの食器洗浄乾燥機や太陽光発電システムなども標準装備です。
注文住宅では「あれも付けたい」「これもほしい」と追加希望を出すうちに当初の予算を大きくオーバーしてしまったという話をよく聞きますが、「完全フル装備の家」はその心配が無用です。このように、オプション不要の充実した設備が「完全フル装備の家」の大きな魅力です。
ーー高品質の家を適正価格で提供できる秘訣は何でしょうか?
竹田浩之:
弊社では、主要な設備メーカーと年間契約を結ぶことで、仕入れ価格を大幅に抑えています。標準装備に使用する設備は一流メーカーの製品ばかりですので、家全体の質感が高まり、お客様の満足度も向上すると自負しています。
また、弊社では利益率を最低限に抑えて、最初の見積もりから1円も値引きができない適正価格で販売することによって、すべてのお客様を平等にし、お客様との強い信頼関係を築いてきました。
マイホームの建築は、長いローンを抱える大きな決断です。「いい家」に住むことによって、日々の暮らしが豊かになり、家に帰るのが楽しみになるような、温もりのある居心地のよい家づくりをお手伝いするのが、私たちの使命です。家の引き渡し後も末長くサポートさせていただくことが、私たちが目指す注文住宅メーカーのあり方だと考えています。
加えて、展示場への出店や訪問営業を行わず、販管費も徹底的に抑えています。このような経費削減策を駆使することで、高品質な注文住宅を適正価格で販売することが可能になりました。
2度のターニングポイントで事業を成長

ーー社長就任までの経緯をお聞かせください。
竹田浩之:
大学卒業後、約5年間スポーツクラブでインストラクターとして勤めていましたが、結婚して子どもを授かったのを機に、転職を考えるようになりました。ちょうどその頃、建設業界で営業をしていた先代の社長である兄・竹田淳一の影響もあって、住宅会社に転職しました。
その後、1987年に兄が弊社を創業し、私も1992年に入社しました。当初社員はわずか3名で、飛び込み営業が主な活動でしたが、そのような日々が6〜7年続きました。
ーー会社のターニングポイントは何でしたか?
竹田浩之:
入社6年後の1998年に、「完全フル装備の家」を始めたことが、会社の最初のターニングポイントでした。その頃は、埼玉県の伊奈町に2階建ての事務所を構え、1階をショールームにして、お客様に足を運んでいただける営業拠点を設置していました。
その後、駅前に事務所を移転し、業績も上向きました。さらに、神奈川県から足を運んでくださったお客様とのご縁で、2002年には横浜市に2拠点目を開設したことが、次のターニングポイントでした。翌年には千葉県、さらに東京都内へと、少しずつエリアを拡大していきました。
ーー社長就任時に「このように会社を変えていきたい」という思いはありましたか。
竹田浩之:
私が社長に就任した当初は「何かを変えたい」というより、「お客様満足度で日本一になりたい」という思いでスタートしました。具体的にはそのために「CS課」部門を設けたのです。
CS課とは、カスタマーサティスファクションの略で、顧客満足度を向上させるための部署です。ここでは、お客様のアンケートや声を分析し、どうすればお客様の満足度が向上するかを専門的に考えています。その結果を営業や施工部門にフィードバックすることで、お客様からの評価の大幅な改善につながったと感じています。
人材投資は惜しまない。社員の成長を促すスピード教育とは
ーー社員教育に関して、実践していることはありますか。
竹田浩之:
「スピードを大切に」という言葉を常に社員に伝えています。お客様からの要望には迅速に対応するように指導し、その姿勢を意識している社員は、自然に成長していると思います。社員教育に関しては、研修や外部講習への参加制度など、積極的に支援しています。講師を招いての研修も定期的に実施するなど、社員の成長のためには投資を惜しみません。
また、私自身社員と直接面談する機会も大切にしています。社員が私に直接レポートを提出し、昇進についてプレゼンテーションできる場や、高い業績を上げた社員に対する表彰制度など、モチベーションアップにつながる工夫を心がけています。
ーー新規採用にも力を入れているとのことですが、社長が求める人物像を教えてください。
竹田浩之:
まず、素直で明るい方を歓迎します。専門知識は入社後の学びで十分に身につけられると考えています。弊社のポリシーは、お客様に対して正直に誠実に向き合うことです。その思いを共有し、お客様に寄り添って幸せな暮らしを支える仲間を求めています。
ーー今後の会社のビジョンについてお聞かせください。
竹田浩之:
弊社は現在、関東地区を中心に、ショールームと営業所を合わせて25拠点構えています。今後は全国展開を目指し、準備を進めています。
まず、関東で年間2500棟の施工を目指し、その実績により業界トップシェアに近づくことを目標としています。関東での成果を基盤に全国市場に進出し、シェアを拡大していく構想です。これからも、多くの皆様が笑顔で暮らせる理想の住まいづくりをお手伝いさせていただきたいと思っております。
編集後記
高品質な住宅を適正価格で提供するために、設備機器の戦略的な一括購入や、徹底的な経費削減に取り組んでいる株式会社富士住建。顧客の幸せを願う企業姿勢が、揺るぎない理念として伝わってきた。全国展開という高みに向け、着実に歩みを進める成長戦略に今後も注目したい。

竹田浩之/1964年埼玉県生まれ。日本大学文理学部を卒業後、セントラルスポーツに入社し、スポーツインストラクターとして5年間勤務。その後、他社の住宅会社で経験を積み、1992年に株式会社富士住建に入社。2001年、取締役就任を経て、2017年、代表取締役社長に就任。2024年に取締役相談役に就任。