※本ページ内の情報は2025年2月時点のものです。

自動車の生産・販売が、世界的に見てコロナ禍前の水準に回復基調であることから、タイヤホイールなどの自動車部品の開発も著しい。自動車市場では、2043年までにEVが世界販売台数の3分の2を占めるようになるといわれている。

時代の変化や消費者ニーズの多様化という状況で、企業は新たな価値を生み出し、顧客の期待に応えることが求められています。その中で、1965年創業の株式会社ウェッズは、1969年に純正ホイールに代わるカスタムホイールを日本で初めて世に送り出したパイオニアである。

業界トップクラスの歴史と実力がありながらも、常に新境地を目指して挑戦を続けている。2023年に代表取締役社長に就任した石田純一氏から、その経歴や同社の事業についてうかがった。

「かっこいい営業マン」に憧れて入社を決意ープロパー社員が代表取締役社長になるまで

ーー社長に就任するまでの経緯をお聞かせください。

石田純一:
私は、大阪学院大学卒業後に弊社に入社しました。もともと乗り物が好きで、中学時代には自転車、大学ではバイクや自動車に夢中になり、趣味が高じて、大学3年生でカーショップのアルバイトを始めたのです。

その当時、カーショップに来た弊社の営業マンの姿に憧れてこの道を選びました。スーツを身にまとい、小脇に自動車のパーツを抱えて熱心に話をしている姿は本当にかっこよかったです。ですから、就職活動では弊社しか受けず、念願叶って入社できたというわけです。

新卒1年目は、社内でお客様対応や倉庫管理などの業務が多く、2年目からは小売店への営業職に従事します。その後、営業成績やリーダーシップが評価され、32歳という若さで異例の抜擢を受け、所長に就任。営業販売のみならず、商品調達や物流関連業務など幅広い分野で経験を積み、2023年に社長就任に至りました。

ーートップの営業成績を収めるために意識していたことを教えてください。

石田純一:
私が心がけているのは「お客様の話をよく聞くこと」です。自分の話ばかりでは人の心は動きません。相手はどういう性格なのか、何の話であれば聞いてくれるのかを理解しなければモノは売れないでしょう。そして話を聞く体制が整ったら、自信を持って商品をおすすめできるように、充分な商品知識を備えて徹底的に準備することも当然必要です。

私の場合、洞察力や観察力は、現場で経験して鍛えられました。今の働き方は、当時とは大きく変わりましたが、目的を達成するためには、まずは自分が本気にならないといけないということは今も昔も変わらないことだと思います。

ーー思い出に残っているお客様とのエピソードはありますか。

石田純一:
新潟の営業所で所長に就いていた頃、ライバル企業と取引しているために弊社とのアポイントが取れないお客様がいました。そこで、先方の会社の前で社長を待ち、2ヶ月ほどチャンスをうかがい、やっと面談まで辿り着いたことがあります。すぐには受注できませんでしたが、アポイントは取れるようになっていき、社長とも心を通わせることができました。

その後、お客様からは「エリアの分析をしっかりしていたこと」をお褒めいただき、受注につなげることができました。良いことだけでなく、改善点や未来の話をたくさんしてきたことが奏功したようです。相手がどんな話なら聞いてくれるのか、時間をかけて社長と信頼関係を築けた成果だと思っています。

ホイールを通して、車愛好家の感動と笑顔を創り出す

ーー貴社の事業内容を教えてください。

石田純一:
弊社は、自動車用アルミホイールとスチールホイールを中心とした自動車部品・用品の販売会社です。1969年に日本初のカスタムホイール「エルスター」を世に送り出した、カスタムホイールのパイオニアと自負しています。弊社の商品を取り扱っている販売店は全国10,000店。ほとんどの販売店に直接販売し、業界随一の販売ネットワークを確立しています。

全国12箇所の営業拠点から、営業マンが販売店を直接訪問し、きめ細やかな対応をおこなう地域密着の販売が強みです。斬新な商品を生み出す「企画力」、業界随一の「営業網」、そしてそれを支える「物流体制」、これらを武器として「人と車の未来」に向けさらなるチャレンジを続けています。

絶え間ないチャレンジで、業界のリーディングカンパニーを目指す

ーー今後のビジョンとして、どのような考えをお持ちでしょうか。

石田純一:
世界を見据えた大きな目標に向かって舵をきっていきたいと思っています。そして、会社の利益はどんどん社員に還元していきたいですね。私も下積み時代があるため、効果的なモチベーションづくりや働きやすい職場環境は理解しているつもりです。朝起きて「今日も頑張ろう!」と前向きに出社できる企業であり続けたいと常々思っています。

また、企業全体として管理職の若手起用も進めています。弊社は、経営理念に「チャレンジ」を掲げているため、会社に安定を求めるのではなく、夢に向かって挑戦する気持ちがある仲間と業界トップを目指していきたいですね。

編集後記

石田社長が新卒で入社し、営業として積み上げてきた経験がいかに現在の経営に活かされているのかを感じた。地道にお客様と向き合い、信頼を築いてきた経験が、今では社員一人ひとりとの信頼関係や、企業全体の成長へとつながっている。

また、社員への思いやりを大切にし、常にモチベーションを高める環境づくりにも注力している姿が印象的だった。石田社長の温かく、確固たる信念を持ったリーダーシップのもと、株式会社ウェッズは今後もさらに成長し、業界を牽引し続けるだろう。

石田純一/1961年、兵庫県生まれ。大阪学院大学卒業。1984年に株式会社ウェッズへ入社、30年間営業販売に従事し、その後は商品調達および物流関連に携わる。2023年に代表取締役社長に就任。