
千葉県の市川・行徳・浦安エリアの「地域密着型リフォーム会社」として知られる株式会社リフォーム青山。同社は、地域における持ち家世帯の1割以上とのつながりを有している。なぜ同社は地域密着にこだわっているのか。代表取締役社長の吉田充志氏に、事業におけるこだわりや強み、これからの目標などを聞いた。
結婚を機にリフォーム業界へ。地域を代表する会社になるための哲学とは
ーー吉田社長の経歴をお聞かせください。
吉田充志:
私はもともと、イタリア商材を輸入する会社で建材のタイルを取り扱っていました。建設現場に納品することも多く、建築業界と縁のある環境でした。
そんな私がリフォーム青山に入社したのは2005年のことで、妻との結婚がきっかけでした。弊社は妻の父が創業した会社で、私も以前から建築業界に興味があったこともあり、心機一転、挑戦する気持ちで転職を決意したのです。
転職後は、前職の建築商材の知識を活かして働けるのではないかと思っていました。しかし現実は厳しいもので、ほとんどイチからの学び直しが必要となりました。
私は、自分で選んだ道を何とか形にしようと無我夢中で打ち込み、さらに夜間の学校にも通いながら、知識を深めていきました。常務取締役、専務取締役と、徐々に経営に携わるポジションを任されるようになり、2014年に代表取締役社長に就任しました。ゼロからのスタートという経験があるからこそ、今でも現場の大切さや社員の努力を誰よりも理解しているつもりです。
ーー吉田社長が経営で大切にしている哲学は何でしょうか。
吉田充志:
社員に対しても、お客様に対しても、伝えたい意図を理解してもらえるように「素の自分」でいることを大切にしています。
ビジネスにおけるコミュニケーションでは丁寧さが重視されがちですが、本来伝えるべき意図を理解していただけなければ意味がありません。腹の内を相手に見せることこそが、本当の意味での信頼につながるのではないでしょうか。
また、社内環境において大切にしているのが、社員一人ひとりが主体性を持ち「自分の仕事に誇りを持てる職場」を実現することです。意見交換が活発で、社員の意見を尊重する風土育成に力を入れ、時間があるときは、現場の社員から課題や悩みを直接聞くようにしています。ほかにも、日ごろ社員に伝えている言葉として、「御用聞き営業」、「顧客のファン化」というものがあります。
「御用聞き営業」とは、お問合せいただいたお客様のお困りごと等を親身になって話を聞き、お客様の生活を豊かにするべく御用聞き営業に徹することです。「顧客のファン化」とは、幾度と当社に御依頼いただくお客様には、単なるリピーターではなく、弊社のファンになっていただきたいということです。
「以前リフォーム青山に頼んだから再度電話した」ではなく、「リフォーム青山が好きだから、再度お願いしたい」と、お客様に思っていただける関係性を目指しております。
徹底した地域密着営業で「地元のリフォーム会社」としての存在感を発揮

ーー貴社の事業内容を教えてください。
吉田充志:
対応エリアを千葉県の市川・行徳・浦安に限定して、個人の住宅を中心にリフォームと修繕を行っています。施工実績は1,700件以上にのぼり、地域密着だからこそできる、きめ細やかなサービスと、「お客様」「プランナー」「職人」が三位一体となる「オンリーワンリフォーム」の姿勢で、一人ひとりに合った快適な空間を提案し続けています。
その姿勢のおかげか、エリア外からもお問い合わせをいただくことがあり、申し訳ないながらもお断りしているという、贅沢な悩みを抱えている状態です。ただ、担当させていただくのであれば、常に駆けつけられる範囲の中で、責任を持って取り組みたいという気持ちがあります。地域を限定しているのは、施工したお宅の将来にまで責任を持つという姿勢の表れなのです。
ーー独自の強みや差別化ポイントは何ですか?
吉田充志:
弊社の最大の強みは、徹底的な「地域密着」の姿勢です。現在、市川市と浦安市の全持ち家世帯のうちの1割以上、つまり10軒に1軒とのつながりを有し、「地元のリフォーム会社」として、確固たるポジションを確立しています。
地域密着を実現できたカギは、タウン誌や市役所の広報媒体のようなローカル広告に注力したことと、「信頼される仕事をする」という基本姿勢の徹底にあります。これらの活動を45年以上前からコツコツ積み重ねてきたことで、現在のポジションを確立しました。
また、「担当者ごとの信頼関係の強さ」も大きな強みです。弊社では、担当者を指名した依頼をよくいただくのですが、これは、社員一人ひとりが会社の顔となり、お客様と信頼を築いている証だといえるでしょう。
地域への貢献度をさらに高め、社員が誇りを持てる会社へ
ーー今後の事業展開や目標についてお聞かせください。
吉田充志:
今後の大きな目標は、弊社とつながりのある持ち家世帯の割合を、現在の1割から2割に引き上げることです。長年築いてきた弊社のポジションをより強固なものにし、地元の方々への貢献をさらに進めるために全力を尽くしていきたいと思います。
また、会社としての責任能力を強化するために「職人の内製化」も進めていきます。現在は外注で対応している部分を自社の大工で対応できるようにして、一層お客様との距離を縮めたいですね。職人の内製化については、すでに大工職人の採用を始めているほか、来年度からは新卒社員を大工の専門学校に通わせる制度の導入を予定しています。
ーー採用において、特に重要視している点は何でしょうか?
吉田充志:
その人なりの「欲」を持っていることですね。言い換えれば、その人なりの「目標」です。車が欲しい、家を建てたい、旅行に行きたいといった具体的な目標がある方は、仕事への意欲が高く、成果を上げやすい傾向にあるため、何かしらの欲は持っていてほしいと思っています。
また、弊社が何より大切にしている「地元への愛着」や「貢献したい思い」も重要です。特に、長年培ってきた弊社のマインドに共感してもらえて、自主性を持って地域貢献を推進してくれるような人材が理想的です。
私の役割は、そんな方が長く働けるようにしっかりサポートし、社員一人ひとりが誇りを持って働ける環境づくりを進めることです。今後も地域のため、そして社員のために「貢献」を大切にした会社づくりを進めていきます。
編集後記
株式会社リフォーム青山が、地域の1割もの方とつながりを持てたのは、長い間、地元の方々と誠心誠意向き合ってきたからに他ならない。今後の目標である職人の内製化は、まさしくその精神を行動で示したものだといえる。この理想と行動の一貫性こそが同社の大きな強みではないだろうか。だからこそ、2割の方とつながりを持つという大きな目標も、現実味のあるものに感じられる。

吉田充志/1977年、千葉県生まれ。神田外語学院卒業後、イタリア商材を取り扱う株式会社石井に入社。2005年、株式会社青山工務店に入社、翌年グループ人事で株式会社リフォーム青山へ転籍。建築知識ゼロからスタートし、常務取締役・専務取締役を経て2014年、代表取締役社長に就任。