※本ページ内の情報は2025年3月時点のものです。

アミューズメント施設業界において、国内外で約450店舗を展開する株式会社GENDA GiGO Entertainment。同社はアミューズメント施設の運営を軸に、キッズパークや推し活グッズ販売、アニメやゲームとコラボしたカフェなど、多角的な事業展開を行っている。

インバウンド需要の高まりを受け、「GiGO」の青いロゴの認知度も向上中だ。コロナ禍を乗り越え、DXを推進しながら新たな挑戦を続ける同社の代表取締役社長、二宮一浩氏に話をうかがった。

「エンタメは必ず戻る」の言葉で入社を決意

ーーなぜアミューズメント業界に就職しようと考えたのですか?

二宮一浩:
私は東京都多摩市の出身で、いわゆる団塊ジュニアの世代に生まれました。多摩市は団塊世代の住民が多く、私が就活していた頃からすでに過疎化が進むだろうといわれていました。

私は多摩市が非常に好きだったので、この地域を活性化する仕事ができないかと考えた結果、「もっと娯楽があれば地域が盛り上がるのではないか」という結論に至ったのです。そこで、アミューズメント業界に就職しようと決意し、ご縁があって前職の会社に入社しました。

ーー貴社に入社した経緯を教えてください。

二宮一浩:
前職では店舗業務からスタートして、地域のエリアマネージャー、日本国内の施設事業責任者などを務め、2019年からは海外事業を担当しました。海外事業への異動については、ゲームセンターなどの若者向けの事業は、少子高齢化が進む日本ではいずれ規模が縮小するだろうと予想し、10年以上異動を願い続けて実現したものです。

海外では、経営企画を担当する立場で資金調達をするなど、非常に貴重な経験を積むことができたのですが、私が海外事業を担当した翌年に新型コロナウイルス感染症の流行が始まり、アミューズメント業界は世界的な傾向として厳しい状況に陥ってしまったのです。

この時期、株式会社GENDAの会長である片岡が、「エンタメは必ず戻る」と皆に訴えかけていたことが非常に印象的でした。片岡の下で一緒に働きたいと考えていたところ、ご縁があって2021年にCSOとしてGENDA(※)に入社することができ、弊社の取締役に就任。2023年に、弊社の代表取締役に就任しました。

(※GENDA GiGO Entertainmentはエンタメ企業である株式会社GENDAのグループ企業)

ーー社長就任後はどのように感じましたか?

二宮一浩:
新型コロナウイルスの影響で厳しい状態が続きましたが、社員一人ひとりが「無駄なものはないか」と清掃用具1つまで見直しをして、コスト意識を高めてくれたおかげで乗り切ることができました。店舗も開店できたりできなかったりという波のある状態でしたが、開店したときのお客さまの反応を見ると、「まだまだチャンスはあるな」という手応えを感じましたね。

アーケードゲーム筐体にとらわれず、エンターテインメントの新たな形を追求

ーー貴社の事業内容について教えてください。

二宮一浩:
弊社の主な事業内容は、ゲームセンターを中心としたアミューズメント施設の運営で、国内外で合計約450店舗を展開しています。ゲームセンターと言えば、過去にはクレーンゲームや格闘ゲームなどのアーケードゲーム筐体を中心にコンテンツを積み重ねてきました。

しかし、私は必ずしもアーケードゲーム筐体にとらわれる必要はないと考えており、エンターテインメントのコンテンツの幅を広げることにチャレンジしています。たとえば、子ども向けのキッズパークや推し活グッズを扱う店舗、人気アニメ・ゲームのキャラクターをイメージしたカフェフード事業などを、多角的に展開してきました。

ーー事業を運営するにあたって、どのようなところにこだわっていますか?

二宮一浩:
近年、ゲームセンターではパラダイムシフト(価値観の転換)が起きており、インバウンドのお客さまが非常に増えています。この追い風に乗るために、弊社はゲームセンターの事業をブランディングすることにこだわってきました。「GiGO」という社名も、ブランディングの一つです。

「GiGO」は「Get into the Gaming Oasis」の頭文字で、「遊びのオアシスに飛び込んできてほしい」という、お客さまや関係事業者へのメッセージを込めて名付けました。最近では「GiGO」の青いロゴをよく見る、というお言葉をいただいています。まるで観光名所のように、「日本に行ったらGiGOに行かなきゃ」と言われるようになれば、うれしいですね。

熱意ある人材とともに切り開くエンタメの未来

ーー貴社の今後の展望をお聞かせください。

二宮一浩:
前述のコンテンツの幅を広げるための努力を続けていきたいです。物販事業や飲食事業を、さまざまなパートナー企業さんと一緒に展開し、ゲームセンターを訪れる人に響くコンテンツをお届けしたいと考えています。

また、今後はゲームセンター事業のDXにも取り組むつもりです。GENDAは「エンタメをテックで変革する」という方針を掲げています。弊社もゲームセンター事業のDX推進のために、お客さまに向けてアプリをリリースしており、会員数が100万人を超えました。今後もさらにDXを加速させ、社内アプリの開発など、業務の効率化にもテクノロジーを活用していきたいです。

ーー最後に、この記事の読者に向けてメッセージをお願いします。

二宮一浩:
最初の一歩を力強く踏み出せる、チャレンジ精神旺盛な方は弊社に入社すると、楽しく仕事ができるのではないかと思います。この仕事は「これが好きだ」という気持ちが原動力になるので、平均的に能力があるという人よりも、どこか一つ「好きな分野」に突出した強みを持っている人が望ましいですね。

弊社では、新卒2年目にして台湾で弊社のプレゼンテーションを行った社員もいます。若手の意見も取り入れつつ、全店舗を通じて情報交換しながら企画立案しているので、活躍の機会は非常に多いです。エンターテインメントに対する熱量のある方が入社して、弊社の事業を動かす原動力になってもらえれば、非常にうれしく思います。

編集後記

二宮社長の「地域活性化」という原点が印象的だった。アミューズメント施設を通じて人々に笑顔を届けたいという思いは、25年以上たった今も変わっていない。コロナ禍でも「エンタメは必ず戻る」と信じ抜いた経営陣と、それに応えた社員たちの奮闘は、挑戦することの尊さを教えてくれる。着実な一歩の積み重ねこそが、真のエンターテインメントを作り出すのだと実感した。

二宮一浩/多摩大学経営情報学部を卒業し、1996年株式会社ナムコに入社。2018年より株式会社バンダイナムコアミューズメントにて執行役員を務め、2019年より海外事業を担当。2021年、株式会社GENDAに入社し、CSOに就任。2021年、株式会社GENDA GiGO Entertainmentの取締役、商品企画本部本部長に就任。2023年、同社代表取締役社長に就任。