※本ページ内の情報は2025年4月時点のものです。

越境ECサイトの発展により、世界中でオンラインを通じて商品を購入する動きが加速している。特に中古車市場は急成長を遂げ、新興市場を中心に需要が高まり、越境ECサイトを活用したオンライン販売が主流になっている。

株式会社ビィ・フォアードはその先駆者として、グローバルな中古車輸出事業を展開し、成長を続けている。今回は、代表取締役の山川博功氏に、これまでの経歴や事業展開、ビィ・フォアードの未来についてうかがった。

「好き」に導かれて出会った仕事と、尊敬する人との出会いが生んだ起業の原点

ーー代表取締役就任までの経歴について教えてください。

山川博功:
大学在学中は将来のことを深く考えず、趣味や遊びに夢中で過ごしていました。そのため、就職活動は難航しましたが、当時「車が好き」だったという理由から、東京日産自動車販売株式会社に入社を決意しました。入社するからには本気でトップを目指す覚悟を決め、がむしゃらに仕事をしましたね。同期は約200名いましたが、売上トップの新人賞を獲得したことは、大きな自信につながった経験です。

3年ほど勤めた後、先輩からの紹介で株式会社カーワイズへ転職しました。営業職が3名だけの自動車買取会社でしたが、前職での経験を活かし、順調に売上を伸ばして会社には充分に貢献できたと思っています。

会社の業績が好調だったこともあり、社長が「独立を希望する者がいれば支援する」という方針を示したのです。新卒時代から「いずれは社長になる」と決意し、密かに準備を進めていた私は迷わず手を挙げ、1999年に有限会社ワイズ山川を設立しました。その後、2004年3月に業務を分社化する形で設立したのが株式会社ビィ・フォアードです。

ーーこれまでに影響を受けた人やエピソードをお聞かせください。

山川博功:
東京日産自動車販売で出会った課長から多くのことを学びました。「営業でトップになる」と意気込んで入社したものの、私は話すことが得意ではありません。話し上手な同期社員が多く、苦労する中で、課長から「必要以上に話さなくていい」と助言をいただいたのです。

大切なのは「相手に合わせた提案を入念に準備し、それをお客様が理解できるように丁寧に伝えること」だと教えられました。その結果、準備の仕方やプレゼンの質が向上し、業績にも良い影響を与えたと思っています。

「常に少し先の未来を考えて行動する」という考え方も課長から学んだ重要な教えです。当時、課長は発売されたばかりのWindows95を自腹で購入し、業務に活用していました。作業効率が飛躍的に向上し、営業でもデータ分析を取り入れることで成果を上げていたのをよく覚えていますが、その姿勢には深い感銘を受け、今でも私の仕事に生かされています。

独自システムを社内で開発!他社にはない発想力と行動力で地位を確立

ーー貴社の事業についても詳しく教えてください。

山川博功:
弊社は、新興国を中心に日本の中古車の世界への販売窓口を展開し、長年培ってきたノウハウを生かして、確実な送金手続きや現地消費者への配送など、販売から輸送まで一貫したビジネスモデルを構築しています。

2004年に設立し、2025年で21周年を迎えました。海外向けの中古車販売からスタートした弊社ですが、今は変革の時期に来ています。現在では、国内の中古車販売店の在庫を弊社のサイトに掲載して、海外に輸出するプラットフォームの確立などの新規事業にも力を注いでいきます。

ーー貴社の強みはどのようなところですか?

山川博功:
弊社の強みは、ECサイトを通じて一般顧客向けに直接販売ができることです。海外に中古自動車を輸出している企業の多くはBtoB販売が中心ですが、弊社はBtoC販売も手がけています。BtoCでは手厚いお客様対応を心がけており、たとえば、お客様からのメールには必ずその日の17時までに返信することを全社員の共通認識としています。海外ビジネスにおいても、このような気遣いやおもてなしの精神を大切にして日々の業務を行っています。

ーー事業が成長した要因はどのような点にありますか?

山川博功:
事業が拡大するにつれ、社員の負担が増加する時期がありました。「このままでは社員が疲弊し、お客様にも迷惑をかけてしまうかもしれない」と強く懸念したものです。その打開策として、業務を効率化するために、販売から発送まで管理できるシステムを導入し、結果、社員の業務負担を軽減させることに成功しました。

現在では多くの業界で同様のシステムが導入されていますが、当時、自動車流通の会社が独自のシステムを開発するという発想は珍しいものでした。このように、システム導入に必要な人材を確保できること、従来の枠にとらわれない発想力を持っていることが、弊社の成長を支える大きな要因だといえるでしょう。

世界中で求められる中古車。越境EC市場の成長と展望

ーー今後の展望をお聞かせください。

山川博功:
これまでの事業は引き続き、世界中のお客様に満足いただけるよう発展させていきたいと考えています。特に、中古自動車輸出の分野では、越境ECサイトを通じてより多くのお客様にサービスを届け、さらなる成長を目指します。

また、新たに取り組んでいるプロジェクトが不動産マッチングサイトの開発です。これは、世界中の不動産物件を検索・閲覧できるサービスを提供し、利用者が簡単に理想の物件を見つけられるようにすることを目指しています。既存の不動産市場に新たな視点を加え、より効率的で利便性の高いサービスを提供すべく模索中です。

さらに、海外輸送支援事業「ポチロジ」にも力を入れています。個人や法人が海外に物を送る際の手間を減らし、より手軽に利用できるサービスを提供するために、現在もサービスの改善と品質向上を進めています。海外輸送の需要は増加しており、私たちはそのニーズに応え、より多くのお客様に喜んでいただける環境を整えていく予定です。

ーー最後に貴社が採用で求める人物像を教えてください。

山川博功:
弊社は、「越境ECを活用した中古自動車輸出」などの事業を通じて、グローバルな成長を目指しています。インターネットを駆使して市場の拡大を目指しているため、クリエイティブで柔軟な発想を持った人材を募集しています。新規事業の開発に携わるチャンスが多いため、情熱を持ち、チャレンジ精神旺盛な方には大いに活躍していただける場があります。チャレンジ精神旺盛な方にぜひ応募していただきたいと思っています。

編集後記

山川社長が語る株式会社ビィ・フォアードの展望は、非常に現実的で前向きなものだった。かつて山川社長が尊敬していた上司と同じように、先見の明を持ち、時代を先取りした行動を続けていることが印象的である。また、社員の負担を軽減するために導入されたシステムや、運輸業務の効率化が業績向上に大きく貢献している点も見逃せない。トップセールスだった山川社長の嗅覚と日本ならではの丁寧なサポートが、世界中の顧客に信頼されている理由だと感じた。

山川博功/1971年福岡県出身。1994年明治大学文学部卒業。1993年東京日産自動車販売株式会社入社。1996年に退社し、1997年株式会社カーワイズ入社。1999年に独立し有限会社ワイズ山川設立。2004年に中古車輸出部門を分社化し、株式会社ビィ・フォアードを設立。代表取締役に就任。