※本ページ内の情報は2025年3月時点のものです。

1992年に、東京・八王子で設立された株式会社エスエストラスト。賃貸物件の仲介・管理から飲食店の経営まで、さまざまな事業を展開している会社だ。「不動産屋がここまでやるか」を合言葉に、近年は地元サッカーチームの運営にも取り組んでいる。代表取締役社長の杉本浩司氏に、就任の経緯や事業の強み、今後の展望をうかがった。

ブラジルへのスポーツ留学から不動産会社の社長へ転身

ーーご経歴をお聞かせください。

杉本浩司:
子どもの頃からサッカーを楽しんでおり、高校時代に「プロサッカー選手になりたい」と思い、ブラジルへサッカー留学しました。

しかし、Jリーグでプロになる夢は叶わず、帰国後も「サッカーに関わる仕事がしたい」と考え、前進できずにいました。そんな僕を見かねて、父が家業である弊社のアルバイトを勧めてくれたことが不動産業に入ったきっかけです。いざ携わってみると接客が面白く、やりがいを感じ、より極めていきたいと思いました。

弊社に入社して数年が経った2003年に、父と相談して「アパマンショップ」のフランチャイズに加盟しました。「アパマンショップ」は全国に1,000店舗以上を展開する不動産会社ですが、当時の店舗数は500店舗ほどで、八王子にも未出店だったのです。がむしゃらに活動した結果、加盟1年目にして日本一の売上を出せました。

29歳になった頃、アパマンショップ創業者の大村氏のアドバイスにより、弊社の社長に僕が就任し、現在に至ります。

ーー経営者として心がけていることは何でしょうか。

杉本浩司:
就任当初は経営に関して無知でしたが、僕に目をかけてくださった大村氏から、とても多くのことを学びました。周囲からきちんと評価される社長であることを心がけ、「社員が誇れる会社」を目指しています。

また、自分が生まれ育った八王子にこだわり、「地域で一番の不動産会社になる」とも言い続けてきました。不動産業は、お部屋の紹介から資産運用のサポートまで多岐にわたるため、「人と人のつながり」を途切れさせないことも大切にしています。

飲食店からサッカーチームまで、地域を盛り上げる事業を展開

ーー事業内容やサービスの強みを教えてください。

杉本浩司:
メイン事業は賃貸仲介・管理業務です。不動産売買やコンサルティングにも力を入れております。「アパマンショップ」のネットワークに加盟し、八王子市・多摩市・日野市エリアで8店舗を展開しています。

「アパマンショップ」のブランド力と認知度を生かして、全国からお客様を集められることは大きな強みです。さらに、ブラジル料理を味わえるダイニング・バーの「NóssA(ノッサ)」、コワーキングスペースの「fabbit八王子」、「SOHOプラザ八王子東町」、サッカーチーム「FC NossA八王子」を経営し、地域を盛り上げています。

地域密着にこだわるからこそ、大手にも勝てる不動産会社として、なるべく八王子にゆかりのある人や、地元愛の強い人を採用していることも特徴です。

ーー事業の幅を広げるきっかけがあったのでしょうか?

杉本浩司:
2013年にブラジルを再訪し、昔のサッカー仲間や地元の人たちと交流したことで、人生において「本当に大切にしたいもの」と向き合いました。当時は事業を拡大することばかり考えていましたが、「人のつながり」が大事なのだと改めて気づいたのです。

「みんなが集まれる場所」としてつくったブラジル料理店には、会社のお客様からサッカー仲間まで、いろいろな人が集まるようになりました。「八王子のサッカーチームをつくろう」という発想には、僕の子どもがサッカーを始めたことも影響しています。

本業以外で利益を追う必要はありませんが、新規事業での出会いがお客様を呼ぶケースや、自主的に人の輪を広げる社員が増え、インナーマーケティングにも役立っています。

信頼を積み重ねた先で辿り着きたい「地域になくてはならない会社」

ーーどのような人材が貴社で活躍できるでしょうか?

杉本浩司:
不動産業は「責任と信用の積み重ね」が大きな成果につながるため、一時だけ・自分だけが儲かればいいと思う人は長く活躍できないでしょう。「三方よし」を意識して成長し続ける人は仕事が増えますし、業界の先輩方を見ても確かだといえます。

弊社では、スタッフが「大家さんのベストパートナー」であってほしいという考えから、お客様が末永く付き合いたいスタッフを「担当者」として育て上げています。「物件管理から資産管理まで」をスローガンとして、大家さんの収益を最大化することで信頼関係が強化されるのです。

ーー今後の展望をお聞かせください。

杉本浩司:
八王子・日野・多摩エリアにおいて、地域の賃貸管理市場のシェア10%以上を獲得していきたいと思っています。「八王子の不動産会社といえばエスエストラスト」と、真っ先に名前が挙がる会社になることが10年後に向けての目標です。

また、地域から必要とされる会社となり、八王子を「みんなが住みたい街・住み続けたい街」にしたいという思いもあります。そのためにも事業の柱を増やし、お客様に提案できるサービスを充実させていきたいですね。八王子にJリーグチームとスタジアムをつくることができれば、街に新たなシンボルが生まれ、より地域が盛り上がる。そんなビジョンも描いています。

編集後記

八王子という街を愛し、地元ならではのチームプレーを重んじてきた杉本社長。「人とつながる仕事」から派生したコンテンツが、不動産業の輪を広げただけでなく、大好きなサッカーへの思いを体現するステージにもなったことが喜ばしい。地元で活躍したい人や、スポーツが好きな人たちが働く上でも、非常に魅力的な会社だといえる。

杉本浩司/1976年生まれ。1995年、高校卒業後にブラジルへサッカー留学。サンパウロ州2部チームとプロ契約。帰国後、Jリーグプロテストを数チーム受けるも玉砕。1999年、株式会社エスエストラストに入社。2005年より代表取締役社長に就任。