※本ページ内の情報は2025年4月時点のものです。

株式会社CS-Cは独自の専門性と明確なビジョンを持つマーケティング会社である。同社が注力するのは、「ローカルビジネス(飲食店、美容・治療院、旅館・ホテルなど地域に根差した店舗ビジネスの総称)」のマーケティング支援だ。

中小企業が多く、潤沢なリソースを持っていないケースが多いローカルビジネスが、いかにして競争を勝ち抜き、地域に根ざしながらも成長していくのか。その課題に挑むCS-Cの取り組みはどのようなものなのか。そして、なぜローカルビジネスにフォーカスすることを選んだのか。代表取締役社長兼CEOの椙原健氏に詳しく話をうかがった。

「店舗×IT」の経験と地域への熱意で会社設立

ーー会社設立までの経緯を教えてください。

椙原健:
大学卒業後、「将来は起業をしたい」と思っていたので、まずは金融について学ぶため、証券会社に就職しました。その後転職し、転職先の会社で店舗コンサルティングの道を選んだことが、現在の事業の土台となっています。入社当初は、フランチャイズ店舗をサポートするSV(スーパーバイザー)の部署に配属をされました。飲食チェーン内で業績が伸び悩む店舗の客層を分析し、店長と面談を重ねながら、商品やサービス、アルバイトの待遇などを改善する取り組みを行う中で、この仕事はフランチャイズ店舗を運営するオーナーの人生を大きく左右する責任のある仕事だと痛感しました。

その後、全国3,000店舗のIT化プロジェクトの事業責任者に抜擢され、当時のガラケー全盛期の状況下で、メール配信システムやECサイト、モバイルメディア、ポイント付与システムなど、先進的な開発プロジェクトに取り組みました。この経験を通じて培った「店舗」と「IT」という2つの専門性を軸に、2011年に弊社を設立し、新たな一歩を踏み出すことを決意したのです。

ーーなぜ会社を設立しようと考えたのですか?

椙原健:
故郷である福島県南相馬市で、商店街が徐々に衰退していく姿を目の当たりにし、大きな心の痛みを覚えました。その経験から、ローカルビジネスを活性化させたいという思いが芽生えたのです。さらには、南相馬市だけではなく、より広い世界で社会に貢献し、世の中を良くする取り組みを行いたいとも願うようになりました。しかし、当時そのような理念を掲げる企業はほとんどなかったため、自ら会社を設立することを決断したのです。

弊社は現在も、ローカルビジネスの活性化と社会貢献という2つをビジョンの柱と位置付けており、利益の一部を海外の教育支援などに活用しながら、理念実現のために活動を続けています。

ローカルビジネスを支える統合型マーケティング

ーー貴社の事業内容と強みについてお聞かせください。

椙原健:
ローカルビジネスのオーナーは、マーケティングやウェブサイト作成、SNSを通じたブランディングといった活動が苦手だったり、手が回らなかったりするケースが多く、大きな課題となっています。しかし、日本には膨大な数の店舗があり、マーケティングをしなければ埋もれてしまいます。弊社ではそうした方々のマーケティング活動を「オールインワン」で担い、課題解決に導く事業を展開しています。

特定の方法に偏ることなく、ウェブサイトの作成から検索エンジンやマップでの集客力向上、SNSの運用、さらにはインバウンド対応まで、連続性を持たせて一括で提供できる点が弊社の強みです。

ーーローカルビジネスの未来の需要について、どのようにお考えですか?

椙原健:
ローカルビジネスの現場でも、インバウンドや海外顧客に向けたマーケティングの需要が今後ますます高まると考えています。現に、飲食店や宿泊施設では、海外から日本旅行を計画している人々にどうアプローチするか、といったニーズが高まっているのです。

弊社ではすでに国内市場だけでなく、海外、特にアジアからのインバウンドをターゲットとするウェブメディアを自社で運営しています。ターゲット国の嗜好を深く理解するため、現地で人気の店舗への訪問や、現地在住の日本人へのヒアリング、SNSのトレンド分析といった活動も行っているところです。

さらに、海外向けマーケティングをより効果的に提供するための試みとして、自社でラーメン事業を立ち上げました。この事業を通じて得たノウハウを活かし、今後は海外展開も視野に入れています。ローカルビジネスを国際的な視点から支援することが、今後の需要に応える鍵だと確信しています。

AIとDXで実現する社内外での業務効率化

ーー会社としての注力テーマとその取り組みについて教えてください。

椙原健:
社外向けには、マーケティングの周辺領域における新サービスの開発に注力しています。具体的には、求人やコストダウンなど、新たな分野での課題解決に加え、2025年のうちには海外人材の紹介サービスも開始する予定です。これにより、既存のお客様に対して、マーケティングだけでなく、より幅広い課題について支援することで、営業コストを抑えながら事業領域を拡大できるメリットを提供できると考えています。

一方で、社内ではDX推進が課題です。現在、ローカルビジネスの状況分析やレポート作成には高いスキルが必要で、新入社員は約1年かけてこれを学んでいます。その過程で社内資格の取得が必要なのですが、教育を含むこのプロセス全体が大きな負担となっているのです。

ーーそれらの課題に対して、どのような取り組みをしていますか。

椙原健:
店舗分析やレポート作成を自動化する「AIアシスタント」の開発を進めており、実現すれば、約100人のカスタマーサクセス部門の人材の稼働時間を理論上半減できる見込みです。現在、この取り組みはまだ進行中ですが、大きな期待を寄せています。

さらに、SNS投稿の効率化など、他の分野でもAIを活用した取り組みを進めており、これらの施策を通じて社内外での業務効率化と付加価値の創出を目指しています。

ーーどのような人材を求めていますか?

椙原健:
弊社は、ウェブサイトのトップページにも掲げている「ローカルビジネスを世界に誇れる産業へ」というテーマを掲げて活動しており、地方創生に興味のある方にとって非常に魅力的な会社だと思います。このテーマに共感し、そこに価値を見出せる方にぜひ来ていただきたいです。地方の可能性を広げ、社会に貢献するというビジョンに共感してくださる方をお待ちしています。

編集後記

穏やかな語り口の椙原健社長だが、一つひとつの言葉選びや対話の随所から、ローカルビジネスへの並々ならぬ熱意が伝わってきた。地域の店舗を地域住民の間で活性化させるだけでなく、海外へのマーケティングまで視野に入れている。

他社にない強みを持つ株式会社CS-Cならば、「ローカルビジネスを世界に誇れる産業に」も夢ではない。地域と世界をつなぐ心躍る未来はすぐそこだ。

椙原健/1976年生まれ、福島県南相馬市出身。スターフューチャーズ証券株式会社にて金融ビジネスの業務に従事。株式会社ベンチャー・リンクで大手チェーンをメインとしたコンサルティング業務を担当後、ローカルビジネス向けのITソリューションビジネス責任者を経験。経歴を活かす「リアル(店舗)×IT」を掲げ、2011年に株式会社CS-Cを設立、代表取締役社長に就任。