※本ページ内の情報は2025年5月時点のものです。

企業と人材のマッチングサービスを中心に、働く人々の可能性を広げる事業に取り組む株式会社ビースタイルホールディングス。同社は、今ほど働き方の多様性が語られなかった2002年に、その現状に疑問を抱いた代表取締役社長の三原邦彦氏によって創業された。

20年以上、人々の働き方と向き合ってきた同社を支えているものとは何か。三原社長に、会社設立の経緯や同社の強み、会社で活躍している人材の傾向などを聞いた。

友人と開発した人材マッチングシステムが「ソーシャルカンパニー」へと成長するまで

ーー三原社長の経歴をお聞かせください。

三原邦彦:
私が人材マッチングの道を志すようになったのは、大学生のときのことです。派遣会社でアルバイトをしており、友人と一緒に、人材と仕事を効率よくつなぐためのマッチングシステムを開発したことがきっかけです。

私たちはこのシステムを、まだ派遣業を手掛けていなかった株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)に売り込みに行き、そのまま派遣事業の立ち上げという形で、同社に加わることになりました。その後、事業部長や子会社の社長、さらには東日本エリアの派遣事業統括など、さまざまなポジションを歴任し、着実にキャリアを積んでいったのです。

ビースタイルを創業したのは2002年のことです。当時、自分の力で社会に価値を生み出したいと考えていた私は、女性のキャリア形成を事業の軸に据えて弊社を創業しました。当時はまだ寿退社が一般的で、今ほど女性のキャリアが重視されていなかったので、逆風の中でスタートを切ることになりました。

それからは、フルタイム勤務に匹敵する価値を、時短勤務で提供可能な環境を目指し、ひたむきに努力を続けてきました。おかげで今では、グループ全体の導入企業は45,000社以上とつながりを持つ、会社と人を結ぶ一大サービスに成長することができたのです。

ーー会社を経営するにあたって大切にしている理念や価値観を教えてください。

三原邦彦:
弊社では「時代に合わせた価値を創造する」という理念を大切にしています。弊社の社名「ビースタイル」は「best basic style」の略称であり、一番大切な理念を社名に掲げることで、日々創業当初の思いをかみしめながら、業務に向き合っています。

そして、この理念を実現するために意識しているのが、「売ってよし」「買ってよし」「世間よし」の三方よしに「仲間よし」を加えた「四方よし」という価値観です。

この価値観は、人材マッチングを通じて社会課題を解決に導く「ソーシャルカンパニー」として、欠かすことができない要素です。社会における幸せを語るのであれば、もっとも身近な存在である、社員を幸せにすることも非常に重要だと考えています。

多角的なソリューションで、会社が抱えるさまざまな人材の悩みにアプローチ

ーー貴社の事業内容と独自の強みをお聞かせください。

三原邦彦:
しゅふに特化した時短派遣サービスの「しゅふJOBスタッフィング」や、専門職・企画職の即戦力人材の派遣・紹介サービスの「スマートキャリア」などの派遣・紹介事業を祖業とし、しゅふの採用に特化した求人サイト「しゅふJOB」のメディア事業があります。そのほかにも、生成AIをはじめとするIT技術を駆使したオフィスワークのDX支援にも取り組んでいます。

中でもマッチングサービスは人と会社をつなげるソリューションとして、多くの方に利用いただいております。たとえば、求人サイト「しゅふJOB」では、北海道から沖縄まで全国を対象に、多種多様な職種・スキルを持つ人材と企業のつながりを持っていますし、派遣・紹介事業の「スマートキャリア」では、フレキシブルな働き方を提案することで、通常の社員採用では出会えない、ここだけのマッチングを提供可能です。

労働力不足の深刻化により、1つの会社が複数の課題を抱えていることが多い昨今において、このような多角的なソリューションを提供できることは、大きな強みといえます。

「四方よし」の精神を体現し、成長を続けるために必要なこととは

ーー貴社では、どのような特徴を持った人材が活躍していますか?

三原邦彦:
特に活躍しているのは、理想を追い求める自律的な人材です。向上心が強いうえに、成功体験も多く重ねている傾向にあるため、仕事に対しても情熱的に取り組んでくれます。また、仕事の目標をゲームのようなクリア対象として考え、挑戦的に取り組んでくれる人材も頼りになります。

採用においては、新卒と中途をバランスよく採用し、適材適所を意識することを重要視しています。新卒で入社した方には、チャレンジできる環境で自己成長を第一に頑張ってもらい、中途で入社した方には、豊富な業界経験で組織を成長に導くことを目指してもらっています。

ーー今後、貴社が成長を続けるために重要だと思う要素は何ですか?

三原邦彦:
組織が長期的に成長を続けるためには、社員が精神的にも物理的にも安心して働ける環境が重要です。そのためには、時短勤務やリモートワークといった働き方の自由はもちろん、金銭面でも社員をサポートしていく姿勢が必要だと考えています。

その代表的な例として、弊社には、新卒で入社した社員の奨学金を会社が肩代わりする「bstyle Scholarship Fund(ビースタイル スカラーシップ ファンド)」という制度があります。日本では奨学金の受給率が増加傾向にあり、大学生の2人に1人が奨学金を利用しており、今後、物価高騰が続く中で負担はさらに増していくと考えられます。こうした背景をふまえ、若手人材のキャリア支援の一環として本制度を導入しました。

また、事業の拡大には、社員一人ひとりが「時代に合わせた価値の創造」という理念の体現者になってもらう必要があります。そのためにも個人としての社員に向き合い、しっかり理念を伝えていくことが大切です。

そしてやがては、会社から地域、地域から全国へと理念を広げていき、一人でも多くの方が自分らしく働ける社会を実現したいと思っています。事業を通じてこの理念を広げることこそが、弊社の存在意義だといえるでしょう。

編集後記

ビースタイルホールディングスの時代に合わせた価値を創造する理念、そして「四方よし」の価値観に基づいたビジネスモデルは、価値観が目まぐるしく変わるこの時代において強力な武器になるものだ。現代の日本は多くの課題を抱えているが、同社であれば、それらを受け入れたうえで最適な道を探せるのではないだろうか。三原社長の注目する先にこそ、社会課題を解決するヒントが隠されているのかもしれない。

三原邦彦/1970年東京都生まれ、芝浦工業大学卒業。大学在学時から株式会社インテリジェンス(現・パーソルキャリア株式会社)にて派遣事業の立ち上げに従事。卒業に伴い同社に入社。2000年に同社の子会社であるECサーブテクノロジー株式会社の代表取締役に就任。2002年に幼馴染の増村一郎氏と株式会社ビースタイル(現・株式会社ビースタイルスマートキャリア)を設立。2020年にホールディングス化し、株式会社ビースタイルホールディングスの代表取締役社長に就任。