※本ページ内の情報は2025年4月時点のものです。

株式会社SOLIAは、2013年に設立された化粧品・健康食品等の企画・販売などを行う会社だ。特に設立とほぼ同時に販売が開始されたベビー向けオーガニックスキンケア「ALOBABY(アロベビー)」は、amazon・楽天で各部門1位に輝いたこともある大ヒット商品。他にもプロテイン「アンビーク」など、さまざまなブランドを展開している。同社を設立した西口征郎氏に、これまでの経緯や今後の展望などについてお話をうかがった。

P&Gでのマーケティング経験×自分が好きなもので起業!モチベーション維持が成功のカギ

ーー株式会社SOLIAを設立された経緯を教えてください。

西口征郎:
私は大学院を卒業したあと、まずはP&Gに入社しました。ファブリーズやジョイといった人気商品のマーケティングを手がけていました。2007年に新卒として入社したのですが、当時は起業家ブームの真っ最中。藤田晋さんや堀江貴文さんなどがメディアに取り上げられたり、「ヒルズ族」といった流行語も生まれている時代でした。私自身はマーケティングを学ぶことにやりがいを感じていましたが、そうした起業家の方が事業を大きくしていくニュースを見て「自分も挑戦したい」という気持ちはずっと持ち続けていたように思います。

最初は漠然と「ベンチャー企業=IT企業」という思い込みを持っていましたが、会社を設立するにあたって、自分が好きな分野で挑戦したいという思いがありました。P&Gでマーケティングに携わっていたこともありますが、ドラッグストアの品揃えを見るのも好きでずっと続けていたので、弊社の事業をスキンケア商品の開発・販売に決めた経緯があります。

ーー設立前後で苦労したことはありますか。

西口征郎:
人材活動と、事業成長についてです。

まず人材活動については、「モチベーション維持のためにどうすべきか」という悩みがありました。私自身、基本的に仕事が好きで苦にならない性格だったのですが、ITベンチャーにいたときに、仕事へのモチベーションを保つことに苦労したことがありました。環境によって人のモチベーションは大きく変わることがわかった経験でした。そのため、設立当時から現在まで、共に働く部下のモチベーションにも気を配っています。たとえ今のポジションで活躍できなかった場合でも、その方自身が問題なのではなく、違う業務を任せることで活躍できる場合もあると捉えています。

そして事業成長については、これまでP&Gという大企業でマーケティングをしていたため、新しくできた会社でブランドをゼロからつくるという経験は起業してから初めてのことでした。ゼロの状態から作り上げることを試行錯誤し、どうすれば事業成長を実現できるのかということはずっと考えてきました。

複数ブランド展開で失敗もノウハウにできる環境

ーー具体的には、どのように事業を大きくしてきたのでしょうか。

西口征郎:
たとえばアロベビーでは、オンライン・オフライン両方で販売をスタートしました。しかし営業社員が大勢いるわけではないので、オンラインに注力し、P&Gで学んだマーケティングの知識を役に立て、アロベビーのヒットや、他の商品の販売時にも良い結果につなげることができました。

弊社の考え方として、「失敗してもそれを次に活かせばいい」というものがあります。実際にこれまで手がけてきたプロジェクトは、思い通りにはいかず、良くも悪くも9割ほどは想定外の結果となっています。たとえ一度失敗したとしても、そこから学びを得て、次につなげること、うまくいった結果やコツを他のブランドに応用していく行動指針を大切にし、ブランドの発展に活かしています。

オンライン・オフライン両方で顧客接点を増やし事業成長

ーー今後の事業展開について教えてください。

西口征郎:
アロベビーがヒットしたあと、次の商品を生み出すまでにさまざまな検討を行いました。そこで、時代のニーズをキャッチし、現在では「AMBiQUE(アンビーク)」というブランドを立ち上げ、メンズ向けのスキンケア商品やプロテインなどを販売し、順調に成長しています。アロベビーやアンビークで行った数多くの試行錯誤は、現在進めている新ブランドの開発にも活かされています。

これら全ての商品にいえることですが、私たちは「お客様との接点を多く持つ」ことの重要性を実感しています。そのため、ECサイトだけではなく、卸展開にも力を入れています。

今後の方針としては、「事業規模を急激に拡大する」というよりは、「今ある武器を見直し、より活用していく」という考え方に近いと思います。周囲からは「SOLIAの特徴は、アグレッシブさと、堅実さを兼ね備えている点だよね」と言われることが多いです。「AMBiQUE(アンビーク)」広告についても、大きく費用をかけて広告投資をしていますが、データ分析に基づき収益化を見込めると判断したうえで攻めの広告をうっています。

自社のことを「消費財ベンチャー企業」と定義する弊社は、これからも新ブランドを開発し、オンライン・オフライン両方でプロモーションを行っていきます。今後はヘアケア、ペット向け商品、美容雑貨などにも挑戦していきたいと考えています。顧客接点としてはバラエティショップやドラッグストア、たとえばドン・キホーテさんのような大型店舗にも商品を置いていただき、より多くの方の目に留まるようになると嬉しいです。

現在、弊社の売上高は約60億円です。まずは10年後を目標に売上高500億円を目指し、上場も視野に入れています。設立以来、増収増益を続けており、5年後・10年後にはノウハウも蓄積され、成長スピードはさらに加速すると考えています。

ーー会社の成長を支える人材についてはどのようにお考えでしょうか。

西口征郎:
変化を厭わないChallenge Spiritがあり、挑戦したらやり切るGrit Mindがある人を求めている。私たちはそういった人を「進化欲」の強い人と呼んでいます。全員が得意分野をそれぞれ持ち、強みを活かすことが会社の成長につながると思っています。

また、弊社は圧倒的な裁量権がある会社です。若手社員も「それがこの会社の強み」と言うくらいです。共に働く仲間にも、情熱と大きな裁量を持ってやりがいを感じながら、仕事に取り組んでほしいですね。

編集後記

ヒット商品「アロベビー」だけでなく、新ブランドも積極的に展開している同社。自らの会社を「消費財ベンチャー企業」と位置づけ、カスタマーの声をもとに新ブランドを開発・発表し、育てていく姿勢が印象的だった。P&Gで培ったマーケティングスキルを活かし、冷静・慎重に先を見据え、失敗も次に活かせる経験だと捉え積極的にチャレンジを続ける西口社長。彼のもとで、同社の各ブランドを目にする機会はこれからますます増えていくことだろう。

西口征郎/1982年生まれ、2007年京都大学大学院工学研究科を修了後、P&Gに入社し、マーケティング本部に配属。ファブリーズやジョイなどのマーケティングに従事。2013年、株式会社SOLIA設立、ベビー向けスキンケア「ALOBABY」を発売しAmazon・楽天でNo.1に。「消費財ベンチャー企業」という位置づけを掲げ、メンズ向けボディメイク「AMBiQUE」、ヘアケア「Linon」など、複数のブランドを展開している。