※本ページ内の情報は2025年5月時点のものです。

iPhoneやスマートフォン向けの充電器、ハンズフリーイヤホンマイク、ストラップ、液晶保護フィルム、ケースなどの周辺アクセサリーの製造・販売を手掛ける株式会社エアージェイ。各種OEM製品の製造・販売事業の他、中古車の買取販売など、多角的に事業を展開している。同社の事業は、どのように成長してきたのか。創業者・代表取締役の内田康之氏に、起業の経緯や事業の背景、今後の展望をうかがった。

幼少期から培った金銭感覚と行動力が企業の原点

ーー社長のご経歴を教えてください。

内田康之:
私の家は貧しく、子どもの頃は欲しいものがなかなか買えない日々を過ごしました。そのため、小学生の頃は親の手伝いをしてお小遣いをもらったり、落ちている空き瓶を酒屋に持ち込み換金したりと、工夫してお金を手に入れていました。その後も中学時代には新聞配達、高校時代にはファミレス店でアルバイトをするなど、常に自分で考えてお金を稼いでいましたね。この経験によって、「どうやってお金を稼ぐか?」という考え方が身につき、営業職としての仕事に活かされたのだと思います。

高校卒業後は専門学校に入学したものの、親戚の飲食店事業を手伝うことになり、中途退学しました。その会社で料理人として手に職をつけたのですが、交通事故で入院したことをきっかけに「違うことをやってみよう」と考え、秋葉原の家電販売店に転職したのです。

さらにその後、小さなPCサプライ会社に営業職として転職しました。営業だけでなく商品企画のアイデアをいくつも提案したところ、それらが採用されて、トップの成績を収めることができました。約8年もの間、粉骨砕身して営業努力を続けた結果、3年間で会社売上高は約3倍になったのですが、次第に社長と意見が合わなくなって退職しました。

ーー退職後、なぜ起業しようと考えたのですか?

内田康之:
退職時に、これまでの営業先の方に退職の案内をしたところ、ある店舗の店長から、「自分で会社をやってみてはどうか」と背中を押していただいたことがきっかけでした。他のバイヤーさんからも励ましの言葉をいただき、営業冥利に尽きる思いでしたね。当時はまだ30代で若かったこともあり、「たとえ事業に失敗しても、貴重な経験ができる」と考えて、起業に踏み切りました。

スマホ関連商品から、カーレースをきっかけに中古車販売事業を展開

ーーどのような事業を展開していますか?

内田康之:
創業時から、スマートフォンアクセサリー、OAアクセサリーの製造・販売事業を展開しています。弊社製品の強みは、唯一無二の商品であることと、利便性が高いこと、そして、人の役に立つ商品であることの3点です。

たとえば、弊社のポータブルソーラー充電器は、2011年の東北大震災をきっかけに開発したものです。当時、弊社は被災地にコンセント型の充電器を300万円分寄付したのですが、避難所ではコンセントの数が限られていたため、多くの人が充電できない状況でした。そこで、太陽光を活用してスマートフォンを短時間で充電でき、災害時にも役立つ商品として、ポータブルソーラー充電器を開発したのです。

他にも、複数のデバイスを一度に充電できるケーブルや、リサイクル可能なパッケージなど、オリジナリティにあふれた役立つ商品を開発しています。

ーー主力事業以外に、どのような事業を展開していますか?

内田康之:
3年ほど前に、中古車販売の事業を立ち上げました。

中古車販売事業を立ち上げたきっかけは、私が50代になってから趣味として始めたカーレースでした。私はもともとモータースポーツのライセンスを取得しており、そのときに知り合ったプロの方に、ランボルギーニを使ったレースがあることを教えてもらい、出場を勧められたのです。

このレースをきっかけに、当時のランボルギーニの社長とお会いする機会を得て、同社のライセンス商品を扱う許可を得ました。それを皮切りに、フェラーリやBMW、メルセデスなど、さまざまなカーブランドのライセンスが次々に取れるようになったのです。現在では、国内外のほとんどのカーブランドのライセンスを取得して、国内で流通させています。

さらに、多くのプロドライバーの方と知り合ったご縁で、有名なチャンピオンの方を弊社の自動車部の部長として迎えることができました。そのおかげもあり話題性とレース業界で築いた人脈によって、中古車販売事業を立ち上げることになりました。

中古車事業の多店舗展開を目指す

ーー最後に、貴社の今後の展望をお聞かせください。

内田康之:
現在、中古車部門において、多店舗展開を視野に入れて土地や物件の選定を進めています。その過程で、不動産ビジネスが視野に入ったため、今後は不動産ビジネスの方面でも事業を展開していく方針です。

スマートフォン関連ビジネスでは、大手企業との提携を強化し、売上の倍増を目標に掲げています。今後10年は販路拡大を進めながら、各事業の強みを活かした販売戦略を推進していく予定です。さらに、近年立ち上げた文具・雑貨関連事業においても、新たな市場開拓を進めています。

また、近年では大手ビジネスホテルチェーン店の全室に弊社の充電器が設置されるなど、法人からの依頼も増えており、ブランディングの強化も重要な課題となっています。商品へのロゴの配置などで広告効果を図り、弊社の認知度の向上に努めていきたいですね。

編集後記

「幼少期に工夫してお金を得ていた経験が、営業職時代に活かされた」と語る内田社長。ビジネスのアイデアを生み出す才能が、幼少期から培われていたことがうかがわれる。人に役立つスマホグッズの提供から始まり、中古車事業や不動産事業への進出を果たすなど、多角的な経営方針を打ち出している株式会社エアージェイ。今後はどのようなアイデアが創出されるのだろうか。内田社長の次なる一手に期待が高まる。

内田康之/1964年千葉県生まれ。高校卒業後、日本工学院専門学校を中退し、親戚が経営する飲食店に入社。家電製品販売店やPCサプライ会社での勤務を経て、1999年に株式会社エアージェイを創業、代表取締役に就任。スマートフォン関連グッズの製造販売の他、中古車自動車販売も手掛け、創業26年目を迎えている。