※本ページ内の情報は2025年5月時点のものです。

地面に穴を掘り、その土地が何でできているかを調査する「地質調査」と建物の基礎を固める「地盤改良工事」をメインに手がける株式会社リークス開発。近年では防火水槽の設置工事や産業廃水処理施設の建設まで事業領域を広げている。20代で専務取締役に就任し、2025年9月に代表取締役へ就任予定の森下賢太朗氏に話を聞いた。

オフィスと焼肉店を行き来し、経営者としての基礎を身につけた

ーーもともと会社を継ぐことは考えていましたか?

森下賢太朗:
私が家業である弊社を継ぐことを意識し始めたのは17歳のころでした。私は4人兄弟の三男なのですが、一番上の兄は経営よりも営業のほうが好きで、「数字を管理するよりも人と話すことが好き」と話し、次男は家業とは別の道を選んだので、自然と私が継ぐという意識が芽生え、2017年に弊社へ入社しました。

ーー入社後はどのような経験をしましたか?

森下賢太朗:
最初は経理や総務を担当していました。それと並行して、当時別事業で経営していた焼肉店の仕事もしていましたね。朝は会社に来て、夜は焼肉店へ行くという生活でした。会社で実務的な総務や経理を学びながら、焼肉店でお金の管理について理解を深めていったのです。

入社後、4年ほどで専務取締役となり、2025年9月には社長に就任する予定です。これは、父が祖父を若くして亡くした経験からで、早めに事業継承を進めたいという考えを持っているのです。急速なキャリアに戸惑いもありますが、周りの方々への感謝を忘れず歩んでいます。

地質調査を軸に多様な事業領域で社会を支える

ーー貴社の事業内容について教えてください。

森下賢太朗:
弊社は創業以来、地質調査を核として事業を展開してきました。地質調査とは、地面に穴を掘り、地中の状態を詳しく調べて報告書にまとめることです。これが基礎となり、建築物の下部に杭を打ち込んだり、セメントや鉄材で補強したりする地盤改良工事へと事業を拡大してきました。

その後事業の幅はさらに広がり、現在では防火水槽の設置工事も行っています。これは消火栓やため池などからの取水が難しい場所を守るための設備で、火災発生時に初期消火に使用される水を貯めておくための地下タンクです。これは土中に埋設されているため普段は見えませんが、重要な防災インフラとして機能しています。

また、水に関連する工事としては、産業廃水処理施設の建設も手がけています。たとえば、食品工場などでは果物の搾りかすなどを含む廃水が出ますが、これは通常、莫大なコストをかけて産業廃棄物として処理しなければなりません。しかし、オゾンを用いてこれを処理することで、産業廃棄物ではなく下水として流せるようになるのです。こうした水関連の土木工事も弊社の重要な事業の1つです。

ーー貴社ならではの強みはどのようなところにありますか?

森下賢太朗:
まず、多様な工法に対応できる柔軟性が挙げられます。地質調査や杭打ち工事において、セメントを打設する方法1つをとってもさまざまな工法があるのですが、弊社にはそれらの工法を横断的に扱えるノウハウがあります。加えて、協力会社とのネットワークが強く、そのつながりを活かして工事を進められることも強みです。幅広い案件に対応できるため、お客様にとって最適な解決策を提供できるのです。

また、弊社は多くの社員を抱え、10班ほどで現場の対応に当たっています。これは、関西では5本の指に入る規模だと自負しています。地質調査業では、個人事業主の方も少なくありませんが、しっかりと社員を雇用し、チームで対応しているところも差別化のポイントだといえるでしょう。

未経験から一人前の技術者へ、教育と待遇で支える若手の成長

ーーどのような人材を求めていますか?

森下賢太朗:
現場で活躍してくれる若い方に来ていただきたいですね。弊社では未経験者の方でも、1〜2年でしっかりと技術を身につけられる教育体制を整えています。また給与面にも力を入れており、若いうちから安定した生活基盤を築ける環境が整っています。実際、最近入社した社員の中には、早い段階で車や家を購入した人もいるようです。加えて、社員の住環境にも配慮しており、本社上階に寮を用意しています。

また年に数回、宝塚のカート場を貸し切ってレース大会を開催したり、家族や友達も参加できるバーベキューイベントを実施したりするなど、社内の結束を強める機会を設けています。こうした環境に魅力を感じていただける方はぜひ、入社をご検討いただけますと幸いです。

ーー今後の展望や大切にしていきたいことを教えてください。

森下賢太朗:
創業以来築き上げてきた技術と人材を尊重し、これからも社員が誇りを持って働ける会社でありたいと思っています。特に長年弊社で活躍している社員の方々には、幸せな気持ちで定年を迎えてほしいという思いが強いですね。

幼いころ、私が弊社に遊びに来ると、現場から帰ってきた社員の方々が優しく声をかけてくれました。当時は「遊んでくれるおじさん」という認識でしたが、今ではその方々が弊社を支えてきてくれたのだと理解しています。引退する際に、「この会社にいてよかった」と思ってもらえるよう、これからも働きがいのある職場環境づくりに取り組んでいきます。

地質調査という仕事は、今後も人の技術が必要とされる分野です。これからも社会の発展を縁の下から支えていけるよう、社員との絆を大切にしながら、一歩一歩前進していきたいと思います。

編集後記

若くして経営の重責を担うことになった森下氏。その背景には祖父の早逝という家族の歴史があった。技術者集団として確かな実績を積み上げてきたリークス開発だが、森下氏が最も大切にしているのは「人」だ。先輩たちへの敬意と感謝を忘れず、次の時代へと会社を導いていく姿勢に、事業継承の本質を見た思いがした。

森下賢太朗/1996年、大阪府堺市生まれ。2017年、株式会社リークス開発に入社。2021年、同社専務取締役に就任。2025年、代表取締役に就任予定。