※本ページ内の情報は2025年5月時点のものです。

顧客が自社の事業に専念できるよう、ITインフラの運用管理を支える株式会社ハートビーツ。同社は専門性の高いエンジニア陣による24時間365日体制のサーバー運用管理代行や、クラウドを活用したITインフラの整備などを提供している。「AWS レベル 1 MSSP コンピテンシーパートナー」として国内2社目の認定を受けるなど、技術力で多くの顧客から信頼を得ている同社の代表取締役、藤崎正範氏に話を聞いた。

大学時代のアルバイトから始まった起業への道のり

ーー創業に至った経緯について教えてください。

藤崎正範:
私は大学時代、大学の夜間主コースに通っており、学費と生活費を稼ぐために知人の紹介でサーバー運用のアルバイトを始めました。3年間アルバイトを続けた後、退職する際に「個人で仕事を受けてくれないか」と声をかけていただきました。独立は全く予定していなかったのですが、これを機に2003年にフリーのインフラエンジニアとして活動することになったのです。

フリーになって2年目を迎えるころには、口コミで多くの相談をいただけるまでになっていました。そこで仲間を増やしていくために法人化を決意し、2005年、26歳のときに株式会社ハートビーツを設立したのです。フリーのころからお付き合いのあるお客様に法人化の報告をしたところ、年齢のこともあって心配されましたが、「応援しよう」と仕事をどんどんいただきました。その結果、法人化前は1000万円だった売上が3000万円に増えたのです。

ーー法人化後に苦労されたエピソードをお聞かせください。

藤崎正範:
売上高比率の9割以上を占めていた取引先の親会社が倒産してしまったことですね。子会社も連鎖的に倒産してしまったため、案件が大幅に減り、会社の口座残高が毎月減っていくという大変な状況になってしまいました。そこで、社内で危機感を共有し、1社に依存せず多くのお客様から契約を獲得しようと動き出したのです。会社の口座残高が、設立当初の資本金である10万円を切る時期もありましたが、そこから立て直しに成功し、2年目には7800万円の売上を達成できました。

高い専門性とわかりやすい料金体系で提供する安心のサービス体制

ーー貴社の事業内容を教えてください。

藤崎正範:
弊社は、多様な企業のITインフラを対象に、運用管理を代行する「フルマネージドサービス」を提供しています。 このサービスは、「24時間365日の有人監視による一次対応」と「インフラ運用のプロフェッショナルによるサーバー管理代行作業」を組み合わせたものです。サーバーの異常検知から初動対応、システムのチューニング、障害復旧までを一貫してカバーしています。サイトのレスポンス低下やサービス停止といったトラブルにも迅速に対応し、安定したサービス提供を支えます。

また、ITインフラの設計や構築、コンサルティングも手がけており、現在では150社以上の企業にご利用いただけるまでになりました。お客様の事業をITインフラの運用面から支えることで、お客様が本来の事業に専念できる環境をつくり、事業の成長を促進することを目指しています。

ーー貴社の強みはどのようなものですか?

藤崎正範:
強みの一つは、エンジニアの高い技術力です。弊社のエンジニアの約20%が執筆や寄稿の経験があり、技術書の出版社から厚い信頼を寄せられています。そうした技術力が、社内の人材育成にもつながっていることも強みです。技術力や応用力をしっかり身につけたエンジニアを育てることで、多種多様なプラットフォームへの対応を実現しているのです。

加えて、サービスの月額料金が固定されていることも強みと言えるでしょう。同業他社は工数に応じて料金が変動するモデルを採用していることが多いのですが、弊社はITインフラの構成が変わらなければ費用は固定です。これを実現できるのは、アラートが大量に発生して困らないよう、監視をチューニングして誤報を出さないようにしたり、根本の解決を図ったりするからです。ITインフラは常に変化し続けるものなので、これに対して最適な状態を維持できるように取り組んでいます。

顧客と共に成長していく

ーー最後に今後の展望についてお聞かせください。

藤崎正範:
より多くの企業の成長を支援するために、今後も仲間を増やしながら、サービス品質をさらに高めつつ、事業規模を着実に拡大していくことを目指しています。

そして、ハートビーツが一人ひとりの力でしっかりと前に進み続けられる組織になるよう、仲間とともに土台を築いていきたいと考えています。IT業界は環境の変化が激しく、その中で勝ち抜く力のある会社にしていきたいですね。「ITインフラ運用と言ったらハートビーツ」と思っていただけるよう、これからも技術力を磨き続けていきたいと思います。

編集後記

取材中、藤崎氏は何度も「お客様の成長」という言葉を口にされた。その姿勢こそが、単なるサービス提供者ではなく、ビジネスパートナーとして選ばれる理由なのだろう。縁の下の力持ちとして、日本のITインフラを支え続けるハートビーツの姿に、真のプロフェッショナリズムを感じた。

藤崎正範/福岡県北九州市生まれ。電気通信大学、グロービス経営大学院卒。大学在学中のアルバイトをきっかけにITインフラ運用業界に携わり、ベンチャー立ち上げなどを経験。2003年、フリーのインフラエンジニアとして独立。2005年、株式会社ハートビーツを設立し、代表取締役に就任。その他、日本MSP協会 理事や、InternetWeekプログラム委員、電気通信大学企業家懇話会 会長なども務める。