※本ページ内の情報は2025年5月時点のものです。

2014年の設立以来、「誠心誠意、信用第一、以心伝心 」の理念のもと、海外向けの発送代行を事業スタイルとし、日本の優れた商品を世界に届けている順通貿易株式会社。

独自の物流ルートと通関の対応力を活かした迅速な配送で、顧客視点でのサービス設計で競合との差別化を図ってきた。ビジネス需要を敏感に察知し、圧倒的な邁進力を持って事業拡大を進めている王氏に、事業への思いや今後の展望を聞いた。

真の需要をとらえ勝機を見出した発送代行事業

ーー会社設立までの経緯を教えてください。

王怡川:
私は中国で生まれ、12歳のときに両親の仕事の関係で日本に移住しました。しかし、大学在学中に父の会社が倒産したため中退しなくてはならず、知り合いの貿易会社社長のアルバイトアシスタントとして働き始めました。

昔から商売に興味があり、社長のもとでビジネスを学ぶうちに貿易で独立したいと思うようになったのです。その後社長からも「自分でやってみたらどうか」と背中を押していただき、2005年に個人事業主として独立し、中国からの商品を仕入れ日本で販売していました。そして、2014年に順通貿易を設立して、物流事業中心の経営をスタートさせました。

ーー発送代行事業を展開したきっかけは何でしたか?

王怡川:
物流事業で培った自社の物流ルートや、中国の通関対応力が活かせると思ったからです。独立当初は、輸入アクセサリーの販売がメインでしたが、2011年頃に日本製品の購入代行需要が高まり、発送代行事業を始めました。

在庫リスクがなく流行にも左右されにくい事業ですが、当初は競合も多く価格競争になりがちな市場でした。しかし、価格で勝負すると利益が出ず、会社を回せません。そこで、サービス面で勝負しようと決断し、真の需要は「購入品が速く、美品のまま届くこと」だと考えました。

ーー日本製品はどのような国から需要があるのでしょうか。

王怡川:
取引先は主に中国ですが、オーストラリアやカナダ、ヨーロッパなど世界中から需要があります。日本製品は品質と安全性から非常に人気があり、特にスポーツ用品や家電製品は供給が追いついていないほどです。

仕入れ先は主に日本中の問屋ですが、人気商品は買えないこともあるのでAmazon、楽天といったECモールでも購入していますし、直接メーカーから仕入れることもありますね。

新事業立ち上げで、より顧客ニーズに沿ったサービスを設計

ーー貴社の強みを教えてください。

王怡川:
「速く届ける」「丁寧な梱包」「的確な顧客対応」の3点です。たとえ売れる商品を持っていても、多くの事業者にとって、物流ルートや通関が大きな障壁となりがちです。しかし、弊社は自社ルート配送を確立しており、これまでの実績と信頼により、通関手続きが円滑に行えるため、段違いの速さで仕入れからお届けまで進められる強みがあります。ここは、競合他社との差別化で重要な要素です。

また、海外では荷物を丁寧に扱ってもらえない可能性もあるので、私たちは高品質の梱包材での丁寧な梱包を徹底しています。そして、中国語と日本語の両方に対応できるだけではなく、日本の文化や最新の流行にも精通しているスタッフを日本国内に配置することで、丁寧で的確な顧客対応を可能にしています。

ーー今後事業拡大にむけての展望をお聞かせください。

王怡川:
輸出入両方の基盤を固め5年以内に年商200億円を達成すること、その施策として「中国商品の発送代行事業立上げ」「海外事業拡大」「自社ブランド製品企画」を計画しています。

近年、日本での中国製品需要が高まっていますが、お客様が購入してから手元に届くまでに10日ほどかかるケースも少なくありません。この課題を解決するため、弊社は中国製品を国内に一時的に保管し、迅速な発送代行サービスを提供できる体制を整えるべく、新たに倉庫を確保しました。

初回の輸入品が2025年4月中旬に届く見込みで、2カ月ほどのトライアル期間を経て本格的に稼働していく計画です。幅広いジャンルの商品を販売する人気のECサイト「Temu」の発送代行も予定しています。

また、東南アジアやオーストラリア、ニュージーランドといった日本製品需要が高い地域への既存ビジネスの拡大も進行中です。

そして、いずれは配送だけでなく、自社ブランド製品の開発をして日本や中国で販売するという大きな目標があります。この挑戦は過去に2回挑戦したのですが実現できなかったので、次は必ず達成したいですね。

曲がらない信念が目標達成のための必須要素

ーー貴社ではどういった方が活躍していますか?求める人物像についても教えてください。

王怡川:
中国語と日本語が堪能な方です。現在活躍してくれているのは、中国からの留学生や、中国に留学経験がある日本の方が多いです。「どんな苦境も、信念を曲げず頑張れば乗り越えられる」という私の考えを理解し、業務に従事してくれています。人が避けがちな業務でも、前向きに誠実に取り組めば必ず力になるので、能力や経験に関わらず積極性を持った方と挑戦していきたいですね。

編集後記

鋭いセンスで需要をとらえ、競合他社から抜きんでたサービスを提供してきた王社長。真摯に熱意を持って事業に取り組む一方で、需要に対し競合分析と自社分析を的確に行い「何が本当に喜ばれるのか」を追求する冷静さのバランスに、ビジネスの神髄を学んだ。

王怡川/1977年中国生まれ、帝京科学大学中退。アルバイト入社した貿易会社でビジネスを学び、2005年個人事業主として起業。輸入販売業を経て2014年順通貿易会社を設立。物流からはじめ、商品発送代行事業を立ち上げる。