※本ページ内の情報は2025年6月時点のものです。

関東・関西・中部エリアのショッピングモールを中心に雑貨店を展開する株式会社オリンピアは、店舗スタッフ一人ひとりの感性と行動力を大切にしながら、カワイイを集めて発信する「ゼッカワカンパニー」を目指している。

その背景には、社員の「自己成長」で企業を成長させるという哲学と、社員自らが店舗運営に挑みブランドを創造していく風土が根付いていた。そんな同社の代表取締役である加藤通浩氏に、オリンピアが目指す組織像と「カワイイ」の先に描く未来戦略を聞いた。

働く楽しさを求めてオリンピアに入社し、女性スタッフが活躍できる現場づくりに注力

ーー加藤社長の経歴や貴社で特に注力したエピソードをお聞かせください。

加藤通浩:
私は大学を卒業したのち、日本NCR株式会社でSE(システムエンジニア)として働いたあと、家業であるオリンピアで働く兄から誘われて入社しました。

入社してからは、長期的な成長を見据えた店舗運営のあり方の模索に力を入れ、ゼロからの店舗づくりに取り組みました。最初は結果が出ずに悩みましたが、店舗デザインにワクワクする要素を盛り込んだところ、少しずつ売上が伸び始めました。

その後、2014年に父から社長を引き継ぎ、今ではカワイイを世界へ発信するためにできることを模索する日々を送っています。あの時の苦悩があったからこそ、今の弊社の姿があるのかもしれませんね。

ーー社長に就任してから、どのような改革を行ってきましたか?

加藤通浩:
特に力を入れたのが、トップダウン型からボトムアップ型への組織構造の改革です。
以前は、社長をトップとした三角形の組織構造をしていましたが、これを現場スタッフを最重要とした逆三角形へと変化させました。

この構造の大きな特徴は、現場の意思を尊重して行動が決定される点にあります。店舗運営を現場責任者である店長に一任し、管理職や本社はサポートに徹することで、店舗の独自性や社員の自律性が育ちます。

それと同時に、性別に関係なく働きやすい職場環境の構築にも取り組みました。以前は男性主体の職場だったのですが、男性社員が女性社員をサポートする制度を導入することで、女性の活躍を促し、今では男女ともにキャリアをステップアップしていける下地が整い始めています。

ショッピングモールを中心に5つのレーベルからなる雑貨店を展開

ーー貴社の事業内容を教えてください。

加藤通浩:
関東・関西・中部エリアのショッピングモールを中心に、「カワイイ」をテーマにしたバラエティ雑貨店「OLYMPIA(オリンピア)」を展開しています。取り扱っているのは文具やアパレル、キャラクターグッズなどで、若年層や女性の方が主な客層となっています。

オリンピアでは「カワイイ」という価値観をより多面的に表現するため、異なるテーマ性を持たせた5つのレーベル「チョコレートレーベル」「アパートメントレーベル」「ハミングレーベル」「オリンピアプラス」「おりんぴ庵」を展開しています。

この取り組みは、かつて「バラエティ雑貨店」という括りの中で埋もれかけていたオリンピアに、明確なブランドの「顔」を与えるものでした。テーマごとの世界観を設計することで、店舗や商品そのものに物語性が生まれ、お客様の印象に残る体験や選びたくなる商品の開発につながっています。

このブランド戦略が功を奏し、小学館「ちゃおっ娘の好きなものランキング2024」“お出かけ部門-よく買い物に行く場所-”第3位にランクインしたり、将来オリンピアで働きたいという声が増えたりといった快挙も成し遂げています。

このような成果を鑑みて、最近はキッザニアのような体験型学習イベントの導入を検討し、子供向けのワークショップや体験イベントを通じて、次世代のファンを育成する施策にも力を入れています。将来的には、オリンピアを好きな子どもたちが弊社に入社してくれたら嬉しいですね。

ーー他社と差別化できる、貴社独自の強みはどのような点にありますか?

加藤通浩:
弊社の一番の強みは「人」の成長によって組織を成長に導くことができる体質にあります。

現在弊社はグリーン組織からティール組織(※1)への進化を目指しています。幸いなことに、弊社は以前から現場スタッフが自ら考えて行動するという、ティール組織に近い特徴を持っていました。そこで私は「ツール」「制度」「風土」という3つの要素に力を入れて、この特徴をさらに伸ばす取り組みを行っています。この取り組みが進んでいけば、弊社はティール組織としてより成熟し、自然と大きく成長を遂げるだろうと確信しています。

また、事業面における弊社の最大の強みは、全方位でカワイイを体現するために「ゼッカワ(絶対カワイイ)」を追求して、店舗全体でその世界観を体現していることです。特に「ゼッカワLab」という商品開発室では、コラボレーションによる雑貨開発や企業向けノベルティ制作などに力を入れております。

(※1)ティール組織:ビジョンに向かって一人ひとりが自立し意思決定をする組織体。

夢は大きく世界一の「ゼッカワカンパニー」を目指す!

ーー今後、貴社をどのように成長させていきたいとお考えでしょうか。

加藤通浩:
弊社のビジョンは「ゼッカワ(絶対カワイイ)」をコンセプトに、かわいさを極めた商品やサービスを日本から世界に広める「ゼッカワールド」(※2)の実現です。

(※2)「ゼッカワールド」:応援、絆作り、価値の再発見を通じて、成長し、助け合い、尊重し合う社会のこと

そのビジョン実現に向けて、中期戦略として「日本一のゼッカワカンパニー」、長期戦略として「ゼッカワを世界に届ける」を掲げて事業を進めています。

具体的には、2029年までに日本一の「ゼッカワカンパニー」になることを目指しています。まずは国内で「カワイイといえばオリンピア」と認識されるブランド力を確立し、そこからアジア市場をメインターゲットに据えて、ノベルティ制作や企業ブランドとのコラボレーションなどでBtoB展開を進めていく予定です。

弊社が目標としているのは、カワイイを通じて社会を元気にすることです。日本から始まったカワイイ文化が世界で幸せの花を咲かせ、その中心にオリンピアがいる。そんな未来を実現するために今後も挑戦を続けていきます。

編集後記

加藤社長がこれまでに行ってきた大胆な変革の数々はティール組織という形へと昇華され、今やカワイイで世界を見据えるまでとなった。同社の現場スタッフが活躍できる構図が円熟した暁には、日々新たなアイデアが生まれ、今よりもはるかにスピード感のある事業形態が実現するのではないだろうか。近い将来、同社がまるで生き物のように自己成長を遂げる姿が、今から目に浮かぶようだ。

加藤通浩/1965年、岐阜県出身。1988年東海大学工学部経営工学科卒業後、システムエンジニアとして日本NCR株式会社へ入社。その後、1990年に株式会社オリンピアへ入社し、営業部長、常務取締役を経て、2014年に同社代表取締役に就任。