
インフラ構築からウェブ制作、動画コンテンツまで、ITに関するさまざまなソリューションを提供する株式会社リアルインベント。同社は創業以来、エンジニアの価値を守り抜く姿勢を貫き、高い技術力と一つひとつの案件に誠実に取り組む姿勢で、顧客からの信頼を獲得してきた。近年では地方のDX推進を通じて、地方と都市をテクノロジーでつなぐ取り組みに注力している。そんな同社の事業展開の軌跡と今後のビジョンについて、代表取締役社長の村岡佑紀氏に話をうかがった。
優秀なエンジニアの価値を守り抜いた創業期
ーー起業した経緯を教えてください。
村岡佑紀:
最初に入社したITベンチャーで、ある方にお会いしたことが起業のきっかけです。当時の私は大学を卒業したばかりで、社会人としての方向性を明確にできないまま仕事をしており、お客さまからクレームをもらうことも珍しくありませんでした。しかし、ある現場の方との出会いが私の価値観を大きく変えてくれたのです。
その方は「まずは一生懸命やること、その上で効率よく仕事をすることが大切だ」と教えてくれました。毎晩のように食事に連れて行ってくれて、社会人としての考え方を教えてくれました。その後、懸命に業務をこなす中で、もっと自分の裁量で仕事がしたいと考えるようになり、起業を決意したのです。
ーー起業してから一番苦労したことはどのようなことですか?
村岡佑紀:
創業当初、なかなか仕事を受注できなかったことです。弊社は私を含め7人で立ち上げたのですが、メンバーは非常に優秀なエンジニアたちでしたので、創業初期とはいえ「安売りはしない」と決めていました。一度低価格で仕事を引き受けてしまうと、エンジニアたちの価値を下げてしまうことにつながると考えたからです。そして、金額に納得がいかない案件はすべてお断りしていた結果、最初の2ヶ月ほどは案件がまったく決まりませんでした。口座からどんどんお金がなくなっていくのを見ているのは、本当に辛かったですね。
その後は、なんとか獲得できた仕事を一つひとつ確実にこなして評価を積み重ね、お客さまから別のお客さまをご紹介いただき、少しずつ仕事を増やすことができました。
高い技術を持つメンバー同士が切磋琢磨できる環境

ーー貴社の事業内容を教えてください。
村岡佑紀:
弊社の主力事業は「ITインテグレーションサービス」です。システムの基盤となるサーバーやネットワークなどのインフラを、コンサルティングから構築、運用、保守までトータルコーディネートしています。また、社内にデザイナーが在籍しており、チラシやWebサイト制作に加え、動画コンテンツ制作の事業も展開しています。
ーー貴社ならではの強みは何でしょうか。
村岡佑紀:
社員の能力が高く、社内の体制もしっかりしていることですね。弊社の社員は特にコミュニケーション能力が高いため、お客さまと円滑なやり取りが可能です。また、お客さまのもとへ出向して働いている社員についても人事や営業、技術サポートなど、会社全体でサポートしています。さらに、弊社は非常にフラットな社風で、仕事で困ったときには誰にでも相談できる環境が整っています。
ーー人材育成についてはどのように進めていますか?
村岡佑紀:
私自身「現場へ行くことが最良の学び」という考えを持っています。そのため、新しく入った方には先輩社員と一緒に現場に行ってもらうことを重視していますね。やはり現場に行って、その会社の空気を知ることで学ぶことは多いと思うため、先輩社員が新入社員を手厚くサポートすることでスキルアップができていると感じています。
ITを活用した地方創生に挑む
ーー今後の展望をお聞かせください。
村岡佑紀:
今後、事業領域を広げていきたいと考えています。最近開発した「BOTTLE NAVI®」というキープボトル管理アプリのように、自社製品もどんどん出していきたいですね。また、今後伸びてくるであろうAI関連の企業と密に連携をとりながら、弊社でもAIの技術やノウハウを蓄積していきたいと思っています。
さらに、私の夢として「日本全国地元化計画」という構想があります。全国に弊社の拠点をつくることで、たとえば「実家に戻らなくてはいけないので退職します」というような、意図しない退職をなくしたいのです。現在も青森や静岡、宮崎などさまざまな地域に社員がいますが、さらに拠点を増やす計画を今後も進めていきます。
それと同時に、地方にITを浸透させ、ITリテラシーを高める活動にも取り組んでいきたいですね。地方でも当たり前にITが使われるようになれば、全国どこにいても東京と同じ仕事ができるようになります。これを雇用の創出、ひいては地方創生につなげていきたいと考えています。
ーー貴社への入社を検討している方にメッセージをお願いします。
村岡佑紀:
今は、経験者の中途採用をメインにエンジニアと、現場のリーダー業務を担えるマネージャーを募集しています。私が仕事において大切にしている考え方は、「30%の笑いと70%のメリハリ」です。少しふざけながらも、やるときはやるというスタンスですね。この考え方は職場の雰囲気づくりにも生きていると思います。いつも社員同士が笑い合えるような環境で、わからないことはすぐ聞けるため、着実に成長していける環境です。カジュアル面談も実施しているので、ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。
編集後記
優秀なエンジニアの価値を守るため、創業時に2か月も案件なしで耐え抜いた経営者の覚悟に深く感銘を受けた。その信念は今も変わらず、フラットな社風のもと社員一人ひとりが輝く環境をつくり上げている。青森出身の村岡社長が語る「日本全国地元化計画」には、地方に根差したITの可能性と、働く人の幸せへの真摯な思いを感じた。技術への注力と人材育成への惜しまぬ投資が、着実な成長の基盤となっているのだろう。

村岡佑紀/1984年、青森県十和田市生まれ。東京情報ビジネス専門学校卒業。2005年、ITベンチャー企業に入社し、企業の立ち上げを経験。2014年、株式会社リアルインベントを設立し、代表取締役社長に就任。地域活性化のため東京十和田会副会長としても活動し、地方への関わりにも注力している。