※本ページ内の情報は2025年6月時点のものです。

安心して暮らせる社会の実現を目指して事業を展開する、株式会社ストアフロント。同社は迷惑電話をブロックする「ダレカナブロック」や、写真や動画、連絡先などのデータを簡単に保管できる「ポケットバックアップ」などのサービスを通じて、デジタル時代の安心・安全を提供している。「ありがとう」と言われるサービスの創出にこだわる、代表取締役社長の岡田英明氏に話をうかがった。

広告の鮮度に着目し、携帯ショップの新たな可能性を見出した

ーー事業のアイデアが生まれるまでの道のりをお聞かせください。

岡田英明:
私が就職活動をしていたのは、メディアがインターネット系の起業家を盛んに取り上げていた時期でした。そうした起業家たちの活躍を見るうちに、自分も何かビジネスをしたいと思うようになったのです。私は携帯電話が好きだったこともあり、まずはその分野でキャリアをスタートさせようと、2005年にモバイル広告代理店に入社しました。

入社後、モバイル広告の営業活動に携わる中で、広告には「鮮度」があるということに気づきました。同じサイトに同じ内容の広告を掲載し続けると、閲覧するユーザーが固定化されるため効果が下がっていってしまうのです。

しかし、携帯ショップは買い替えなどで、常にお客様が入れ替わるという特性があるため、広告の鮮度を保つことができます。この特性を活かし、携帯ショップをネットワーク化すれば、常に効果的な広告やサービスを提供できるのではないかと考え、店舗型アフィリエイト事業を立ち上げました。

ーーその後、起業した経緯をお聞かせください。

岡田英明:
2007年に店舗型アフィリエイト事業を株式会社インタースペースへ譲渡する際に、私もそちらに移り、中国子会社代表や執行役員などを経験しました。その後、2018年に事業に関する意思決定のスピードを上げるために分社化を行い、弊社を設立したのです。

分社化の背景には、部下たちにチャレンジできる環境を提供したいという思いもありました。自分自身がチャレンジできる環境で成長できたように、部下たちにも同様の機会を与えたいと考えたのです。

特殊詐欺対策からデータ保護まで、幅広い課題に応える

ーー現在展開している事業について教えてください。

岡田英明:
弊社の事業は大きく分けて2つあり、1つ目のデジタルサービス事業では、安心して暮らせる社会の実現を目指した多様なサービスを展開しています。迷惑電話をブロックする「ダレカナブロック」は特殊詐欺対策として警視庁のデータと連携しており、社会課題の解決に取り組んでいます。

写真や動画、連絡先などの大切なデータをクラウド上にバックアップできる「ポケットバックアップ」は、月額500円で容量無制限に加え、シンプルな操作性で大切なデータを簡単に保管できるようにしました。「MWセキュリティストア」は、セキュリティメーカーと連携して開発した、個人情報が多く保存されているパソコンやスマートフォンなどのデバイスを守るサービスです。

2つ目のDXソリューション事業では、携帯ショップ向けに「モバイルウインドウ」というシステムをメインに提供しています。ここでは、どの店舗でどのスタッフがいつどのサービスを紹介したかを分析・管理する機能のほか、販売に必要なノウハウを提供し、店舗の収益向上に貢献しています。

ーー大切にしている考え方についてお聞かせください。

岡田英明:
「ありがとうと言われるサービスを提供する」ということを大切にしています。ビジネスは収益だけを追求するのではなく、目の前の人が本当に必要としているものは何かを常に考え、感謝される仕事をすることが重要だと思うのです。

この考え方は日々の業務においても同様で、社内での依頼や連絡なども含め、「ありがとう」と言われることを意識しています。そうすることでホスピタリティが高まり、業務の質が向上していくと考えています。

社内体制の強化を通じて、さらなる事業の拡大を目指す

ーー今後の展望について教えてください。

岡田英明:
より多くの人に使っていただけるサービスを生み出せるよう、開発体制や会社の規模を拡大していくことを目指しています。現在は札幌、東京、大阪、福岡の4拠点を展開していますが、さらにきめ細かいサポートができるよう営業体制を強化していくつもりです。

長期的には、国内だけでなくグローバル展開も視野に入れています。特殊詐欺のような新しい技術を悪用した犯罪は世界中で増加しているので、そうした社会課題に対しても解決策を提供していきたいですね。社会から必要とされる企業であり続けるために、今後も社会課題の解決に取り組み、安心して暮らせる未来の実現に貢献していきます。

編集後記

岡田社長の「目の前の人が本当に必要としているものは何かを考える」という言葉が胸に響いた。デジタル技術が日常に浸透する中で、その恩恵と同時に生じる課題に真摯に向き合うストアフロントは、テクノロジー企業のあるべき姿を示している。技術先行ではなく、利用者目線でサービスを磨き上げる姿勢こそが同社の成長を支えているのだと感じた。

岡田英明/1981年、岡山県生まれ。2005年、株式会社シーエー・モバイル入社。モバイル広告事業を学び、2006年にストアフロントアフィリエイト事業(店舗型アフィリエイトサービス)を立ち上げる。2007年、株式会社インタースペースにM&Aを提案し、事業譲渡とともに参画。中国子会社代表や執行役員を歴任。2018年に株式会社ストアフロントを設立。代表取締役社長に就任し、現在に至る。