
「日本のAI利用率と生産性を世界No.1にする。」をミッションに掲げ、事業を展開する株式会社デジライズ。同社は法人向けAIツールの提供と研修を一体化したサービス「法人AIリスキリング」を主軸に、これまで300社以上の企業のDX推進をサポートしてきた。受託開発も手がけ、企業のAI活用をワンストップでサポートする同社の代表取締役CEO、茶圓将裕氏に話をうかがった。
常に時代の変化を捉え、新しい事業に挑戦
ーー起業前は、どんな経験をされましたか。
茶圓将裕:
私はもともと海外に関心を持っていたため、大学2年生のときにオーストラリアへ1年間留学し、その1年後にはアメリカにも留学。しかし、留学には多額の費用がかかるため、「給与をもらいながら、海外で経験を積みたい」と考えるようになりました。
就職先を探す中で、人事コンサル会社とのご縁があり、上海支店の立ち上げに参画することに。その会社では法人営業として100社以上の人事評価制度構築を経験。さまざまな業種の企業と接する中で、業界ごとの特性や課題を理解する視点を養うことができたのは良い経験でした。
ーー貴社の起業に至るまでの道のりをお聞かせください。
茶圓将裕:
常に、時代の波を探し続け、上海で働いていた際、自らのX(旧Twitter)のフォロワーが増えたことをきっかけに、SNSの可能性を感じ、SNSマーケティング事業会社を設立。その後も時代にあわせて、スペインでNFTゲームを開発する会社を共同創業、複数のAI関連サービスを開発など、ビジネスを展開しました。そして2023年、AI技術の急速な進化に大きな可能性を感じ、弊社を設立。新しい技術や市場を見つけた際、素早く行動に移してきたことが現在の事業につながっています。
AIで日本の生産性を高め、働き方を変える

ーー貴社の事業内容について教えてください。
茶圓将裕:
弊社の主力サービス「法人AIリスキリング」は、AI研修とAI Worksから成る企業向け教育サービスです。企業向け生成AIツール「AI Works」の提供と、実践的なAIの活用方法をお伝えする継続的な研修がセットになっていて、AIツールの提供だけでなく、その使い方をしっかり学べる環境を整えることで、企業内でのAI活用をサポートしています。
また、「楽ジョブAI」というAIを活用したシステムやアプリケーションの開発を行う事業も展開。日本国内に約300名、提携先のベトナム企業に2000名以上の開発リソースを持ち、企業のAI活用に関するさまざまな要望に応えています。
ーー貴社の強みはどういった点にありますか。
茶圓将裕:
弊社の強みは、“確かな実績”と“親身な対応”、そして“業界最高水準の知見”の3つです。1つ目の実績においては、リスキリングを通じて、大手IT企業にて1人当たり平均月30時間の業務削減を実現しており、お客様からは「視野が広がった」「新規事業のアイデアが生まれた」という声もいただいており、企業の可能性を広げる効果も出ています。
2つ目の対応に関しては、お客様に寄り添ったサポートを心がけています。そのために、動画とワークショップを組み合わせた研修に加えて、プロンプトの作成や活用方法、さらには日々の業務効率化の相談までサポート可能です。
そして、3つ目の知見については、常に最新情報をキャッチアップし社内で共有することを徹底。「研修の品質は講師の質で決まる」という考えのもと、社員全員がAI領域では誰にも負けない知識を持てるように取り組んでいます。
支えてくれる仲間とともに日本のAI活用をリードしていく
ーー貴社で働く魅力をお聞かせください。
茶圓将裕:
弊社の事業は、日本の企業が直面するAI活用の課題解決に貢献できる点で、やりがいがあると思います。さまざまな業界や規模のお客様からお問い合わせを多数いただいているため、多様な案件に取り組める環境です。大手企業の案件や最先端技術を扱う案件などに携わることができるので、自分を成長させたい方にはぴったりの環境ではないでしょうか。
こうした環境の中では、自分の担当範囲だけでなく、率先してほかの分野の課題も拾い上げていけるスタッフが活躍しており、主体的に仕事をつくり出せる環境も、多くの社員のやりがいになっていると考えています。
ーー今後の展望について教えてください。
茶圓将裕:
短期的には3〜4年以内に上場を目指しています。時価総額300億円以上での上場を目標としており、それには50億円ほどの売上が必要となるでしょう。そのため、営業部門や管理体制の強化に注力しているところです。長期的には「アジアを代表するAI企業になる」という目標を掲げているので、着実に取り組んでいきたいです。
こうした高い目標を追求できるのは、社内に素晴らしい仲間たちがいるからです。各部門で自主的に勉強会を開催したり、お客様の課題に親身に向き合ったりする姿には、いつも感謝の気持ちでいっぱいになります。これからも仲間の力を借りながら、日本の企業がAIをもっと活用できる環境づくりに貢献していきたいです。
編集後記
上海での人事コンサル経験を経て、SNSマーケティングからAI事業まで、常に時代の波を捉えて事業化してきた軌跡からは、茶圓CEOの経営者としての鋭い感性がうかがえる。また、「トレンドを見極める力」と「素早く行動する決断力」が印象的だった。AIを単なる効率化ツールではなく、企業や人々の選択肢を増やす手段と位置づける視点に、AIと共存する社会の1つの理想形が見えた気がする。

茶圓将裕/大学在学中にオーストラリア・アメリカへ留学後、上海の日系人事コンサル会社にて法人営業を担当し、100社以上の人事評価制度構築に携わる。帰国後、SNSマーケティング事業の会社を起業。2022年、NFTゲーム「Eatnsmile」を開発・運営する会社をスペインにて共同創業。2023年、法人向けAI研修と企業向け生成AI「AI Works」を開発する株式会社デジライズを設立し、代表取締役に就任。