
ARアドバンストテクノロジ株式会社は、クラウド技術とデータ・AI活用を軸に、DX支援やUI/UXデザインまでワンストップで提供する技術者集団だ。2010年の創業以来「エンジニアが成長と自己実現を目指せる環境をつくりたい」という代表取締役社長の武内寿憲氏の想いを原点に、先進技術の力で社会の課題解決に挑んできた。
創業の背景から事業展開の強み、組織運営の哲学まで、武内社長が語るエンジニアと企業の未来像に迫る。
エンジニアを取り巻く環境を変えたい一心で会社を創業
ーー貴社を創業した経緯と、仕事において大切にしている考えを教えてください。
武内寿憲:
私がARアドバンストテクノロジを立ち上げたのは、エンジニアがより自由に成長できる環境をつくりたいという想いからです。2010年当時は、エンジニアが年齢や役割で制限される風潮があり、本来のクリエイティビティが発揮されにくい構造に違和感を持っていました。
そのような中で掲げたのが、「先進性ある技術を通して、顧客の問題解決と社員の幸せを創造し、社会の未来発展に貢献する」という経営理念です。単なる先進技術の押し売りをするのではなく、お客様に最適な技術を提案することを重視し、一方でエンジニアには、働きやすさや成長環境を整えることで、技術と人が共に育つ場を提供しています。
「事業をつくるのは人」という信念のもと、今後もチャレンジを恐れず、可能性を最大化できる組織を築いていきたいと考えています。
幅広い分野で需要が高い「クラウド」や「AI」などに強みを持つ

ーー貴社の事業内容を教えてください。
武内寿憲:
弊社の事業は大きく分けて二つの柱で構成されています。ひとつは、クラウド環境を活用してお客様の課題を解決する「クラウドネイティブSI(AIやクラウドを活用した先進的なシステムインテグレーション)事業」、もうひとつは、AIを軸にした自社プロダクトの開発・提供を行う「プロダクトサービス事業」です。
クラウドネイティブSIでは、デジタルシフト、クラウドシフトを実現する各種コンサルティングからクラウドネイティブ技術を活用したシステムを提供すると共に、領域特化型サービスブランドとして、クラウド活用総合支援サービス「cnaris(クナリス)」、データ・AI活用総合支援サービス「dataris(デタリス)」を展開しています。
ーー貴社独自の強みは何ですか?
武内寿憲:
最大の強みは、クラウド・AIといった先進領域に特化した専門人材の層の厚さにあります。クラウドエンジニアやデータサイエンティスト、AIエンジニアなど、それぞれの分野に精通したメンバーが揃っており、プロジェクトごとに最適なチームを組成することで、きめ細かな提案と高付加価値なサービスの提供を実現しています。
また、そうした専門性を下支えしているのが、エンジニアの成長を促す社内環境です。弊社では、自己実現を大切にする文化が根付いており、一人ひとりが主体的にキャリアを描けるよう支援しています。たとえば、先進技術に触れられる案件にチャレンジできる仕組みや、他社との協業によるスキルアップの機会など、成長と貢献の好循環が社内に浸透しています。
さらに、こうしたエンジニアファーストの中で生まれた「失敗を恐れずチャレンジしていく」「多様性を重んじ自分と違う能力を持つ同僚に敬意を払う」といったカルチャーも、プロジェクト成功率の高さや社員定着率の高さといった成果につながっているといえるでしょう。ただ技術があるだけでなく、仲間と共に成長していける組織として、再現性のある成果を出せるのが私たちの強みです。
売上高1000億円を達成し、日本を支える企業群の一員へ
ーー今後、特に注力したいテーマは何でしょうか。
武内寿憲:
今後注力したいテーマは特定のITサービス領域でNo.1になること、さらには日本を代表するリーディングカンパニーとなることです。その一環として、テックベンチャーやAIベンチャーなどのIT企業とのM&Aや業務提携を進めており、すでにグループシナジーの創出や提案内容の充実といった効果を発揮し始めています。
事業内容においては、先進技術を積極的に取り入れながら「クラウドネイティブ」「AIネイティブ」な環境で開発を進めていく予定です。M&Aや業務提携で得た技術力や優秀な人材を活用して、新たなプロダクトの企画・開発も進めていきたいですね。
これらを実現するために重要なのが、事業の基礎となる「人」の力を高めることです。現在は人的資本経営をモデルにした人事部門への集中投資によって、人材育成と定着率の向上に一体的に取り組んでおり、すでにエンジニアの新卒3年以内の定着率は非常に高い水準を記録しています。今後も成長や自己実現をキーワードにしながら、全員で成長していける会社になれればと思います。
ーー5年後、10年後を見据えた長期的な目標を教えてください。
武内寿憲:
長期的な目標として掲げているのが、一つのビジネス領域を任される企業になり、ビジネスを通じて名実ともに日本という国を支える存在になることです。この目標を達成するには、まず信頼がおける規模や実績が必要になってきますが、売上高1000億円がその企業群の一員となるスタートラインになるだろうと考えています。
この目標を達成するためには、サービスの差別化を追求しながらも、生成AIの登場でさらに変化が加速し、拡大していくDX分野においてお客様を広くお支えするために、企業間で互いに能力を補完しあえる関係を築き、協業共創を追求していくといった観念もさらに重要になってくるでしょう。それが業界を代表して産業を支えていく企業になるということだと思います。
1000億円という数字はゴールのように感じるかもしれませんが、私は新たなフィールドに立つためのスタート地点だと捉えています。そこからまた新しい産業貢献への景色が広がるはず。まずはこの目標達成に注力しこの十数年で社員の皆とともに実現させていきたいと思います。
編集後記
クラウドやデータ、AIの活用は今や業界を問わず高い需要を誇る上に、他分野との掛け合わせで新たな価値を生み出すこともある。M&Aや業務提携を行いながら、組織拡大を推進する同社と相性が良い分野といえるのではないだろうか。この先見性があれば、武内社長が目指す1000億円は夢ではないはずだ。近い将来、同社が日本のDX支援を支える企業になる姿が目に浮かぶ。

武内寿憲/大学卒業後、大手外資系企業に入社し、ITサービス部門で20代中盤からマネジャー職を務める。その後、独立系SIerに転職し、コンサルティングやシステム開発のマネジメントを担当。その後、経営参画を経て、代表まで務めた。2010年にARアドバンストテクノロジを創業し、現在に至る。