※本ページ内の情報は2025年6月時点のものです。

顧客に「本当に似合うメガネ」を届けることを目指し、全国店舗とオンラインストアでメガネを販売しているオーマイグラス株式会社。国内外で仕入れた高品質な製品のほか、「Oh My Glasses TOKYO」や「麻布眼鏡堂」などの自社ブランド製品も手がけている。

同社を牽引するのは、代表取締役社長の清川忠康氏だ。接客重視で独自のポジションを確立する同社の事業について、詳しい話を聞いた。

スタンフォード大学の「起業家精神」に触れてメガネブランドの会社を設立

ーー今までの経歴や起業のきっかけを教えてください。

清川忠康:
慶應義塾大学を卒業後は、アメリカのインディアナ大学大学院に留学しました。その後、帰国してからUBS証券へ就職しましたが、会社員の延長線上に自分の将来を描くことができず、「もっと何か大きなチャレンジがしたい」という気持ちが大きくなったため退職し、株式会社経営共創基盤を経て、スタンフォード大学へ留学することにしました。

スタンフォード大学の入学式で特に驚いたのが、「起業したい人は手を挙げてください」という問いかけに対して、入学者のほぼ全員が手を挙げていたことです。私自身、入学時は起業願望がそこまでありませんでしたが、この起業家精神あふれる環境に影響されて、少しずつ起業に興味を持つようになりました。

また、このスタンフォード大学での経験に加えて、2011年に起こった東日本大震災も、私の考えに大きな影響を与えました。震災をきっかけに、「やりたいことは早くやらないと」という気持ちが強くなり、起業に踏み出すことができました。

ーーなぜメガネブランドの事業で起業したのでしょうか。

清川忠康:
もともと私はファッションやモノが好きで、これらの分野にこだわりがあったことも理由のひとつです。また、日本人が誇れる産業で世界と渡り合いたいという思いから、ものづくりの事業を選んだという背景もあります。

それに当時は、メガネがただの視力矯正器具ではなく、ファッションアイテムとして浸透し始めていた頃でした。これからの時代、消費者がより多くの費用をメガネに使う未来が想像でき、メガネ業界にビジネスチャンスを見出しました。

「似合うメガネ」を選ぶための提案型接客が他社との違い

ーー事業の内容や貴社のサービスの特徴について聞かせてください。

清川忠康:
弊社は、メガネ製品の仕入れや製造、販売を行っている会社です。店舗では、メガネをファッションとして楽しみながら、お客様一人ひとりに合うメガネをご提案する「提案型接客」を重視しています。

日本製の高品質なメガネを、完全予約制で丁寧に時間をかけてお客様に寄り添いながら接客するのが弊社の特徴です。

メガネは日常的に使うものです。じっくりと選んでもらい、良いものを長く使ってもらいたいという思いで、日々の接客を行っています。

日本のサービスを海外に輸出し、競合優位性を保ちながら世界一を目指す

ーー今後はどのようなことに注力する予定ですか。

清川忠康:
注力テーマは海外進出です。弊社は実力的には世界に通用するけれども、まだ海外に進出していない状況にあります。

そこで海外での展開を進める1つのステップとして、2025年の夏、台湾で1号店をオープン予定です。今後は店舗数拡大を進め、国内外で50店舗の展開を目指しています。

市場規模が大きいアジアの国々を中心に海外店舗を広げたいと考えており、その際に大切なのは「日本のサービスをそのまま海外へ持ち出すこと」です。日本クオリティの接客で競合優位性を維持しながら、インバウンド需要にも応えつつ、会社を成長させたいと思います。

また、弊社ではブランドの雰囲気に合う人材や、他責思考にならない人材を求めていますが、今後の海外展開に向けて中国語や英語が堪能な人も積極的に採用しているところです。

ーー最後に、今後に向けた思いをお願いします。

清川忠康:
これまでメガネは矯正器具として使われていましたが、私たちは「似合うメガネを選んでもらう」という、従来のメガネ業界の常識を破ることを目指しています。

中国などアジア圏の製品の品質が上がり、日本の品質が最も高いという神話が崩れてきている今、「メガネと長時間接客」という弊社の特徴を活かし、今後は「高価格帯のメガネ市場」でリーダー的な存在へと成長していきたいですね。

編集後記

メガネのファッション化に着目し、会社を成長させてきた清川社長。時代の流れに合っていたのに加えて、ほかにはないハイクオリティな接客が差別化につながったからこそ、オーマイグラスは多くの人から選ばれる会社に成長したのだろう。同社の事業を通して、世界中に日本のものづくりの魅力が伝わり、それが日本の成長につながることを期待したい。

清川忠康/大阪生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、インディアナ大学大学院に留学。帰国後、UBS証券に入社。経営共創基盤を経て、スタンフォード大学経営大学院に留学。在学中に株式会社ミスタータディ(現オーマイグラス株式会社)を創業し、代表取締役に就任。