※本ページ内の情報は2025年6月時点のものです。

電気・空調工事を基盤に、オフィス空間デザインやITソリューションの提供まで手がけるSuemaru FT INNOVATORS株式会社。同社は、幅広い事業によるスケールメリットを活かした価格競争力と、高品質なサービスで着実に成長を続けている。東日本大震災の当日に創業という厳しいスタートを切った同社だが、前向きな姿勢で難局を乗り越えてきた代表取締役社長の末吉克也氏に話をうかがった。

不安を抱えながらも、前向きに歩み続けた創業初期

ーー末吉社長のご経歴を教えてください。

末吉克也:
出身は福岡県ですが、父親の仕事の都合により小学校入学前に関東へ移り住みました。父が福岡の三池炭鉱で働いていましたが、閉山したことで東京へ異動となり、家族で上京したのです。学生時代は高校も大学も野球に没頭しましたが、残念ながら大学は中退してしまいました。

その後、進路に迷っていた私、父が「うちの会社の下請けで働いてみないか」と声をかけてくれたことで、電気工事の世界に足を踏み入れることになったのです。その会社では約5年間、現場で実務を学びながら必要な資格を取得しました。

加えて、挑戦した営業の仕事がうまくいったことから「独立してもやっていける」と確信しました。そして、一緒に事業を始めようと声をかけてくれた人との出会いもあり、25歳のときに創業に踏み切ったのです。

ーー創業後はどのような苦労がありましたか?

末吉克也:
2011年3月11日に創業したのですが、図らずもそれが東日本大震災の日でした。震災によって、すでに受注していた仕事が無くなってしまったり、ガソリンがまったく手に入らなかったりして、開店休業の状態が2週間以上続きました。これからどうなるのだろうという不安が大きかったですね。

しかし、電気工事士の資格を持っていたので、会社がうまくいかなかったとしても食べていく分には困らないだろうという思いもありました。さらに若い2人で始めたこともあり、あまり思いつめずに事業に取り組んだ結果、徐々に仕事が入ってくるようになったのです。振り返ると、前向きな性格が困難な状況を乗り越える力になっていたのだと思います。

電気・空調工事を基盤に、顧客のビジネスを力強くサポート

ーー事業内容について教えてください。

末吉克也:
弊社は現在、3つの事業を展開しています。1つ目は電気・空調工事事業で、これは弊社の創業時からの事業です。オフィスビルや店舗、物流施設などの電気工事と空調設備の設計・施工を行っています。LED照明の導入やシーリングファンの設置などを通じて、省エネ対策やコスト削減にも貢献しています。

2つ目は、オフィス空間デザイン事業です。移転や改装を考えている企業向けに、企画から設計、施工、そして家具の調達までをワンストップで提供しています。社内にデザイナーを抱え、お客様の企業文化や働き方に合わせた空間づくりを行っています。

そして3つ目が、ITソリューション事業です。こちらではコピー機やパソコンなどのハードウェアから、業務効率化のためのソフトウェアまで幅広く取り扱っております。また、顔認証カメラや電子ボードなどの導入に加えて、ネットワーク環境の構築も手がけており、さまざまな角度からお客様の事業基盤を支えています。

ーー貴社の強みはどのようなものですか?

末吉克也:
弊社の強みは、ビール関係の企業や物流倉庫関係の企業など、大手と直接取引をしていることです。このような関係を築けているのは、電気と空調を一緒に扱える会社が少ないからだと考えています。加えて、依頼を弊社に1本化することで、コミュニケーションコストを削減しつつ、高い品質の施工を実現できる点も評価をいただいているポイントだと思っています。

また、スピードを非常に重視していることも強みの1つです。「大手ができないスピードで対応し、大手を置き去りにする」という方針を取っています。競合が気づいたころには、弊社が案件を受注しているという状況をつくりだすことが理想的だと考えています。

社員が誇りを持って働ける企業文化を育み、強く優しい会社を目指す

ーー貴社ではどのような人材が活躍していますか?

末吉克也:
一言で言うと、能動的な人ですね。実際、長く働いてくれている社員や成果を出している社員は、自分で考えて行動できる人ばかりです。弊社には社歴や年齢に関係なく評価する風土があり、若くても実力があれば責任ある立場の仕事を任せているため、こうした環境が能動的な人材を引き付けているのだと思います。

ーー今後の展望についてお聞かせください。

末吉克也:
将来を見据えて、ホールディングス体制をさらに強化していく予定です。他社のM&Aも視野に入れつつ、まずは東京営業所と大阪支店の機能を拡充し、各地域に根差した経営体制を整えていきたいと思っています。

同時に、強く優しい会社という理想も追求していきます。私が考える理想の会社とは、単に業績が良いだけでなく、社員を大切にする文化が根付いた優しい会社のことです。社員たちが胸を張って弊社で働いていると言える企業文化を築くことが、私の使命だと考えています。

編集後記

「年齢や社歴に関係なく評価する」という末吉社長の人材育成方針に共感した。25歳で創業した経験から、若さを障壁とせず、実力で勝負できる環境づくりを大切にしているのだろう。能動的な人材が集まるSuemaru FT INNOVATORSは、今後も新たな事業領域へと果敢に踏み出していくに違いない。

末吉克也/1985年、福岡県生まれ。大学中退後、電気工事を行う会社に入社し、電気工事士として5年ほど修行を積む。2011年、株式会社末丸電設(現:Suemaru FT INNOVATORS株式会社)を創業。