
企業の理念や価値観を社内に浸透させる「インナーブランディング」と社外に向けて魅力を発信する「アウターブランディング」を一貫して行う株式会社イマジナ。同社の代表取締役社長を務める関野吉記氏は、26歳でニューヨークにて起業し、2006年にその拠点を日本へ移した。同社が考える理念浸透への取り組みや人材育成について、詳しく話を聞いた。
自然な選択肢の一つとして起業を決意
ーー若くして起業を決意された背景を教えてください。
関野吉記:
自営業を営んでいた親の影響で、学生時代からビジネスを身近に感じていました。そのため、起業は特別な決断というよりも、自然な選択肢の一つでしたね。多くの人が「企業に就職する」という選択をするのと同じ感覚で、私は「会社を立ち上げる」という道を選んだのです。
ーー組織のトップとして大切にしている考えや価値観をお聞かせください。
関野吉記:
社員が成長できる環境をつくることを一番重視しています。社員がさまざまな経験を通じて視座を高め、深い思考力を養うことで自身の可能性を広げていく。そうした成長の積み重ねが、結果的に会社の成長につながると考えています。
また、コンサルタントという仕事においては、単に頭が良いというIQだけが重要ではなく、正しい視座を持って行動することや、お客さまに価値提供をするためにやり抜くことが大切です。このようなスキルを持つ良質な人材を育て、よりよいサービスをつくれる会社を目指します。
理念浸透からPRまで一貫サポート

ーー貴社の事業内容を教えてください。
関野吉記:
弊社は人事コンサルティングや企業ブランディング事業を展開しており、特にインナーブランディングに特化したサービスを提供しています。インナーブランディングとは、社員が企業の理念や価値観に共感し、一体感を持って働ける社内環境を構築することです。
クライアント企業の理念やミッション・ビジョン・バリューを明確にし、企業の方向性に沿った管理職の育成や人事評価をアジャストしていくことで理念の浸透を促進することが弊社の仕事です。このようにして社内に浸透させた理念や価値観を、自社案内やパンフレットにも反映させ、社外へのPRやプロモーションにも活用します。
ーー貴社の事業にはどんな特徴があるでしょうか。
関野吉記:
弊社のサービスは、社員数100名以上から数千人規模の企業に対応しており、組織の一体感を高めることで経営基盤の強化を支援することができます。決まった流れで仕事をするのではなく、クライアントニーズを見極めた上で、市場のニーズや課題解決、独自性を導き出すという本質的なサービスを提供していることが、弊社の特徴です。
それぞれが抱える課題に真摯に向き合い、最適なインナーブランディング戦略を提案してきた結果、今ではありがたいことに40〜50社のクライアント企業が継続して利用してくださるまでになりました。
内定者インターンで実務経験を提供
ーー貴社の採用方針をお聞かせください。
関野吉記:
弊社では、内定者インターンシップ制度を導入しており、入社前に実務を経験することで、会社全体の雰囲気や業務のイメージを掴んでもらうようにしています。弊社の事業は全国の経営者層を相手にしており、未経験の業務や前例がないプロジェクトを担当することも多くあるので、自ら主体的に挑戦する姿勢が非常に重要です。そのため、適性がある方には早めに内定を出して実務についてもらい、その感覚を養ってもらっています。若いうちから難易度の高い仕事に挑戦できる環境と言えるでしょう。
ーー今後はどのようなところに注力したいとお考えですか?
関野吉記:
人材育成に注力したいですね。現在弊社では多くの若手も活躍するようになっており、そのような人材をより増やしていきたいです。
特に、何事に対しても学ぶ姿勢が強く、行動力ややり抜く力がある人材を育てていきたいです。人を育てることが大事だと言っている以上、自分たちの会社が体現できていることは不可欠ですから、努力がきちんと評価される仕組みづくりも含めて、成長意欲を持って学び続ける社内文化の醸成に力を入れたいと思います。
編集後記
アメリカで人事コンサルティングに携わっていた関野社長は、その経験を通じて、企業成長における理念浸透の重要性に気づき、インナーブランディングに注力するようになったという。クライアント企業の価値や理念を浸透させる同社の事業は、企業の内側から変革を起こし、持続可能な成長を支える「見えない力」として、大きな役割を果たしていると感じた。

関野吉記/ニューヨークにて株式会社イマジナを設立。人を集め、育て、残す考え方の本質を日本企業の成長へと活かすべく、2006年に日本へ拠点を移し、人材育成・理念浸透に特化した企業支援で2900社に伴走。現在は特に、企業の文化づくりにおける管理職の存在を重要視し、管理職強化に向けたプログラムに注力している。最新刊『管理職のチカラ』含む人気シリーズは累計56万部を突破。企業や自治体での講演実績、NHKなどメディア出演も多数。