
不動産売買仲介・賃貸仲介管理を手がける桂不動産株式会社は、不動産管理、住宅・店舗の建築・リフォーム、土地活用、保険、重機のレンタリースなどを手がけるグループ会社と共にエリア内屈指の総合提案力を誇っている。父の跡を継いで代表取締役社長に就任した渡邉宗明氏に、就任前に数々の支店を立ち上げた実績、大切にしている「いつかお客さま」の精神、そして今後注力すべきテーマについて話をうかがった。
支店立ち上げの実績を積み、後悔しないために家業を継ぐことを決意
ーー渡邉社長のこれまでのご経歴を教えてください。
渡邉宗明:
もともと不動産や建築に興味があったので、大学を卒業して三井不動産リアルティ株式会社に就職し、2年間不動産売買仲介に従事しました。入社当初、家業を継ぐことは考えていませんでしたが、ある先輩との出会いがきっかけで考えが変わりました。その先輩は、お父さまが亡くなられたために家業の不動産会社を継いだそうなのですが、「父が存命のうちに、もっといろいろと教えて貰えばよかった」と後悔されていたのです。同じ後悔をしないために、私は弊社に入社を決意しました。
ーー貴社に入社後、社長に就任されるまでの経緯を教えていただけますか。
渡邉宗明:
前職の経験を活かせる売買仲介からキャリアをスタートしました。先輩方に追いつけ追い越せの精神で、朝から晩までお客様のもとを訪問し、帰宅後は父と仕事の話ばかりしていましたね。会話を通じて、自分と考えが同じ点・違う点を整理し、異なる考え方は新しい選択肢として自分の中に取り入れていきました。
2〜3年後、弊社5番目となる竜ヶ崎支店の立ち上げを打診されました。自分にできるだろうかと迷いましたが、周囲から「会社を継ぐなら、ぜひチャレンジすべきだ」と強く背中を押されたのです。一日中地主さま・家主さまのもとを精力的に回り、売り物件・貸アパートなどの情報を集め、お客さまに喜んでいただける支店づくりに没頭した結果、なんとか軌道に乗せることができました。
その後、阿見荒川沖支店、ひたち野うしく支店などを次々に立ち上げた実績が評価されて専務取締役に昇格しました。創業45周年を迎えた2015年に代表取締役社長に就任し、現在に至ります。
支店にすべての機能を持たせ、多様なニーズにワンストップで対応

ーー主な事業内容を教えてください。
渡邉宗明:
弊社は茨城県と千葉県に合計15カ所の支店を展開し、不動産の売買仲介や賃貸仲介・管理・土地活用を行っております。創業から55年という長い歴史の中で築き上げてきた地域密着のネットワークにより、充実した物件量を確保しております。
ーーお客さまに選ばれ続けるために、どのような取り組みをされていますか。
渡邉宗明:
お客さまにとって相談しやすい体制が弊社の強みです。各支店には、不動産の売買仲介や賃貸仲介・管理に関する全ての機能を持たせています。これは、お客さまのご相談に一つの支店ですべて対応できるほうが利便性が高いと考えたからです。
また、グループ会社では不動産管理、住宅・店舗の建築・リフォーム、土地活用、保険、重機のレンタリースなどを手がけています。桂不動産グループ7社が一丸となることで、お客様の多様なニーズにワンストップでお応えできる総合力も、弊社の強みといえるでしょう。
そして何よりも大きいのは、お客さま一人ひとりに親身に寄り添う社員の存在です。私は日頃から社員に向けて、「『いつかお客さま』の精神を大切にしよう」と伝えています。それは、お客様がアパートを借りたり、物件を売買されたりする人生の大切な節目に相談したいと思ってもらえるよう、普段から地域の方すべてに「いつかお客さま」の精神で誠実に接すること。さらに、自分の家族や友人に接するのと同じように親身に寄り添うこと。この2つの姿勢を伝えています。
そんな私のメッセージを実行してくれる社員の存在が、お客さまに選ばれる要因だと考えています。
街づくりにもチャレンジし、100年続く会社を目指す
ーー今後注力したいテーマを教えてください。
渡邉宗明:
注力したいことが大きく分けて3つあります。まずは新規開拓です。弊社の営業エリアの中でも、すべてのお客さまにご相談いただいているわけではありません。新規開拓が得意な社員に先導してもらいながら、少しずつ実績を築いていく考えです。また、今後は千葉など人口の多いエリアへの進出にも力を入れ、より多くの地主さま・家主さまとの接点を増やし、新規の取引を伸ばしやすい環境も整えています。
次に店舗・営業所などの事業用不動産を活かした街づくりです。企業さまに事業用不動産を提案して店舗・営業所の誘致に成功すれば、そこで働く方が移り住み、地域経済全体が活性化されます。潤っている街に魅力を感じ、さらに多くの方が来てくださる。そんな環境づくりに貢献したいと考えています。
最後に社内のDXです。システムやアプリケーションに弊社の仕事の進め方を合わせる方向で、最適なサービスを模索しています。優先度の低い業務や、あまり使われていない書類・データなどの仕分けをしてスリム化し、DXが進めやすい環境を整えている最中です。
ーー最後に、貴社のビジョンを教えてください。
渡邉宗明:
社員たちと「100年続く会社に成長させよう」と話しています。その実現には社員一人ひとりの自走が欠かせません。幸い、グループ会社の社長を任せられる人間が4名も出てきました。今後は若手にも事業部の責任あるポジションを任せ、立場によって成長を促していきたいと考えています。
編集後記
人材を採用する際、「笑顔で楽しそうに話せる人かどうか」を重視しているという渡邉氏。物件を借りる・売買するなどの大きな決断をするお客さまにとって、社員の笑顔は安心材料となるからだろう。お客様のことを第一に考えたコミュニケーションを重視しながら、「いつかお客さま」の精神を基本に、100年続く会社に向けて動き始めている同社から今後も目が離せない。

渡邉宗明/1974年茨城県生まれ。日本大学卒業後、三井不動産リアルティ株式会社に入社し、2年間不動産売買仲介に従事。1999年に桂不動産株式会社に入社。2015年、創業45周年を節目に同社代表取締役社長に就任。