※本ページ内の情報は2025年7月時点のものです。

株式会社ライフ住宅販売は、不動産仲介業「センチュリー21」のフランチャイズとして京都市で不動産売買や仲介を手がける会社だ。代表取締役の島本猛男氏は、20歳で不動産業界に入ってから、独立開業した叩き上げであり、センチュリー21全加盟店・全営業スタッフのうち4%の成績優秀店・者しか受賞できない「センチュリオン」をたびたび受賞してきた。そこに至るまでにはどのようなロードマップがあったのか、話をうかがった。

バブル期の華やかな不動産業界を体験し、31歳で独立開業

ーーまずは、不動産業界に入った経緯からお聞かせいただけますか。

島本猛男:
建設会社で仕事をしていたのですが、不動産会社に勤めている友人の話を聞いて興味がわき、20歳のときに不動産会社に入りました。当時はまだバブル経済が本格化する前段階で、地価が徐々に上がりつつある頃でした。

ただ、その会社では社長の秘書のような仕事が中心で、不動産仲介の仕事やお客さま対応は少なかったですね。そのため、2年ほどで転職し、次に入った会社で主に仲介販売の業務を学んで営業経験を積みました。

転職先は本業が不動産業ではなく、その中で私がひとりで不動産部門を担うことになったのです。上司もいなかったので、仕事は自分で考えたり、他の不動産業者の方や司法書士の方などに教えてもらったりして覚えていきました。今となっては、その経験が自分の力になっていると思います。

ーーそこから独立に至ったきっかけは何でしたか。

島本猛男:
25歳のときに結婚して、娘も2人生まれましたが、「このままずっと会社員として勤めを続けていくだけでいいのだろうか」という思いを抱くようになったのです。当時は景気がよく、不動産業界にもお金が飛び交っており、大きな物件が売買されて、多額の手数料を手にする営業マンの姿も目の当たりにしました。同業者の先輩に高級な飲食店に連れて行ってもらうこともありましたね。私も若いなりに、「こんなに華やかな世界もあるんやな」という憧れを抱き、思い切って独立開業したのが1999年4月、31歳のときです。

最初は自宅兼事務所でスタートし、電柱に「売り物件求む」というシールを貼って地道に物件を集めましたね。その2年後には、一人でやっていくだけでは物足りないと感じるようになり、センチュリー21のフランチャイズに加盟したのです。加盟については反対する仲間もいましたが、「駄目ならまた一人に戻ればいい」という気持ちで挑戦しました。

そして、営業担当と事務員を迎え入れていき、センチュリーのブランド力を活かしながら、現在の事務所に移転し、体制を拡充して営業を展開しています。

「売りたい人」を探す!空き家を次々に見つけて買い取る独自の手法

ーー貴社の事業内容について教えてください。

島本猛男:
弊社の事業は不動産関連が中心で、売上の約9割を不動産売買が占めています。その中でも、建売分譲住宅の販売が約半分を占め、残りは主に土地、マンションの売買です。その他にも、中古物件の売買仲介や、リフォームを施した再販事業、リースバック、自社保有マンションの賃貸運営、賃貸物件の管理など、幅広く事業を展開しています。

ーー貴社の強みは何ですか。

島本猛男:
物件の仕入れに強いことですね。売り物件=商品が充実していることが、数字につながっています。

実は創業当初、物件を「購入したい」という層に向けてアプローチしていたのですが、それではなかなかお客さまとの関係性を築くことができませんでした。「こんな物件があります」とおすすめしても、「もう他社で買ってしまった」と言われれば、私たちの収益はゼロです。

一方で、「物件を売りたい」という方に対しては、「専任媒介契約」を結ぶことで、顧客との関係を築くことができ、たとえ他社で売却されたとしても仲介手数料を得ることができます。そのため弊社では、「売りたい」という方との関係をしっかり掴むための取り組みを行ってきました。これによって、取り扱う売却物件の数も増やすことができたのです。

このビジネスモデルは2010年ごろからスタートしました。当初は営業担当が京都市内全域をまわって、空き家を発掘していました。そして、空き家があればその所有者にダイレクトメールを送ったり、直接訪問したりして、「売却しませんか?」「有効活用しませんか?」とご提案し、物件の仕入れを増やしていったのです。当時、京都市内でそのような活動をしていたのは弊社しかなく、物件の仕入れも売却も非常にスムーズに進んだのです。

また、その2年後くらいからは、不動産を相続された方へのアプローチも始めました。亡くなった方の相続登記情報を取得して、相続された方に「この物件を相続なさったと思いますが、売却されませんか?」とお声がけするようにしたのです。

空き家活用に関しては、「京都市地域の空き家相談員」・「京都オスカー」の認定を取得し、「京都市市営住宅の空き住戸を活用した若者・子育て世帯定住促進事業事業者」にも選ばれました。現在、行政と連携して空き家の有効活用に取り組んでいるところです。

スタッフが活躍できるステージとして、「新店舗」開店が次の目標

ーー最後に、今後の展望をお聞かせください。

島本猛男:
これからも、売り物件を集めるビジネスモデルを強化していきたいですね。さらに今後は、コインパーキングや古いアパートへのアプローチにも取り組んでいきたいです。特にコインパーキングなどは、ずっとそのままの状態かと考えていると、その場所にマンションが新しく建つことがありますよね。つまり、その土地にビジネスチャンスがあったわけです。そういう物件を探して、うまくアプローチしたいと考えています。それから、InstagramやYouTubeなどのSNSをもっと活用して集客につなげるというのも課題です。

私は5年後には63歳になるため、この事業を次の世代にバトンタッチすることも考えなければなりません。そのために、次のステージとして新店舗を出したいと考えています。新店舗ができることでスタッフが活躍できる場やポジションが広がり、それが社員のモチベーションアップにも繋がり、スタッフ全員が成長してくれたらいいと思っています。そして、この会社で働き続けたいと思えるような魅力的な組織をつくっていきたいと考えています。

編集後記

島本社長は、不動産業のノウハウを「上司や先輩から教えられた」のではなく、「自分で考えたり、まわりの人に聞きに行ったりして覚えた」という。そのことが、「空き家を探して商品にする」「相続物件を見つけて商品にする」という自由な発想に至ったのだろう。ただ、それもひとえに社長自身の向上心や主体性、柔軟さやチャレンジ精神あってこそだ。いま多くの企業が人材に対して求めているそれらの力を、社長がどのようにして次世代に受け継ぐのか注目していきたい。

島本猛男/1967年生まれ。1987年、20歳で不動産業界に入る。その後、同じく不動産業に転職し25歳で結婚。1999年4月、31歳のときに独立して株式会社ライフ住宅販売を起業。2年後に株式会社センチュリー21・ジャパンの不動産仲介フランチャイズ「センチュリー21」に加盟する。