※本ページ内の情報は2025年8月時点のものです。

1973年創業の株式会社ニュー・クイックは、全国に約87店舗を展開している精肉専門店を運営する会社だ。主に駅ビルや駅近商業施設に出店し、自社ブランドの精肉や加工食品、惣菜の販売に加え、スーパーマーケットの運営や倉庫業など、多岐にわたる事業を展開している。同社の事業内容や今後の展望について、代表取締役を務める林浩二氏に話をうかがった。

異業種から精肉業界への挑戦と改革

ーー社長のこれまでの経歴を教えてください。

林浩二:
学生時代、アルバイトとして働いていたマクドナルドで、社員の方から「うちに就職しないか」と声をかけられたことをきっかけにマクドナルドへ入社しました。

その後、複数の飲食企業を経て、2022年に弊社に入社しました。それまでの外食業界での経験が評価され、声をかけてもらったことがきっかけです。精肉業に関してはほとんど知識がない状態での入社でしたが、すでに専門家が多数在籍していたので、私は現場の運営力とマネジメント力で自社に貢献しようと決意しましたね。

ーー入社後はどのようなことに取り組みましたか?

林浩二:
販売本部長として入社し、まず取り組んだのは「教える文化」の醸成でした。従来の精肉業界の「見て覚えろ」という職人文化を変え、包丁の持ち方から接客まで、教えられる人材を育てる体制づくりに注力しました。

また、対面ケースの内側からお客様の注文をうかがう販売スタイルから、従業員が売り場に出てお客様と積極的に対話する形式を採用しました。そして、主力顧客である中高年女性に向け、清潔感と安心感のある売り場づくりを徹底したのです。

プライベートブランドの再整理やマスコットの導入など、ブランド価値の可視化にも取り組んできました。これらの積み重ねが、顧客の信頼と既存店売上の向上につながったと実感しています。

2023年に代表取締役社長に就任し、組織全体としての評価制度を整備し、従業員が自ら成長できる環境づくりにも取り組んでいます。

プライベートブランドで差別化を図る

ーーどのような事業を展開していますか?

林浩二:
弊社の主力事業は、精肉の小売販売です。全国の駅構内や高速道路の施設、スーパー内に、直営の小売店約81店舗を出店しています。また、自社が主体となって運営するスーパーマーケット「富士ガーデン」も6店舗あり、精肉だけでなく魚・青果・惣菜と総合的な食を提供しています。

弊社の強みは、「きわみ牛」「雲仙クリーンポーク」「十文字鶏」などの高品質なプライベートブランド商品を販売していることです。さらに、自社開発のオリジナル惣菜や加工品も販売し、品質と差別化で選ばれる精肉店を目指しています。

ーー自社商品について、強みやこだわっているポイントを教えてください。

林浩二:
弊社のプライベートブランド「きわみ牛」は、あえて和牛ではなく、交雑牛を選んでいます。一般的な交雑牛は3等級以下が多い中で、私たちは4等級以上の希少な個体にこだわり、長崎や北海道の提携牧場に育成方法まで依頼して品質を確保しています。

また「雲仙クリーンポーク」は脂に特有の甘みがあり、黒豚よりクセが少なく食べやすいのが特長です。これらの肉はすべて、安心・安全でありながらも味に妥協しない私たちの理念を体現しています。一般市場では手に入りにくい高品質な商品を、手ごろな価格で提供できることが、弊社の大きな強みです。

人材採用と売り場の進化で未来をつくる

ーー貴社が求める人材はどのような人物ですか?

林浩二:
前向きで明るい性格の人が望ましいですね。店舗は何人かのチームで働いているので、人と一緒に楽しく働ける人が欲しいです。弊社では新卒・中途採用のどちらも採用していますが、中途採用で入社する方は、スーパーで働いた経験がある人や、同業他社を経験している方が多いです。また、弊社から他社に転職して、再び弊社に戻ってくる人もいます。

20代・30代の方はマーケティング能力に優れている人も多いので、そうした方には本部で経営に携わってもらいたいですね。自由な感性で仕事ができる会社なので、自分の力を試したい方は、ぜひ弊社にお越しください。

ーー最後に、これから注力したいところをお聞かせください。

林浩二:
今後の重点施策として、既存店の改装と惣菜の新商品開発に取り組んでいます。お客様に、より快適で魅力的な売り場体験を提供すべく、ディベロッパーに頼らず自主的にリニューアルを進める方針です。

同時に、今期より惣菜開発部門を立ち上げ、プライベートブランドの惣菜にも注力しています。さらに、他社とのコラボレーション商品も展開し、話題性を生かした販促も強化しています。

たとえば、おやつカンパニー株式会社さんと開発した「ベビースターコロッケ」や、宅配ピザチェーン「ピザーラ」さんによるオリジナルピザは、多くのお客様にご好評いただきました。今後も、継続的なコラボ商品開発によって、弊社の認知を高めていきたいです。

編集後記

林社長の取り組んだ「教える文化」の醸成は、従業員の自発的な成長を促し、結果として会社としての成長にもつながったのではないだろうか。自社開発のオリジナル惣菜やコラボ商品の開発など、数多くの新しい取り組みを実施してきた林社長は、さらなる新商品・新企画の開発に意欲を見せている。株式会社ニュー・クイックの更なる発展へ期待が膨らむ。

林浩二/1964年生まれ、神奈川県出身。1989年日本マクドナルド株式会社に入社、株式会社山善、株式会社ゴーゴーカレーグループ、フジ産業株式会社、カッパ・クリエイト株式会社、株式会社坂東太郎を経て、2022年4月株式会社ニュー・クイック取締役販売本部長に就任。2023年3月に同社の代表取締役社長に就任、現在に至る。