
株式会社Greenspoonは、2019年に設立された「冷凍宅食サービス」を展開する企業だ。現代人に不足しがちな野菜にこだわり、冷凍でも美味しく食べられる冷凍食品をつくり、届けている。設立5年目を迎え、会員数は累計25万人を突破。2024年には江崎グリコ株式会社にグループ入りをし、、業績を伸ばし続けている。今回は、同社を創業した代表の田邊友則氏に、これまでの経緯や今後の展望などについてお話をうかがった。
事業創出までの軌跡とサービスへのこだわり
ーー貴社を創業されるまでの経緯について教えてください。
田邊友則:
大学卒業後、株式会社サイバーエージェントに入社し、AbemaTVでスポーツ局のチャンネルを立ち上げました。その後、サイバーエージェントを退職。サイバーエージェントでは、業務スキルを向上させることができました。また、世界規模の視野を持つことの大切さを知ったり、同僚と楽しく働くことなどを経験できたりして、私にとって大きな財産となったと思います。
もともと、組織づくりや事業をゼロから考えて形にすることに関心がありました。起業にあたって「自分にしかできない価値って何だろう」と考えたとき、最初から「野菜を扱おう」「食品事業をやろう」と決めていたわけではありません。
発想の出発点は、「人が幸せになる瞬間ってどんなときだろう?」という問いでした。その幸せをどうやったらサービスにできるか、そこから逆算して今の事業にたどり着いたんです。
ーー冷凍食品サービスを選んだ決め手は、具体的に何だったのでしょうか。
田邊友則:
一番大きかったのは、世界的に高まっている“ウェルビーイング”への意識です。たとえば欧米では「医療や福祉が万全ではないからこそ、自分で自分をケアする」という考え方が根づいています。運動したり、食べ物に気を遣ったりすることが、自分を大切にする手段になっている。
そのときに、「食で自己肯定感を高める」ってすごくいいなと思ったんです。忙しい日々のなかでも、手軽に美味しくて栄養のある食事をとることで、ちょっと気持ちが前向きになる。そんな体験を食事で届けたいと思いました。

ーーサービスの特徴を教えてください。
田邊友則:
「野菜がたくさんとれる」ことと「栄養と美味しさの両立」です。GREEN SPOONでは、スープやスムージー、メインディッシュ、ライス&パスタなど、ライフスタイルに合わせたカテゴリーを用意しています。
冷凍で野菜の美味しさや栄養を保つのは難しかった時期もありましたが、技術が進化したおかげで、保存料や添加物を使わずに、驚くほど高いクオリティで商品化できるようになりました。レンジで5分、栄養バランスのとれた一食が完成する。お客様からも「もうこれがないと困る」という声を多くいただいています。
お客様の声を社内で共有し、サービスに活かす好循環をつくる

ーー会社を経営する上で大切にしていることを教えてください。
田邊友則:
お客様の声をとにかく大事にしています。以前、お客様から「GREEN SPOONは私の野菜担当です」と言われて、本当に嬉しかったですね。
社内でもお客様の声は共有しています。半年に一度の合宿や、毎週の朝会で、社員全員が情報をインプットできるようにしていて、僕自身も「今、何を考えているか」を発信するようにしています。そうすることで、チームに共通の意識が育っていくのを感じています。
これからも変わらない「人を幸せにできる事業」への気持ち

ーー今後の事業展開についてお聞かせください。
田邊友則:
新商品の開発などを通じて事業をさらに拡大していく計画です。これまで弊社は事業を順調に拡大してきました。今ではスープの他にも、スムージー・サラダ・スープ・メインディッシュ・ライス&パスタとカテゴリーを広げています。これからも「どうすればお客様に喜んでもらえるか」を考え、事業を拡大していきます。
「どんなときに人は幸せを感じるのか?」を分析し、最近では、有名レストランのシェフとコラボしたり、ポップアップイベントを行ったりホテルの朝食で食べられたりと、オンラインにとどまらない体験の提供も始めています。
これからも、GREEN SPOONを手に取った人の気持ちが明るくなるような、そんなブランドにしていきたいです。
編集後記
2019年設立の新しい会社でありながら、累計会員数25万人・グリコグループの一員となるなど、事業規模も経営環境も大きく飛躍してきた株式会社Greenspoon。その根底には、田邊社長の「人を幸せにしたい」という思いが流れていた。お話をうかがい、相手のことを考えたサービスだからこそ、多くの支持が集まり、急速に事業を拡大することができたのだと感じた。同社はこれからも、手に取った人が笑顔になれるようなサービスをリリースし、話題になることだろう。

田邊友則/2012年青山学院大学を卒業後、株式会社サイバーエージェントに入社。グループ会社の株式会社CyberZやサイバーエージェント本社で広告運用などを行い、同グループの株式会社AbemaTVでスポーツ局を立ち上げる。2016年に退職し独立。2017年、Instagram EC促進SaaSを手がける株式会社ONE BUY ONEを設立し代表取締役に就任。2019年Greenspoonを創業し、現在に至る。