
創業から一貫して、奈良のインフラを支え続けてきた株式会社和田エンジニアリング。代表取締役の和田修志氏は、電気工事を軸にしながら、社員育成、地域貢献、新分野展開と多方面に挑戦を続けている。“能動的に動く組織”を掲げる和田氏に、未来を見据えた取り組みについて聞いた。
地域密着で、生活の根底をなす電気や情報通信をサポート
ーー事業内容をお聞かせください。
和田修志:
私たちは奈良県内の国道・県道すべての道路照明の維持管理を担当し、緊急対応も含めた万全の体制で地域の安全確保に貢献しています。この責任ある仕事は、10年以上にわたり蓄積してきた豊富なノウハウと高い技術力に支えられています。
その実績は奈良県からも高く評価されており、公共事業に関する優良工事表彰などを数多く受賞しております。私たちは道路照明以外にも、民間工事から公共工事まで幅広く建築電気設備全般を手がけており、特に公共工事においては高い比率と元請けとしての実績を誇ります。
中でも、近畿地方整備局管内における光ファイバー網の敷設事業は、得意とする分野の一つです。この分野における専門性と技術力は、国土交通省など、社会インフラ整備への貢献を広く認知いただいております。
ーー人材育成に関しては、どのような取り組みを行っているのでしょうか。
和田修志:
建設業は資格が必要な専門職です。だからこそ、資格取得支援に力を入れています。国家資格の受験費用は合格すれば全額会社負担。さらに合格祝い金も支給しています。技能講習も含め、費用の心配なく挑戦できるよう体制を整えてきました。
また、働き方改革の一環として、2025年4月度から完全週休二日制に移行。夜勤明けの特別休暇制度や、残業削減に向けた仕組みも整備しています。さらには、団体長期障害所得補償保険(GLTD)や各種セーフティネットも導入しました。
大企業と比べても遜色のない待遇を目指して、制度の充実を図っています。やはり、社員に安心して働いてもらえる環境をつくることが、会社の成長にも直結しますからね。
ーー経営幹部の育成にも注力されているそうですね。
和田修志:
30代から40代前半の社員を中心に、将来の幹部候補として外部研修なども積極的に活用しています。現場に権限を委ね、自ら考えて動く組織風土が根付いているので、社員たちも自然とリーダーシップを発揮してくれます。
人を育て、業界を変える

ーー長年にわたり電業の活動に関わっておられるそうですね。
和田修志:
私は現在、一般社団法人奈良電業協会の副会長も務めています。協会では第二種電気工事士試験に向けて直前講習会を無料で開催したり、国家試験の実技講習会では、以前から私も講師として会員企業の社員や高校生たちに直接指導もしたりしています。
また、毎年、奈良県内の工業高校と意見交換会を行い、進学や就職の実情、国家資格の受験状況なども共有することで、国家資格有資格者が増えることを目指しています。
試験合格をサポートすることで、未来の担い手を少しでも増やしたいという思いがあるため、実技に使う部材の準備や支援にかかる費用はすべて協会と加盟企業で負担しています。この活動はかれこれ20年以上続いていますが、公益目的の活動としての側面が強いですね。
照明、通信、設備工事へ。地域と共に進む進化と展望
ーー今後の事業展開について教えてください。
和田修志:
今後は、電気工事を軸にしつつ、設備工事分野の確立を目指しています。衛生設備や空調設備の需要は増加しているのに、担い手が不足している。だからこそ、私たちがそこに挑戦する意義があると思っています。
そのためにもまずは人材の確保と育成に力を入れていきたいと考えており、いきなり設備工事を始めるのではなく、経験者や有資格者を迎え入れ、体制を整えていきます。
また、建設ディレクターとして女性スタッフを現場に参画させ、監督の補助業務を分担する体制も整えています。この「建設ディレクター」という職種は、女性がより活躍できるポジションとして弊社が業界内でもいち早く取り入れ、現場作業員の作業効率化を推進するために導入したものです。
現場では、意欲のあるスタッフにはやれることからどんどん業務を任せていくことで、個々の能力向上を支援し、その結果として現場全体のオペレーション負荷も軽減されています。
ーー採用活動でも独自の工夫をされているとお聞きしています。
和田修志:
最近、YouTubeで採用動画を配信し、26,000回以上の再生数を獲得したのですが、これがきっかけとなって3人の若手が入社しました。私たちは業界のイメージを変えるためにも、こういった発信に力を入れています。
採用基準に関しては、学歴や経験よりも、“能動的に動けるか”を重視しており、実際、前職がペットショップ店員や食品の製造業だった社員が、今では現場の中核を担っています。
大切なのは知識よりも、人間性とやる気。電気の世界は学べば誰でも成長できますし、私自身も社員の挑戦を全力で支援することに誇りを感じています。人が育ち、会社が育つ。その連鎖を信じて、これからも能動的に動く組織づくりを続けていきたいですね。
編集後記
和田エンジニアリングは地域インフラを守る技術者集団であると同時に、“人を育てる場”でもある。電気の業界団体での活動や取り組みは、その象徴だ。和田氏は「社員たちが主役となる組織づくりを目指したい」と言う。その言葉通り、現場を支えるスタッフに裁量を与え、育て、託すスタイルを貫いている。能動的に動ける人が集まり、個性を活かしながら未来をつくる。そんな会社であり続けるための進化が、これからも続いていくだろう。

和田修志/1974年2月6日奈良県生まれ。1999年に株式会社和田エンジニアリングを設立。電気工事業を軸に、地域インフラの保守、国家試験講師、若手育成など多岐にわたる活動を展開。現在は一般社団法人奈良電業協会副会長として業界の発展に尽力。