※本ページ内の情報は2025年11月時点のものです。

メール配信サービスやARサービスなどのソリューションで企業のマーケティング活動を支援するアララ株式会社。同社は、「顧客の顧客まで」を考える徹底した顧客志向で独自の価値を提供し続けている。今回は、IT業界での豊富な経験を活かし、同社を率いる代表取締役社長の門倉紀明氏に、経営哲学やAI活用もふくめた事業の成長および将来展望について話を聞いた。

実は使っているかもしれない?!アララのサービス

ーーまずは、貴社の事業について教えてください。

門倉紀明:
アララでは、ソリューション事業として、法人向けに3つのサービスを展開しています。1つ目がメール配信サービス。メルマガなどを配信する企業に向け、大量のメールを一斉に高速で配信する「アララ メッセージ」を開発・提供しています。2つ目がARサービス。ARは現実の世界にデジタル情報を重ねあわせ、まるでそこにキャラクターが存在するかのような演出ができます。メーカーのキャンペーンなどで主に使われており、私たちはコンテンツの制作を行なっています。3つ目がデータセキュリティサービス。社内のパソコンやサーバに散在する個人情報ファイルを検出し、情報漏洩を防ぐ「P-Pointer」を開発・提供しています。

中でもメールは年配の方から若者まで多くの方が利用しており、企業と顧客をつなぐ最も手軽な接点です。購買促進のマーケティングだけでなく、銀行のログイン通知や自治体の災害アラートなど、生活のあらゆる場面に浸透しています。当たり前すぎて意識されにくいこともあり、「メールなんて今さら」と懐疑的なお客様もいらっしゃいますが、メール配信サービスを導入したお客様からは、到達性や運用工数削減の観点で「意外と効果があった」と言っていただくことが多いです。

メールを含めどのサービスも法人向けなので、私たちの名前が表に出ることはなかなかありません。しかし、この記事を読んでいる皆さんも、実は私たちのサービスを通じて送られたメールを受け取っていらっしゃるかもしれません。

「誰かのために働く」を体現できると思えた会社との出会い

ーー貴社に入社された経緯について教えてください。

門倉紀明:
私のキャリアのスタートは、IT企業でのカスタマーサポートでした。14年間勤め、自身で事業を立ち上げたいという想いから脱サラし異業種のお弁当屋を始めました。立ち上げから軌道にのせるまでオーナーとして一通りの経験をしたものの、基本的には一人での仕事でしたから「もっと仲間と一緒に働きたい」という思いが強くなったんです。

そこで、転職活動を始めたときに偶然出会ったのがアララ(現・ペイクラウドホールディングス株式会社)でした。ホームページに映る社員はイキイキしていましたし、楽しそうな雰囲気が伝わってきたんです。実際に面接を受けたら、その印象のままで(笑)。みんなが自信を持って仕事をしている点に共感したのと、前職のカスタマーサポートで培った「誰かのために働く」という原点もアララの企業文化と合致していると感じ、ジョインすることにしました。

数字よりも「目の前の人」を大切にする 営業経験から生まれた哲学

ーー実際にアララに入社されてから、どのような働き方を築いてこられたのでしょうか?

門倉紀明:
実は、アララにはカスタマーサポート職で入社するはずだったんですが、内定通知のタイミングで当時の代表に「君は営業に向いている」と言われ、急遽営業をやることになったんです。そこで、営業未経験の私が大切にしたのは、数字の達成よりも「目の前にいるお客様が何に困っていて、それを私たちの価値でどう解消できるか」という点です。上司から「数字が足りないぞ」と言われ、「頑張ります」と答えながらも、お客様との関係構築を優先していました。

会社との取引は、最終的には担当者との付き合いであり、「あなたから買いたい」と言ってもらうことが大事です。私たちは製品を売るのではなく、お客様の困り事を解決する存在。たまたまそれが自社のプロダクトだった、という感覚でずっとやってきました。 初年度は新卒社員に営業成績で負け続けて、内心焦りもありましたが、自分のスタイルを貫き、結果的に数字は後からついてきました。

また、サービスの不具合や、お客様からのリクエストをいただいたときなどは、エンジニアやカスタマーサポートメンバーがいてくれることで柔軟に対応できます。みんなでお客様に向き合って働くことで、軸がぶれずに、お客様へしっかりした価値を提供できると考えています。

「顧客の顧客」への想いが生む、真のパートナーシップ

ーーBtoB(法人向け)事業を展開する上で、どのような価値観を重視していますか?

門倉紀明:
企業理念にも繋がりますが、「顧客の顧客まで」という言葉をよく使います。私たちはBtoBtoB(※1)やBtoBtoC(※2)のビジネスですから、目の前のお客様はもちろん、その先にいるお客様の姿まで見えなければなりません。『本当にそのお客様のお客様は喜ぶのか?』という問いかけをよくしています。

私たちの提供するメール配信サービスやARサービス、データセキュリティサービスは、それ自体が目的ではなく、あくまでお客様の課題解決の手段です。私たちの製品を買ってもらうことよりも、お客様のビジネスの成功がゴールです。だからこそ、受注前にお客様としっかり向き合い、納得して長く使ってもらうことを大切にしています。

(※1)BtoBtoB:企業から企業への取引が複数回連続し、最終的なエンドユーザーが「企業」であるビジネスモデル。

(※2)BtoBtoC:企業が別の企業を通じて最終消費者にサービスや商品を提供するビジネスモデル。

挑戦を歓迎し、共に未来を創造する企業文化

ーー社長に就任されてから、どのような組織づくりを心がけていらっしゃいますか?

門倉紀明:
社長に就任した際、社員のみんなには「皆さんの市場価値を高める経営をします」と約束しました。人に興味を持ち、お客様の課題解決に貢献する。その結果として自分自身が成長し、豊かになる。豊かになれば、さらに質の高い価値提供ができるようになる。このポジティブなサイクルを会社全体で創り上げていきたい。業務のスキルは入社後にいくらでも伸ばせます。ですので、スキルが高いことよりも「人に興味がある人」が一番成長すると考えています。活躍しているメンバーは、お客様の課題を聞くにとどまらず、仮説を立てて提案することもとてもうまいです。人に興味を持って接しているからこそだと思います。

また、社員の挑戦を後押ししていきたいと思っています。たとえば、現在、次世代のリーダー候補メンバーが社内風土の改善に向け、検討してくれています。親会社から分社化して、まだ2年目の会社なので、文化を作り上げていくフェーズです。「自分たちの会社をより良くしたい」という彼らの想いを大切に、みんなでこれからのアララを創造していきたいと思っています。安定した環境に安住せず、変化を楽しみ、挑戦し続ける。そんな情熱を社員と共に共有していきたいですね。

これからのアララの展望

ーー今後の事業展開において、どのような方向性をお考えでしょうか?

門倉紀明:
今後の事業展開において、「AI」を積極的に活用していきたいと思っています。現在、業務においては、文書作成やリサーチ、開発などに活用する一方、メール配信サービスにおいては、段階的に製品にAIを取り入れ、お客様により良い価値提供ができるよう取り組んでいます。

直近では、週に一度、業務時間外にエンジニア以外の社員が中心となり、AIを使って何かをつくる時間を設けているんです。エンジニアがサポートに入り、非エンジニアメンバーの日常業務の課題を解決するツール、たとえば、Excelデータの自動並び替えやToDo管理などのツールを開発しています。社員一人一人の身近な業務の改善がきっかけとなり、新たなサービスが生まれる可能性にも期待しています。

貢献が成長に、成長が豊かさに。アララが約束する「ポジティブサイクル」

ーーどのような仲間を増やしていきたいと考えていらっしゃいますか。

門倉紀明:
私自身の経験が示すように、アララでは異業種からの転職者でも、自分らしいスタイルで成長できる環境があります。私は営業未経験から始まり、数字よりも関係性を重視するアプローチで成果を上げ、現在の代表という立場になりました。「人に興味がある」という資質があれば、営業スキルは後からいくらでも伸ばせると断言できます。個人の成長が会社の成長に直結し、どこに出ても通用する人材になる。そのための環境を整えるのが、私の役目です。

人に興味を持ち、お客様の課題解決に貢献する。その結果として自分自身が成長し、豊かになり、さらに質の高い価値提供ができるようになる。このポジティブなサイクルを一人ひとりが体験できる場所、それがアララです。将来一緒に働くみなさんと出会えることを心から楽しみにしています。

編集後記

取材中、門倉社長の口から何度も語られた「人に興味がある」という言葉。それは、営業手法から経営哲学、求める人物像に至るまで、すべてを貫く一本の太い軸だった。数字ではなく、目の前の「人」が抱える課題にどこまでも真摯に向き合う。その姿勢は、時に自社の売上を手放すことさえ厭わない。一見、遠回りに見えるそのスタイルこそが、顧客との揺るぎない信頼を築き、会社の成長を支えているのだと痛感した。安定より挑戦を、現状維持より成長を。熱く、誠実なリーダーと共に世界を変える興奮が、アララにはある。

門倉紀明/IT企業で14年間のキャリアを経た後、個人事業主として独立。キッチンカーによるオフィス街向けの弁当販売事業を経営。 その後、アララ株式会社(現・ペイクラウドホールディングス株式会社)に入社し、メール配信サービスをはじめとするソリューション事業において営業を担当。 事業部長を経て、2024年3月に親会社からソリューション事業を引き継ぐ形で同社の代表取締役社長に就任。