※本ページ内の情報は2025年10月時点のものです。

補助金・助成金コンサルティングを主軸に、設立からわずか数年で急成長を遂げる株式会社Momentum Youth。特に「IT導入補助金」の領域では採択率95%という高い実績を誇り、業界内で確固たる地位を築いている。近年はホールディングス化も果たし、領域を問わず多角的な事業展開を加速させる同社を率いるのは、代表取締役の林田聡一朗氏だ。大学時代に幼馴染と交わした約束を果たすため、7年間の修業期間を経て起業。自らを厳しい環境に置き、有言実行で道を切り拓いてきた同氏に話を聞いた。

幼馴染と交わした大学時代の約束が起業の原点

ーー起業に至るまでの経緯を教えてください。

林田聡一朗:
共同代表の小山倫弘は小学校からの幼馴染です。「将来一緒に会社をつくろう」という大学時代の約束が、起業を意識した原点となりました。当時、小山とイベントサークルを立ち上げ、SNS集客などを通じて事業の面白さに目覚めました。とはいえ、すぐに起業はしませんでした。まずは社会人経験を積むべきだと考え、それぞれ別の会社へ就職したのがキャリアの始まりです。

将来の独立を視野に入れ、私は、ITやアドテクに関する知見を深めるためにインターネット広告業界に就職しました。この業界を選んだのは、当時、インターネット広告業界が著しく成長しており、その可能性を強く感じたからです。この世界に飛び込むことで、将来のために必要な経験が得られると判断しました。

ーー7年間の修業期間では、どのようなご経験をされましたか。

林田聡一朗:
入社当初の厳しい経験が、今の自分の基礎を築いています。優秀な同期に囲まれる中、スキル不足を痛感し、とにかく時間と行動量でカバーしようと必死でした。当初は1、2年での独立を予定していました。しかし、成果を出すことに集中するうち会社の環境に慣れてしまい、なかなか踏み出せずにいました。30歳という節目を前に「今行動しなければ、一生このままだ」と退職を決意しました。

ーーご自身の仕事に対する向き合い方についてお聞かせください。

林田聡一朗:
私の仕事における信条は、新しい挑戦から逃げずに「一歩を踏み出す勇気」です。そして「スピード感のある行動」と自らを追い込む「有言実行」を大切にしています。やると決めたことはまず周囲に宣言し、自分を逃げられない状況に追い込むようにしています。言ったことを実現できないのは、最も格好悪いことです。その思いが、私を突き動かす最大の原動力になっています。

採択率95%を誇る一点集中の補助金事業戦略

ーー現在の事業内容を選ばれた経緯についておうかがいできますか。

林田聡一朗:
「前職でお世話になった方々への不義理はしない」という信念がありました。そのため、過去に取り組んだことのある事業を避け、ゼロから事業を立ち上げることを検討しました。お世話になった先輩に助けていただき、補助金・助成金事業のノウハウを得たのがきっかけとなりました。

当初は様々な補助金を扱っていましたが、専門性を高めるために「IT導入補助金」一本に絞る戦略に切り替えました。結果として採択率95%という高い水準を実現し、これがお客さまから選ばれる最大の理由になっていると自負しています。

ーーホールディングス化の背景にある狙いを教えてください。

林田聡一朗:
補助金事業でスタートしましたが、国の政策に左右されやすいというリスクもあります。そこで、補助金事業に依存しない、安定した経営基盤を築こうと考えました。そして、人材事業やフレグランス事業などを展開し、事業の柱を複数持つ体制へ移行しました。

また、社員の挑戦を後押しする社内ベンチャー制度も設けました。事業企画が承認されれば、年収1000万円で子会社の社長になるチャンスが与えられます。このような形で、社員の「やりたい」という思いを積極的に支援しています。

社員一人ひとりの人生に寄り添う人材育成の仕組み

ーー組織づくりにおいて、大切にしていることは何ですか。

林田聡一朗:
弊社のミッション・ビジョン・バリュー(MVV)は、「誰もが理想の自分を諦めない世界を作る」ことです。この実現のために、会社全体で挑戦を続け、結果を出すことを非常に大切にしています。

また、社員の成長のために、一人ひとりの人生に寄り添うことを重視し、将来的に会社の看板がなくてもどこでも通用する人材を育てることを意識しています。そのために導入したのが「夢年表」という制度です。1年後から10年後までの目標や夢を書き出してもらい、それを見ながら全社員と私が1対1で面談します。彼らが将来どうなりたいのかを深く理解し、本人のキャリアプランに合わせた人員配置や業務を考えます。日々のコミュニケーションも欠かさず、スキルアップのための投資も惜しみません。

ーー貴社には、どのような方が集まっていますか。

林田聡一朗:
平均年齢27歳と若手が中心で、多様な経歴を持つメンバーがそれぞれの個性を活かして輝いています。私や共同代表の幼馴染、前職の後輩など、紹介での入社も多くあります。新卒採用は行っていませんが、社会人経験のない若者の入社も珍しくありません。元看護師や整備士といった、異業種からの転職者も活躍しています。

ーー今後どのような方と共に働きたいとお考えですか。

林田聡一朗:
プライドが邪魔をして人の意見を聞けない人は成長できません。また、途中で投げ出さずに誠実に仕事へ向き合えるかで、信頼関係は大きく変わってきます。そのため、採用では経験やスキル以上に、「素直さ」「誠実さ」「やりきる力」という3つの素養を重視しています。

加えて、今後は新規開拓を担う営業チームを特に強化したいと考えています。私たちの価値観に共感し、共に成長できる熱意のある方をお待ちしています。

100人規模で高収益を目指す少数精鋭の組織像

ーー今後の事業展開について、具体的な目標をお聞かせください。

林田聡一朗:
当面の目標は、3年後までに新たな収益構造を確立することです。主力である補助金・助成金事業に頼らずとも、十分に利益を出せる状態を目指します。そのために今立ち上げている新規事業を確実に軌道に乗せ、さらなる挑戦を続けます。

会社の規模については、やみくもに従業員を増やす考えはありません。100人程度の少数精鋭で、高い利益を生み出せる組織を目指します。そのためにも、営業部門の強化や新規事業の展開と並行し、既存メンバーの育成に一層力を入れます。

ーー最後に、読者へメッセージをお願いします。

林田聡一朗:
私は「環境が人を変える」と考えています。私自身、会社を立ち上げてみて、個人の力だけでは影響範囲に限界があることを痛感しました。だからこそ、どの環境に身を置くかが非常に重要です。その会社には挑戦する文化があるか、その会社で働くことで成長している実感を得られるか。企業のネームバリューだけで判断するのではなく、ぜひ自分の目で見て、肌で感じてください。そして「ここで頑張りたい」と心から思える場所を選んでほしいと願っています。

編集後記

採択率95%という実績は、あくまで過去の通過点に過ぎない。林田氏の視線は、すでに補助金事業に依存しない未来の収益構造と、100人のプロ集団という組織の理想像に向けられている。「宣言し、やりきる」というスタイルは、同氏だけでなく、会社全体を未来へ向けて絶えず進化させる原動力だ。その勢いは、これからも多くの若者を巻き込みながら加速していくに違いない。

林田聡一朗/1992年東京都生まれ。駒澤大学卒業後、株式会社インタースペースに入社し7年間在籍。その後、幼馴染と共同代表として株式会社Momentum Youthを起業し、代表取締役に就任。補助金・助成金事業を軸に展開していたが、2025年にホールディングス化。現在はグループ各社でマーケティング、人材、フレグランスの事業を展開している。