※本ページ内の情報は2025年10月時点のものです。

ハンディファンや加湿器といった季節商材を中心に、人々の暮らしに彩りを与える製品を届けるライフオンプロダクツ株式会社。同社は企画から開発、デザイン、販売までをすべて社内で行う体制を強みとする。これにより、顧客の課題を解決する商品を迅速に世に送り出している。2022年に代表取締役に就任した池田祐一氏は、大手文具メーカー「キングジム」で営業と開発を経験。その後、グループ会社で人気キッチン家電ブランド「Toffy」の立ち上げを成功させた経歴を持つ。同氏は畑違いの経験を武器に、組織の可能性を最大限に引き出している。独自のキャリアから得た商品開発への思いと、会社の未来像について話を聞いた。

営業職で得た顧客視点 ものづくりへの揺るぎない土台

ーー社会人としてのキャリアはどのようにスタートされたのでしょうか。

池田祐一:
2001年のキングジムへの入社が、社会人としてのキャリアの始まりです。もともと商品開発に興味があったのですが、大阪支店で7年間営業を担当しました。希望とは違う配属でしたが、この期間に文具業界の流通構造を学び、お客様の生の声を直接聞く機会に恵まれたことは、今振り返ると非常に良い経験だったと感じます。

ーー営業のご経験で、印象に残っているエピソードはありますか。

池田祐一:
納品先にキングジムの厚型ファイルがずらりと並んでいる光景や、病院や駅などさまざまな場所でラベルライター「テプラ」が使われている様子。それらを目にするたびに、自社の商品が多くの方の役に立っていると実感し、喜びと誇りを感じました。お客様と直接対話する中でいただく意見も、後の開発業務において大きな糧となりました。

未経験からの挑戦 人気ブランド立ち上げの全貌

ーーキャリアの大きな転機となった出来事についてお聞かせください。

池田祐一:
キングジムの開発本部を経て、2013年にグループ会社の雑貨メーカー、株式会社ラドンナへ出向したことが最大の転機です。キッチン家電ブランド「Toffy(トフィー)」の立ち上げに参画したのですが、キッチン家電の開発の経験は全くありませんでした。競合品を何台も分解して仕組みを一から学び、ブランドデビューに向けて6種類の商品を同時に開発。発売日が決まっている中で品質改善も求められ、何度も日本と海外の協力工場を往復しました。つらい時期でしたが、この経験がなければ今の自分はないと断言できます。

ーーヒット商品はどのように生み出されたのでしょうか。

池田祐一:
オーブントースターは、当時主流だった横型ではなく、デザイン性を生かした「縦型二段式」にしたところ、大きな反響を呼びました。ホットサンドメーカーも人気でしたが、お客様から「ボリュームがありすぎて食べきれない」という声をいただきました。そこで、食パン1枚を折りたたむ「ハーフホットサンドメーカー」を開発。これもご好評をいただき、お客様の声に耳を傾けて課題を解決することの重要性を改めて学びました。

開発者から経営者へ 組織の強みを引き出す新たな挑戦

ーー貴社の社長に就任された経緯について教えてください。

池田祐一:
2021年にキングジムがライフオンプロダクツの合併・買収(M&A)を行い、翌年6月に私が出向する形で社長に就任しました。ラドンナで雑貨づくりに携わり、「Toffy」を立ち上げた経験を、同業であるこの会社で活かしてほしいという意図があったのでしょう。経営は初めてだったので、まさにゼロからのスタートでした。

ーー社長として、貴社のどのような点に強みと可能性を感じましたか。

池田祐一:
1つは、何度も諦めずに提案を続ける粘り強い営業力。そしてもう1つは、製品開発から販売までをすべて社内で対応することで生まれるスピード感です。企画からデザイン、販売、カスタマーサポートまで社内で行うため、意思決定が迅速です。これは変化の速い雑貨商材を扱う上で大きな武器になると確信しました。この強みを活かすためにも、社員が安心して働ける環境が不可欠だと考え、全社員との面談などを通じて一人ひとりの声を聞くことを大切にしています。

季節商材から生活家電へ さらなる成長に向けた未来の展望

ーー商品開発において、大切にされていることは何ですか。

池田祐一:
弊社は経営理念として、「人々の暮らしにイロドリを創造し、モノを創る企業であって人を創る企業であり、全従業員とすべてのお客様の心の幸福を実現する。」を掲げています。ただ便利なものをつくるのではなく、暮らしの中にある不便、不満、不快といった“不”を改善し、彩りを加えることを常に意識しています。たとえばハンディファンに、かばんの中での誤作動を防ぐ仕様や持ち運びやすいカラビナをつける。そうした小さな工夫の積み重ねが、私たちのものづくりの原点です。

ーー会社の今後のビジョンと、それを実現するための人材についてお聞かせください。

池田祐一:
将来的には売上高を現在の倍以上に伸ばすのが目標です。季節商材に加え、私たちが雑貨で培ったデザイン力を活かし、大手には真似できない生活家電も展開します。また、インターネット通販の強化や海外展開も加速させます。この成長を実現するには人材が不可欠です。弊社では若手にも積極的に仕事を任せ、成功体験を積ませることで、短期での成長を促しています。

変化の時代を勝ち抜くために 不可欠な挑戦と探求心

ーー最後に、読者である就活生へメッセージをお願いします。

池田祐一:
私たちが求める人材像には3つの条件があります。1つ目は、新しいことに挑戦できる人。2つ目は、すぐに諦めない人。そして3つ目が、自分で学び続けられる人。商品化には困難が伴います。しかし、変化の速い業界で探究心と忍耐力を持ち、何事にも向き合える方と一緒に未来をつくっていきたいです。

編集後記

希望の部署ではなかった営業職からキャリアをスタートさせ、そこで得た顧客視点を武器に開発者として頭角を現し、雑貨ブランドの立ち上げを成功させる。そしてM&Aを機に、経営者として新たな会社の舵を取る。池田氏の歩みは、目の前の仕事に真摯に取り組むことが、いかに未来の可能性を切り拓くかを示唆している。その経験に裏打ちされた“不”の改善という思いは、同社の成長の原動力だ。同社がこれから私たちの暮らしにどのような彩りを加えてくれるのか、その挑戦に注目したい。

池田祐一/2001年大学卒業後、株式会社キングジムに入社。大阪支店で文具代理店への営業、デジタル文具や生活家電の開発に携わる。2013年、グループ会社の株式会社ラドンナへ出向。企画課長および取締役企画部長としてキッチン家電ブランド「Toffy」の立ち上げに参画。2022年6月、ライフオンプロダクツ株式会社へ出向し、代表取締役に就任。