
株式会社インターネットインフィニティーは、「健康な未来」という理念のもと、超高齢社会の課題解決に挑む企業である。リハビリ型デイサービス「レコードブック」による健康寿命の延伸支援と、介護現場の生産性向上を目指すDXソリューション事業を展開。社会課題を成長機会に変える独自のビジネスモデルで、社会貢献と高い成長性を両立させている。創業者である代表取締役社長の別宮圭一氏に、事業の強みと成長戦略を聞いた。
IT業界から介護の現場へ 課題意識から生まれた事業の原点
ーー御社を創業されたご経緯と、事業の原点についてお聞かせください。
別宮圭一:
もともと私はIT業界の出身で、システムの受託開発会社を経営していました。ある時、お客様であった介護事業者の現場を初めて見学し、そのIT化の遅れと生産性の低さに衝撃を受けました。当時は介護保険法が施行されたばかりで市場の成長性を感じており、この業界で独自のビジネスモデルを構築できないかと考えたのが、すべての始まりでした。 
全くの未経験でしたから、自ら介護士の資格を取得し、介護現場の隅々まで見て回りました。そこでさまざまなケースを目の当たりにするうち、「介護が必要な状態になる前に、もっとできることがあるはずだ」と強く思うようになりました。この“介護予防”という着想が、現在の主力事業である「レコードブック」へとつながったのです。
社会課題を成長機会に 事業の二本柱“健康寿命の延伸”と“DXソリューション”
ーー現在、中核として展開されている事業内容をお聞かせください。
別宮圭一:
「レコードブック」というリハビリ型のデイサービスを全国に展開しています。要介護度が比較的軽度な高齢者を対象に、運動機能や認知機能の維持・向上を支援するサービスです。
私たちが特に重視しているのは、「転倒させない、骨折させない」という一点です。高齢者の転倒骨折は、長期入院や寝たきりにつながる極めて大きな要因です。そのため、体幹やバランス能力を鍛え、転ばない体づくりを目指しています。さらに、福祉用具のレンタルや住宅リフォームの提案も行い、住環境の整備も含めて多角的に転倒しない環境づくりをサポートしています。一瞬の転倒が、その方の人生を大きく変えてしまう。その一瞬をなくすことが、私たちの戦いです。
ーーそのほかにも、貴社が注力されている事業はございますか。
別宮圭一:
はい。もう一つの事業の柱として、介護事業者の方々に向けた“DXソリューション”を展開しています。こちらの事業を通じて解決を目指しているのが、“2040年問題”とも言われる介護現場の深刻な人材不足という課題です。この課題を克服するには、現場の生産性を飛躍的に高める以外に道はありません。
 介護現場では、従業員が本来の専門業務であるケア以外に多くの時間を奪われている実態があります。いわゆる“ノンコア業務”に、実に全業務時間の3〜4割を費やしているのです。いまだに手書きの書類作成や複数システムへの二重入力といった非効率な作業が日常的に発生しています。私たちのDXソリューションは、こうした課題を解消し、より少ない人数でも質の高いサービスが提供できる体制の構築を目的としています。介護業界はDXが遅れている分、私たちにとっては非常に大きな事業機会だと捉えています。
“ニッチトップ”を徹底追求し、仲間と共に未来を創造する

ーー御社の成長を支える独自の強みと、今後の展望についてお聞かせください。
別宮圭一:
私たちの強みは、第一に「人」、そして第二に「徹底的な差別化戦略」です。情熱あるチームが良いサービスを生み、他社にはない独自の価値を磨き上げて特定領域で圧倒的な一番、すなわち“ニッチトップ”を目指す。この戦略が成長の源泉です。また、グロース市場に上場していることも、常に成長を志向する文化を育む良いプレッシャーになっています。
 
今後は、5年で10倍規模への成長を目指し、これまでの延長線上にない”非連続な成長”を実現していきます。特にDXソリューション事業で、業界ナンバーワンの地位を確立したい。そして「レコードブック」は現在の約240店舗から、まずは400店舗、その先に1000店舗展開を目指しています。たとえば、シニア向けフィットネスとして国内に多数の店舗が存在しますが、その施設の利用者が、いずれ私たちのサービスの対象となっていく可能性を考えても、将来の需要は1000店舗でもまだ足りないくらいです。
この壮大な目標を実現するために最も重要なのは、このビジョンに共感し、共に未来を創造してくれる「仲間」です。スキルや経験以上に、前向きで素直な仲間と共に、これからも社会課題の解決に挑戦し続けていきます。
編集後記
IT業界出身という客観的な視点が、介護業界の“当たり前”に潜む課題を見抜く力となった。社会課題を具体的なアプローチで捉え、収益性の高いビジネスへと昇華させる手腕は、目を見張るものがある。5年で10倍成長を目指すという力強い言葉からは、確かな勝算がうかがえた。同社の今後の飛躍から目が離せない。

別宮圭一/1972年、愛媛県出身。IT企業でコンピューター書籍や電子商取引サイトの法人営業に従事。その後、システムインテグレーション事業を目的に当社を設立。当時、介護ビジネスを手掛ける会社からシステム構築依頼を受けたことをきっかけに、ヘルスケア業界においてインターネットを活用したビジネスの可能性を見出し、高齢者市場に専門特化したヘルスケア事業を開始。