
ブライダル関連のプラットフォーム事業や、結婚式場向けコンサルティング、人材紹介サービスなどを展開する株式会社トキハナ。LINEを活用したパーソナルな相談対応に加え、「持ち込み自由」「即決不要の最低価格保証」といった独自のサービス設計で、不透明さが課題とされるブライダル業界に革命を起こしている。徹底したユーザーファーストにより、式場側とも良好なパートナーシップを築く同社は、コロナ禍の苦境もバネに成長を続ける。同社を率いるのは、上場企業2社の成長に貢献した経験を持つ代表取締役社長の安藤正樹氏。なぜあえてレッドオーシャンと言われるブライダル業界で起業したのか。その熱い思いと、徹底した透明性経営の真髄に迫る。
「人の役に立つ」限界への問いと結婚式への熱い思い
ーーこれまでのご経歴についておうかがいできますか。
安藤正樹:
以前はインターネットベンチャーの役員として上場も経験しました。ですが、どこかで人の役に立つ限界を感じていました。インターネットは便利ですが、あくまでインフラであり、誰かの人生に深く寄り添う実感を得にくかったのです。
そんな時、結婚式という仕事の魅力に気づきました。お金を払う側もサービスを提供する側も、全員が感動している。このような稀有なビジネスはないと感じ、「この領域で自分にしか創造できない価値を提供しよう」と決意しました。合わせて「結婚式離れ」などの課題を解決したいという熱い思いが、創業の原点です。
業界の常識を覆すユーザーファーストの革命

ーー貴社が提供するサービスの強みを教えてください。
安藤正樹:
弊社の主力事業は、新郎新婦と結婚式場をオンラインでマッチングするサービス「トキハナ」です。最大の強みはユーザーファーストを徹底している点です。式場探しをLINEでできるという利便性に加え、「持ち込み自由」「即決不要の最低価格保証」を約束する式場のみを紹介しています。特に、通常は制限の多い「持ち込み」を7割以上の提携式場がOKとしているのは、業界内でも革命的な成果だと自負しています。
ユーザーにとって不利がない状態で納得して選んでいただけるのが強みです。そのため、「トキハナ」経由のお客様は式場にとっても熱量が高く、契約率が高いという実績があります。
コロナ禍では売上高が10%まで落ち込む危機に直面しました。しかし、この期間にコンサルティングのリモート移行を推進。さらに、社内に蓄積されたLINEのノウハウを活用し、他業種のLINEサポート事業を立ち上げました。新たな収益基盤を構築したことで、危機を乗り越えることができました。その結果、コロナ収束後には以前を上回る成長軌道に乗っています。この対応が最大のターニングポイントだったと感じています。
ーー貴社が実践されている価値観についてもお聞かせいただけますか。
安藤正樹:
私が大切にしているのは「合理性」と「透明性」です。弊社では、財務状況だけでなく全社員の給与も公開しています。給料がブラックボックスだと、評価や仕事の中身、ひいては組織のすべてがブラックボックスになり、無駄な疑心暗鬼を生むと考えているからです。すべてをさらけ出すことで、純粋にお客様や業務に向き合える信頼関係を築いています。
少数精鋭で「個」が躍動する超効率的な組織運営
ーー事業を推進されている組織の体制や文化について教えてください。
安藤正樹:
組織として、弊社のビジョンに共感した自律的なメンバーが集まっています。業務はフルリモートのため、情報はすべてオンラインで共有できる仕組みを構築しています。これにより、組織の無駄なマネジメントコストが極めて少ないのが特徴です。
私たちは自然体の延長で仕事を進めることを重視しています。過度な管理は行いません。役割分担を明確にし、「部で動くより個で動く」という意識で、一人ひとりがプロフェッショナルとして自走しています。そのため、高効率な運営が実現できています。
新婚層向けプラットフォームNo.1への挑戦

ーー今後のビジョンと、次のステージへ進むための課題をお聞かせください。
安藤正樹:
目指すのは「新婚層向けプラットフォームNo.1」です。式場の人手不足や集客課題を代行することで、業界内での存在感をさらに高めていきます。
結婚のタイミングには、式場選びだけでなく不動産や保険など多くの意思決定が伴います。私たちは、新婚夫婦がそうした場面で不利益な条件を提示されたり、騙されたりすることを避けるため、あらゆる意思決定に伴走できる欠かせない存在になりたいです。
現在求めているCMO(最高マーケティング責任者)候補の方には、「トキハナ」というユニークな会社の価値提供を正しく言語化し、世の中に伝えていただくことを期待しています。「式場選ぶならトキハナを選んでください!」と胸を張って言える状態を作り、認知を飛躍的に高めてくれる方と共に、次のステージへ進みたいです。
編集後記
「給料がブラックボックスだとすべてがブラックボックスになる」。安藤氏のこの言葉は、組織運営の本質を鋭く突いている。合理性を突き詰めた先にある徹底した透明性が、社員の自律を促し、ひいては顧客への誠実なサービスへと繋がっているのだ。「自分にしか創造できない価値」を追求し、レッドオーシャンと言われるブライダル業界に変革をもたらした株式会社トキハナ。新婚層のあらゆる意思決定を支えるプラットフォームとして、その影響力は今後ますます拡大していくだろう。

安藤正樹/2003年京都大学法学部卒業。2001年より創業メンバーとして参画の株式会社ドリコムで営業担当取締役を務め、東証マザーズ上場に貢献。2009年4月、株式会社エスクリに入社し、東証マザーズ上場経験後、取締役事業本部長に就任し東証一部指定替えに貢献。結婚式離れの課題を解決したいと、2016年5月、株式会社リクシィ(現・株式会社トキハナ)を創業。LINEでできる式場さがし「トキハナ」などを運営。