
「ネットを空気に変える」をコンセプトに、AI・IoT・クラウド・ロボティクス技術を活用した各種プラットフォームサービス及びソリューションサービスを提供する株式会社オプティム。スマートフォンやパソコンなどの端末をクラウド上で一括管理する「OPTiM Biz(オプティムビズ)」のほか、農業、建設、医療、自治体などさまざまな産業課題に対して最新のデジタル技術を提供し、産業が抱える課題を解決するサービスを展開している。
今回、大学在学中に同社を創業した菅谷俊二氏に、起業までの道のりや、最新テクノロジーを活用した同社のサービスについて詳しく聞いた。
大前研一氏主催「ビジネスジャパンオープン」を契機に起業し、大ヒット商品を開発
ーー起業までの道のりを聞かせてください。
菅谷俊二:
小学生のときは、自分でプログラミングをしてゲームをつくり、友だちにそのゲームで遊んでもらうといったことをしていました。今思えば、幼い頃から「自分で何かを企画し、喜んでもらう」という会社経営のような活動が好きだったのだと思います。
実際に起業したのは、大学在学中の2000年です。大学に入学した1996年はインターネットバブルの時期だったこともあり、インターネットを活用して何かできないか試行錯誤し、現在の経営理念や事業の基盤となるビジネスに取り組んでいました。
起業前の出来事として特に記憶に残っているのが、起業家と投資家のマッチングイベント「ビジネスジャパンオープン」が著名コンサルタント大前研一氏によって開催され、このイベントに参加したときのことです。
イベントでビジネス案を発表したところ、ソフトバンクからIT分野の参加者が提案したビジネス案の中で、これから最も伸びる可能性がある」と評価され、特別賞をいただきました。
また、ソフトバンクグループへの参画のお誘いや買収の提案もしてくださったのです。
非常にありがたい話ではありました。ただ、僕は「自分で会社を立ち上げたい」という思いがあったためこの話はお断りし、2000年に自身でオプティムを創業しました。
ーー創業当初は特にどういったことが大変でしたか。
菅谷俊二:
特に苦労したのが、資金繰りです。創業当時、NTTの副社長が弊社の技術力を認めてくださり、「光ファイバーの普及プロジェクトに、オプティムを採用したい」と言ってくださいました。
私はもともと、「世界中に影響を与えるようなことがしたい」という思いで起業したので、この大プロジェクトに参加できるのは絶好の機会だと捉え、当時10名ほどしかいなかった社員を全員、そのプロジェクトに投入することを決めました。
しかし、この発想が間違いでした。全社員をそのプロジェクトに参加させようと準備していましたが、取引実績のない弊社を採用することに対しNTT内で長期間の検討を要し、その間に会社の資金がどんどん減っていってしまったのです。
資金が残り少なくなり、いよいよ倒産するしかないと思っていたとき、NTTの副社長にこの現状を伝えたところ、「そんなに迷惑をかけていたなんて知らなかった」と逆に謝罪を受け、すぐに十分な資金を提供してくれました。
これにより弊社は息を吹き返し、またNTTのプロジェクトに参加できることが正式に決定し、無事に商品を開発することができたのです。
なお、このときに開発した、パソコンを自動的にセットアップできるサービス「Optimal Setup(オプティマルセットアップ)」は、「フレッツ簡単セットアップツール」として発売され、大ヒット商品となりました。
顧客の立場に立ち、「ペインポイント」を理解できることが強み

ーー改めて、事業内容を教えてください。
菅谷俊二:
弊社では「ネットを空気に変える」をコンセプトに掲げ、AI・IoTやクラウド、ロボティクス等を活用し、農業や医療、建設業界など各産業のDX・AXを推進する事業を展開しています。
サービス例の1つが、農業において農薬を極力使わずにお米をつくることができる「ピンポイント農薬散布」です。これは、AIカメラが田んぼの様子を撮影し、画像解析をすることで、必要な箇所だけに農薬を散布できるというものです。
このサービスを使うために、農家の方が自らドローンについて勉強する必要はありません。高度なテクノロジーを、空気のように意識せず自然と使えるという意味で「ネットを空気に変える」と表現しています。
また弊社の目標として、最終的に「人々がスイッチ1つで最新テクノロジーを使い、便利なだけでなく、経済的にも得する世界」を実現したいと思っています。
ーー貴社の強みはどういった点にありますか。
菅谷俊二:
強みは、お客様が困っている点、つまり「ペインポイント」をよく理解している点です。
弊社ではお客様の立場に立つことができるよう、サービスを提供する前に、お客様の業務を疑似体験していることが特徴です。
実際にお客様の業務を体験するからこそ、どういったところにコストやストレスがかかっているのかを理解でき、結果として適切な場所にサービスを導入することが可能です。
私は「イノベーションを起こすこと」のほかに、「真摯に社会や社員、顧客に向き合うこと」を大切にしており、お客様の立場に立つという方針にもこの考え方は活きています。
AIの活用が進む「チャンスの時代にチャンスを掴める会社」でありたい

ーーどのような人材を採用したいと考えていますか。
菅谷俊二:
特に求めているのが、市場を開拓しようという「フロンティア精神」を持った人です。自分たちにしかできないことに挑戦し、多くの人の役に立ちたいという思いを持つ人にとって、弊社はやりがいを感じることができる会社だと思います。
また、IT業界は技術的な変化が目まぐるしく、必要とされるスキルが短期間で変わるので、スキルよりもマインドを重視しています。そのため、社会やお客様、技術、イノベーションにどのように向き合うかを、自分でしっかりと考えることができる人と一緒に働きたいですね。
ーー今後に向けた目標や意気込みをお願いします。
菅谷俊二:
オプティムは、最先端のAIの活用に力を入れることです。AIを活用して社会を便利にし、多くの企業が得をできるよう徹底的に取り組んでいきます。
現在は、昔であれば時間をかけないと実現できなかったことが、AIを使えば短時間で簡単に実現できる時代です。過去には理不尽で非効率的だったことが、AIで解決できるという意味で、今は「チャンスの時代」だと私は思います。
弊社はこのチャンスを活かし、社会をより良くできる会社になるつもりです。また、AIを使った社会変革に関心がある人にとって弊社は「チャンスを掴める会社」だと言えますし、そういった人たちと一緒に会社を成長させていきたいです。
編集後記
会社の資金が尽きかけるといった困難を乗り越えることができたのも、オプティムにしかない独自技術が社会から求められているからだろう。また、この高い技術力に加えて、徹底した顧客視点を持つ同社に信頼を寄せる企業は多い。
同社が「イノベーションを起こす」という強い思いで社会を変え、今後もさらなる進化を遂げていく姿が目に浮かぶ。

菅谷俊二/1976年神戸市生まれ。2000年佐賀大学在学中に株式会社オプティムを創業、代表取締役に就任。2015年東証プライム市場に上場。事業開発に伴う研究開発を通じて多くの発明を行い、特許件数は約1000件に及ぶ(出願中を含む)。情報通信分野日本人特許資産規模ランキング(1993-2020)第1位。数多くの特許技術を基盤として情報システム、農業、医療、建設土木分野を中心にあらゆる産業でDX・AXを推進する事業を展開している。