※本ページ内の情報は2026年1月時点のものです。

エンドユーザーからの直請け案件を主軸に、顧客が抱える困難なプロジェクト、いわゆる「火の車」を鎮火させることで確固たる信頼を築く株式会社エヌエス・フューチャー。同社は、エンジニアが上流工程から深く関わり、顧客の声に直接耳を傾けながら真の技術者として成長できる環境を提供している。26歳で初めてパソコンに触れ、多様な職歴を経て30歳で起業した代表取締役の中釜剛志氏。「努力にまさる天才なし」という信条のもと、社員一人ひとりの成長と生活を第一に考える同氏に、独自の事業論と経営信念を聞いた。

異業種から独学で始めた技術者への道

ーー社会人としてのキャリアはどのようにスタートされたのですか。

中釜剛志:
パソコンに触れたのは26歳からで、それまでは全く異なる業界で営業など様々な仕事をしていました。ある時、オフィスで働く人たちを見て「自分もパソコンを使う仕事がしたい」と漠然と思ったのがきっかけです。当時はインターネットも普及していなかったので、本を買い込み、何台もパソコンを分解しては組み立て、独学で仕組みを学びました。若いうちに様々な経験をしておきたいという思いが強く、面白そうだと思ったことには何でも挑戦していました。

ーーどのような経緯で会社を設立されたのですか。

中釜剛志:
大手企業のエンジニアとして働いていた時期があるのですが、当時は今では考えられないほど労働環境が厳しく、とにかくがむしゃらに働き続ける毎日でした。その姿を見ていた当時の上司から「それだけ働くなら、自分で会社を立ち上げた方が儲かるのでは」と言われたのがきっかけです。上司の言葉を機に「会社をやってみようか」と考えるようになり、最初はとにかく稼げればなんとかなるだろう、というくらいの気持ちでスタートを切ったのです。

ーー起業当初、最も苦労した点は何でしたか。

中釜剛志:
起業当初は資金繰りに悩まされました。サラリーマン時代は、たとえ自分のプロジェクトがうまくいかなくても会社全体で収益があり、給料の心配をすることはありませんでした。しかし、自分が経営者になると、まずキャッシュフローの壁にぶつかります。仕事を受注できる能力はあっても、開発には人が必要で、人件費が先に出ていき、入金は後になる。この時間差に、創業当初は本当に苦労し、眠れない日々が続きました。

ーー創業期はどのように組織を牽引されたのですか。

中釜剛志:
当時は、会社の存続に必要な経営よりも、まず社長自らが現場で成果を出すための技術を最優先にしていました。自分の背中を見せることで、会社を前に進めるしかなかったのです。そのため、私が率先して技術も営業もすべて担っていました。いわゆるワンマン経営です。お客様先に常駐して開発業務を行いながら、自社の仕事も持ち帰って徹夜で片付け、また翌朝お客様先へ向かう。そうした働き方でした。社長である私自身がそのように動くので、社員もついてきてくれましたが、正直なところ、設立当初の仲間でもついてこられずに辞めていった人もいました。

困難な状況を解決する技術力と成長機会

ーー事業の転換期となった出来事について教えてください。

中釜剛志:
以前は特定の大きな会社の下請け仕事が中心でした。しかし、それではいつまで経っても自分たちの働き方は変わりませんし、無理な要求も多く、社員が疲弊していくばかりだったのです。そこで「このままではいけない」と役員会で決断を下しました。その会社との取引を段階的に減らし、自力で顧客を開拓していく道へと舵を切ったのです。具体的には、元々取引先が十分にフォローできていなかったお客様と直接契約を結びました。それが、弊社にとって大きなターニングポイントとなりました。

ーー競合他社との差別化や、お客様に提供されている価値についてお聞かせください。

中釜剛志:
エンドユーザーであるお客様と直接取引する、いわゆる直請け案件が多い点です。エンジニアはシステムの要求定義といった上流工程から深く関わることができますし、お客様の生の声を直接聞きながら開発を進められるため、本人の意欲次第で担当領域を広げていける環境です。そのため、単に報酬を求めるだけでなく、「お客様に喜んでもらえるシステムを自分の手でつくり上げたい」「本物の技術者になりたい」と考える方には、最適な環境だと自負しています。

また、プロジェクトが炎上してしまった、いわゆる「火の車」状態の案件を立て直すことを得意としている点も強みです。困難な状況を解決するとお客様に大変喜んでいただけますし、何より社員のスキルが飛躍的に向上します。お客様、社員、そして会社にとっても良い結果をもたらす、そうした仕事の仕方を大切にしています。

社員の生活が第一 持続可能な成長を目指す未来像

ーー経営において大切にしている価値観についてお聞かせいただけますか。

中釜剛志:
「努力に勝る天才なし」という言葉が好きで、「人生はすべて検証」だと考えています。失敗を繰り返しても、そこから学び、次はどうすれば成功するかを検証し続ける。特に人の感情が関わる仕事に同じパターンはありませんから、常になぜうまくいかなかったのかを考え、次のトライに活かす繰り返しこそが人を成長させると信じています。この姿勢は社員にも求めています。

経営者として最も重視しているのは、社員の生活を保証することにほかなりません。会社は従業員が生活できなければ意味がないのです。そのために、一人ひとりがスキルを上げ、稼ぐ力を身につけられるように導くのが私の役目です。やってはいけないことやマイナスになる行動を教えながら、一つひとつ丁寧に成長をサポートしています。

ーー採用や人材育成についてはどのようにお考えでしょうか。

中釜剛志:
現在、採用においては、第二新卒の方を主なターゲットにしています。一度社会に出て挫折を経験し、「もう一度しっかり働きたい」という強い意欲を持つ方のほうが、教育の効果が高いと考えているからです。条件だけで会社を選ぶのではなく、弊社の考えに共感してくれる方と一緒に働きたいと考えています。

そうして入社した社員が長く活躍できるよう、将来のキャリアの道筋を具体的にイメージできる環境づくりにも注力しています。同時に徹底しているのが、自律を促すための意識改革です。特に残業については許可制とし、「なぜ終わらなかったのか」「誰の問題なのか」を明確にさせ、安易な実施は認めません。時間と成果に厳しく向き合う姿勢を育てることが、結果として本人の生活を守り、長く働ける土台になると確信しています。

ーー今後の事業展望、将来のビジョンについてお聞かせください。

中釜剛志:
社会からの評価よりも、まずは社員が安心して生活できる環境を守りながら、事業を拡大していくことが最優先です。様々な業種の仕事を社内で経験できるようにし、挑戦したい仕事があれば部署異動などで応えられる、懐の深い組織にしていきたいと考えています。

そのうえで将来的には、企業向けだけでなく、一般のエンドユーザーが日常で使うサービスの開発にも挑戦したいと考えています。自分たちの技術で人々の生活を豊かにし、「このサービスがあってよかった」と直接喜んでいただけるような、生活に密着した形での社会貢献を目指していきます。

編集後記

26歳でパソコンに触れ、起業した中釜社長は「努力にまさる天才なし」を信条とする。この信条は、「人生はすべて検証」という行動原理に裏打ちされている。同社は、困難な「火の車」案件を鎮火することで、エンジニアが本物の技術力を磨く環境を提供する。経営者として社員の生活保証を最優先とし、残業許可制による自律を促す意識改革を進める。「お客様に喜んでもらえるシステム」を目指す技術者にとって、同社は挑戦と成長のための確かな土台となるだろう。