
中小企業のオフィス移転を、単なる場所の移動ではなく経営課題解決の絶好機と捉える株式会社フォーバル・リアルストレート。同社は不動産仲介から内装デザイン、通信インフラ構築までをワンストップで提供し、顧客の成長に寄り添う独自のコンサルティングサービスを提供している。フォーバルグループの「新しいあたりまえ」というビジネスモデルへの挑戦を胸に、今後は採用コンサルティングや人材定着に資する各種サービス、例えば教育や健康関連といったソフト面を強化し、さらにはその投資効果の可視化評価の仕組みを加え、企業の持続的成長を多角的に支援する未来を描いている。代表取締役社長の芳賀直樹氏に、その事業に対する考えと今後の展望について話を聞いた。
「新しいあたりまえ」を追求する原点
ーー社会人としてのキャリアはどのようにスタートしたのでしょうか。
芳賀直樹:
1997年に親会社の株式会社フォーバルに入社したところから、私のキャリアはスタートしました。当時はOA機器の法人営業、新規開拓を担当していました。かなり営業色の強い組織でしたから、とにかく懸命に営業活動をしていました。その後、部門長などを経験する中で、フォーバルグループの常に「新しいあたりまえ」を創造する風土に強く影響を受けました。そして、新しいビジネスモデルで社会に挑戦したいという気持ちが大きくなっていきました。
ーーグループ全体に共通する企業文化について教えてください。
芳賀直樹:
非常に「家族主義」で、仲間を大切にする文化が根付いていると感じます。グループ共通の経営理念として「社員・家族・顧客・株主・取引先と共に歩み、社会価値創出を通してそれぞれが幸せを分配することを目指す」を掲げているのですが、注目していただきたいのは、顧客よりも「社員」が先に記載されている点です。価値を提供するためには、まず提供する側の社員が育っていなければなりません。社員がやりがいを感じ、幸せな環境で働けることが理想の姿だと考えています。
利便性を超えて経営課題へ ワンストップサービス確立の道のり
ーー貴社へ転籍されたのはどのような経緯があったのでしょうか。
芳賀直樹:
フォーバル在籍時に、不動産仲介から内装までをワンストップで手掛けるオフィスソリューション事業部を立ち上げたことがきっかけです。当時は社内にノウハウがなく、外部パートナーと協力しながら手探りで進めている状態でした。そこで、このワンストップの事業を本格的に軌道に乗せ、サービスの内製化を図るために、当時のメンバーと共に弊社へ転籍することになりました。転籍後はデザイナーを自社で採用するなど、体制の強化に注力しました。
ーーワンストップでのサービス提供にこだわったのはなぜですか。
芳賀直樹:
当時、業界の構造そのものに課題を感じていたからです。不動産仲介会社は「物件のマッチング」を、内装会社は「デザイン性の高い空間づくり」を最優先しており、それぞれの連携が取れていませんでした。
しかし、企業にとってオフィス移転は多額のコストを投じる一大プロジェクトであり、その背景には必ず解決すべき経営課題があります。関わる業者がバラバラでは、そうした本質的な課題が見過ごされかねません。だからこそ、私たちはすべての工程を弊社が一貫して担うことで、単なる利便性だけでなく、お客様の経営課題にまで深く踏み込んだ提案をしたいと考えたのです。
ハード・ソフト・評価の三位一体で描く中小企業の未来
ーー社長に就任されてから、どのようなことに取り組まれていますか。
芳賀直樹:
グループ全体で中期経営計画を立てている中で、弊社としても新しい挑戦が求められるタイミングでの社長就任でした。これまで明確に定めていなかった弊社の存在意義として、「ワークプレイスの創造を通じて「働き方」と「場」の在り方の最適解を提供し経営課題の解決に貢献します」というパーパスを掲げました。近年注目される人的資本経営なども含め、中小企業の経営課題により深く貢献できるサービスを展開したいと考えています。
ーーその実現に向けて、具体的にどのような戦略を描いているのでしょうか。
芳賀直樹:
これまでの強みであるオフィス空間の提供といったハード面に加え、今後は採用や教育、健康、DX支援といったソフト面のサービスを拡充します。さらに、それらの施策が実際にどれだけの効果を生んだのかを可視化する評価の仕組みも構築していきます。「ハード」と「ソフト」を組み合わせ、その成果を「評価」して次の改善につなげる。この3つの要素をループさせることで、お客様の経営課題を継続的に解決できるパートナーを目指します。
環境と人を見つめ社会価値を創出する独自の取り組み

ーー環境への配慮については、どのようなアプローチを行っているのでしょうか。
芳賀直樹:
「エコワク」という独自の取り組みを推進しています。これは、タイルカーペットや壁紙などの建材に、環境負荷の低いものを厳選して採用するものです。重要なのは、お客様のコスト負担を増やさずに環境貢献を実現すること、そしてその取り組みをプレートやQRコードで可視化することです。オフィスを訪れた求職者、特に若い世代の方々に企業の姿勢をアピールできるため、採用ブランディングの一環としても効果を発揮しています。
ーー実際に、採用面で成果が生まれた事例はありますか。
芳賀直樹:
ある地方の中小企業様から、「事業承継を機に組織の若返りを図りたい」というご相談がありました。そこで、オフィス空間の刷新と共に、リブランディングもお手伝いしたところ、後日社長から「本当に志が合う若手社員が入社してくれた」と感謝の言葉をいただきました。
単にきれいなオフィスをつくるだけでなく、企業の価値観や姿勢を体現する空間をつくることで、それに共感する人材を引き寄せることができます。お客様の採用課題を解決し、共に成功を喜べる瞬間は、この仕事の何よりのやりがいです。
ーー最後に、読者へのメッセージをお願いします。
芳賀直樹:
日本企業の99%以上を占める中小企業が元気であることこそ、社会にとって最も重要だと考えています。資金力が豊富な大手企業でなくても、工夫次第で環境に配慮したオフィスや、人が育つ魅力的な環境は実現可能です。私たちは、オフィスという「場」の提供を通じて、そこで働く人々の成長と、企業のさらなる発展を全力で支援してまいります。ぜひ、ともに「新しいあたりまえ」への挑戦を続けていきましょう。
編集後記
単なるオフィス仲介・内装業の枠を超え、顧客の経営課題解決に徹底して寄り添う同社。その根底には、グループ全体に流れる「社会価値創出」という揺るぎない理念が存在する。オフィス空間の提供という「場」から、採用・定着といった「人」の課題に踏み込み、成果を「評価」する三位一体の戦略は、現代の中小企業が抱える課題への明確な処方箋となる。企業の成長と、そこで働く従業員の幸福を同時に追求する事業展開は、これからも社会的な価値を創出し続けるだろう。

芳賀直樹/1997年株式会社フォーバル入社。営業部門長や新規開拓部門を経て、オフィス環境構築事業の立ち上げに参画。2009年株式会社フォーバル・リアルストレートへ転籍し、オフィスコンサルティング事業を創設。賃貸仲介・内装・ICTを軸に事業を拡大し、ESG視点で最適な働く場を提供。2025年より株式会社フォーバル・リアルストレート、および株式会社第一工芸社の代表取締役社長に就任。