
住宅用フロアコーティング事業を主軸に、ドローンを活用した外壁剥落防止事業など、社会課題に直結する新たな挑戦を続ける株式会社ジェブ。同社の強みは、顧客、取引先、そして自社のすべてに利益をもたらす「三方よし」の精神と、徹底して「誠実さ」を貫く独自の営業哲学にある。この揺るぎない価値観は、16歳で社会の厳しさに直面した代表取締役社長、太田猛也氏の原体験から生まれたものだ。現場で叩き込まれた「先読み」の力と、本物を追求する一途な思いがいかにして事業を成長させてきたのか。その軌跡と、2032年の上場、そして孫正義氏をベンチマークに見据える壮大な未来への展望を、太田氏に聞いた。
16歳で社会へ 現場で叩き込まれた「先読み」の経営哲学
ーーまずは、キャリアの原点についてお聞かせください。
太田猛也:
私のキャリアは16歳、高校を中退して社会に出たところから始まります。学校を辞めると決めた瞬間に、「将来は必ず社長になる」と固く決意しました。パナソニック創業者の松下幸之助氏のように、自分に学歴がなくても、優秀な方々の力を借りられる人間になればいい。そう考え、まずは社会の荒波で修行を積むべく、建設現場の世界へ飛び込んだのです。
ーー建設現場では、どのようなことを学ばれましたか。
太田猛也:
徹底的に叩き込まれたのは、「先読み」する力です。当時は今ほどコンプライアンスが叫ばれていない時代で、現場は非常に厳しいものでした。指示された道具だけを持っていくと「これだけで何ができるんだ、その先を考えろ」と怒鳴られる毎日です。一つの指示の裏にある次の一手、二手、時には十手先まで読んで動かなければ現場は回りません。理不尽とも思える環境でしたが、おかげで物事を表層だけでなく深掘りして考える習慣が身につきました。今の経営判断における「読み」の力は、この時期に培われたものです。
誠実さが本物を引き寄せる 嘘をつかない営業スタイル
ーーその後、営業の世界へ進まれた経緯をお聞かせください。
太田猛也:
営業への適性を感じたきっかけは、高校時代に経験したガソリンスタンドでのアルバイトでした。約50人のスタッフの中で常にトップの販売実績を出せたことで、「自分は物を売る才能があるかもしれない」と直感し、建設現場を経て訪問販売の世界へ転身しました。そこで私が徹底したのは、「正しい情報を正しく伝える」ことです。
当時の業界では、商品の機能を誇張して伝えるようなセールスも一部で見受けられましたが、私はデメリットも含めてすべて正直にお伝えしていました。「大衆車」を「高級車」だと偽って売るような真似は絶対にしたくなかった。いつか「本物」の商品に出会ったとき、信頼を積み重ねた正直者が必ず勝てると信じていたからです。
ーーその「本物」の商品には、どのようにして巡り会われたのでしょうか。
太田猛也:
実は、出会うまでに13年もの月日がかかりました。来る日も来る日も塗料の展示会に通い詰め、そこで偶然見つけたのが、現在の主力商品であるガラス系フロアコーティング「EPCOAT(イーピーコート)」の原型となる液剤でした。当初メーカー側は「法人にしか卸さない」という姿勢でしたが、「この商品を日本一売れるのは、今まで嘘をつかずにやってきた自分しかいない」と熱意を伝え、特例で個人契約に漕ぎ着けたのです。長年、誠実さを貫いてきたからこそ、「本物」の商品を手にした時の爆発力は凄まじく、そこから会社は急成長を遂げることができました。
「三方よし」を実現する、再現性の高い事業モデル
ーー現在の主力であるコーティング事業の強みについて教えてください。
太田猛也:
科学的根拠(エビデンス)に基づいた確かな商品力と、お客様を巧みな話術で誘導するような手法を一切使わない営業スタイルです。私たちは、新卒1年目の社員でもトップクラスの成績を上げられるよう、お客様自身に納得して選択していただくプロセスを標準化しています。無理な売り込みではなく、納得感のある提案こそが成果に繋がります。
ーー事業を行う上で大切にされていることは何でしょうか。
太田猛也:
「三方よし」の精神です。お客様、物件を紹介してくださる取引先、そして我々の三者が皆ハッピーになる状態を目指しています。たとえば、私たちがコーティングで現場に入ると、床の傷などを事前に徹底して補修し、綺麗にしてからお客様にお引き渡しします。そうすることでお客様の満足度が高まるだけでなく、取引先の現場監督様の手間やクレーム対応が減るのです。結果として「またジェブさんにお願いしたい」と信頼され、三者に利益が循環する関係を築いています。
ドローンが拓く未来 2032年の上場を目指して

ーー現在、特に注力されていることはありますか。
太田猛也:
今、まさに力を入れているのが「ドローンを活用した外壁剥落防止事業」です。ドローン関連の法改正や国家資格の新設など、時代の変化にアンテナを張る中で大きな可能性を感じていました。
時を同じくして、取引先から非常に強度の高い「剥落防止コーティング」を紹介され、私の中で点と点が繋がりました。「ドローンによる精密な調査」と「強靭なコーティング」を組み合わせれば、建物の老朽化という社会課題を解決できると確信し、事業化を決断したのです。今後は、ビルやマンションを一棟丸ごと所有するオーナー様へ直接アプローチする独自の戦略で、市場を開拓していきます。
ーー最後に、今後のビジョンと求める人物像について教えてください。
太田猛也:
2032年までの上場は必達目標です。私のベンチマークはソフトバンクグループの孫正義氏です。氏のように世界を変える事業展開をするには、上場で資金を得て、M&A(※1)なども活用しながら連続的に事業を創造していく必要があります。最終的な目標は「時価総額世界トップ10」。まずは3年後に売上100億円を達成します。
このビジョンを実現するために、「明るく、元気で、素直」な方と共に働きたいですね。私たちの挑戦に共感し、一緒に未来を創っていける情熱を持った方をお待ちしています。
(※1)M&A(Mergers and Acquisitions):企業の合併・買収のこと
編集後記
16歳で社会の荒波に飛び込み、理不尽ともいえる環境で「先読み」の力を磨いた太田氏。その原体験は「正直者が勝つ」という揺るぎない信念となり、誠実さを貫く独自の経営哲学を形成した。常に現状に満足せず、孫正義氏を目標に高みを目指す姿勢は、同氏の尽きない探究心を象徴しているようだった。ドローンという新たな技術を得て社会課題の解決へと挑む同社の未来は、大きな可能性を秘めている。「逆境こそが成長の糧」であることを体現する太田氏の言葉は、これから共に働く次世代のリーダーたちへ向けた、熱いエールとなるだろう。

太田猛也/幼少期の家族喪失という逆境を乗り越え、16歳で自立。建設現場での過酷な経験を経て営業職で才能を発揮する。2002年に株式会社ジェブを創業し、独自開発のガラス系フロアコーティング「EPCOAT」で業界トップクラスの地位を確立。現在は新たな挑戦として、ドローン赤外線診断と外壁補修を融合した「剥落防止くん」を推進し、建物の安全性向上と社会課題の解決に取り組んでいる。