※本ページ内の情報は2025年7月時点のものです。

大阪府堺市に拠点を置く株式会社浜田組は、解体工事からアスベスト除去工事、産業廃棄物の収集運搬までを一貫して対応する解体工事業者である。代表取締役の浜田敏明氏は、中学卒業後に現場の世界へ入り、実直に技術と経験を積み重ねて独立。「仕事を楽しむこと」を原動力に、積極的な設備投資で事業を拡大してきた。若手が成長できる環境づくりにも力を注ぐ同氏に、これまでの歩みと独自の強み、そして会社の未来像について話を聞いた。

「もっと大きな仕事がしたい」独立までの道のり

ーーまずは、浜田社長が独立されるまでの経緯をお聞かせください。

浜田敏明:
中学を卒業後、地元の建設会社で5年間修業し、建設工事には必要不可欠な産廃処理やリサイクル事業に興味を持ち産廃処理会社へ転職しました。そこでも5年ほど修業した後、「自分で何かをやってみたい」という思いが芽生え、独立することを決意しました。

解体事業を選んだ理由は、当時は尼崎のアスベスト問題が社会的に大きく取り上げられていて、アスベスト除去の仕事に需要があったからです。その時代の流れに乗り、5人ほどの仲間とアスベストの仕事からスタートしました。

ーー創業当初、どのようなご苦労がありましたか。

浜田敏明:
創業当初はアスベスト除去を下請けの仕事から始め、私自身も常に現場に出ていました。そのため、家に帰れないほど多忙な日々。忙しくて「大変だ」と考える暇もありませんでしたが、苦労というよりは、その忙しさすら楽しんでいました。

常に「もっと大きな仕事が出来るようになって、仕事を通じて従業員に還元したい。その為には、新しい設備や大きな機械を導入したい」」という思いがあり、それを実現していく過程が会社の成長につながったと感じています。そして、得た利益を設備投資に充て、少しずつ重機をそろえ、事業の幅を地道に広げていき、現在に至ります。

アスベスト除去から解体までワンストップの事業モデルが生む独自の強み

ーー御社の事業内容と強みについてお聞かせください。

浜田敏明:
中小規模の建物から高層ビル、工場まで、あらゆる建築物の解体工事を行っています。古い建物の外壁塗料などにアスベストが使われているため、解体工事ではアスベスト除去は不可欠です。弊社ではそれらの課題に対応するため、アスベスト除去の入念な施工計画から事前準備、除去作業と産廃処理まで行っています。

建物の解体における全工程を自社で一貫して行える点が強みです。アスベスト調査から足場設置、解体、産業廃棄物の収集運搬まで自社で完結させます。お客様にとっては、打ち合わせの窓口が一つで済むためワンストップ体制の実施により、スムーズな進行が可能です。

そして、安全かつ効率的な工事を実現するため、設備投資は惜しまないようにしています。たとえば、アスベストの含有を迅速に判定できる分析機器「アスベストアナライザー」は1台800万円ほどと高額ですが導入し、作業員のアスベスト暴露被害も防止でき、また解体建物の事前調査では建材分析費のコストを大幅に削減し、お客様にもメリットを感じて頂いています。

また、アスベスト除去には「ウォータージェット工法」を採用し、高圧ポンプ「HI-JET3000」を2機所有しております。これは、超高圧の水流を用いて外壁や煙突内部などに付着したアスベスト含有の粉じんを飛散させることなく、安全に除去する環境に優しい技術です。

創業時から培った専門知識と積極的な設備投資を強みに、解体工事ならではの“形を残さない”成果を誇りとしています。

未経験からプロへ育てる環境と若手が輝くフラットな組織

ーー採用では、どのような人材を求めていますか。

浜田敏明:
仕事はチームで行うので、経験や技術よりも素直さややる気といったチームワークに不可欠な素養を重視しています。経験の有無は問いません。未経験の方でも大歓迎です。

未経験の方は入社後、まずは現場で重機の操作など基本的な仕事を覚えていただきます。その後、経験を積みながら作業主任者といった資格の取得を目指す流れです。資格取得にかかる費用は、全て会社が負担し、全面的にサポートする制度もあります。

ーー社員の皆さんが働きやすいよう、工夫されていることはありますか。

浜田敏明:
土木建築業界は縦社会のイメージが強いかもしれませんが、弊社では、風通しの良いフラットな関係性を大切にしています。月に一度の全体会議や週に一度の職長会議を行っており、現場の課題や改善案について若手社員にもどんどん意見を出してもらって、皆で話し合って決めています。

また、私自身が現場を離れ、若手社員とコミュニケーションを取りたいこともあり、年に数回少人数でプチ旅行やマリンスポーツを一緒に楽しむようにしています。他にも、現場の職長などとは別でゴルフ旅行や近くの飲食店へ行ったりと、職場と違った環境で会社の方針などをゆっくり話し合う機会を設けています。

大きな現場が事故なく無事に終えた時などは、感謝の気持ちを還元したく、従業員に合わせて、喜んでもらえるようなプレゼントを贈るようにしています。

信頼を軸に事業を拡大。次世代がチャンスを掴める未来へ

ーー今後の事業拡大、長期的な目標についてお聞かせください。

浜田敏明:
売上は現在の約2倍である17億円を目指していますが、まずは、お客様や社員にとって良い環境をつくり、それを継続していくことが一番です。その結果、数字がついてくると考えています。

そのために、技術をさらに磨いていきたいです。そして、重機や資材を置くための第二の置き場を確保することで、対応力も高めていきたいと考えています。また、ありがたいことに、現在の仕事はお客様がお客様をご紹介してくださるケースがほとんどです。この信頼を基盤に、より一層事業を成長させていきたいと思っています。

そして、社員も増やして会社が成長し続けるように努めます。いつでもチャンスを掴めるような体制を常に整えておきたいですね。これからは若い人たちが活躍する時代です。ベテランの経験で若手を助け、若手の新しいアイデアで会社を盛り上げていってほしい。いずれ訪れる世代交代の時期を見据え、若い世代をしっかりと育てていきたいです。これからも社員一丸となって、お客様から感謝される仕事を続けていきたいですね。

編集後記

中学卒業後から現場一筋でキャリアを築き、自身の会社を設立した浜田敏明氏。その言葉からは、厳しい環境を乗り越えてきた力強さと、仕事を心から楽しむ純粋な思いが感じられた。社員への感謝を惜しまず、若手の活躍を心から願う姿は、多くの若者にとって魅力的に映るだろう。次世代の担い手たちと共に、さらなる飛躍を遂げていくに違いない。

浜田敏明/1977年生まれ。中学校を卒業後、地元の建設会社で5年間、リサイクル業を営む産廃処理会社で5年間勤務。2005年、解体事業を手がける浜田工業を創業。アスベスト除去事業などで実績を積み、2011年に株式会社浜田組を設立。