
個人の資産形成に対する関心が高まり、国も「資産運用立国」を掲げる中、りそなアセットマネジメント株式会社は、長年培ったプロ向け運用ノウハウを個人や法人のお客さまに提供している。同社は「責任投資」の分野を中心に、経済的リターンと社会的リターンの両立を追求してきた。2023年、三代目社長に再び就任した西山明宏氏に、同社が大切にするお客さま本位の精神と、資産運用が当たり前になる未来への強い想いを聞いた。
(※)責任投資:投資判断において環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)のESG要素を考慮する投資手法。
キャリアの原点となった年金信託運用部への配属
ーー社長就任までのキャリアについてお聞かせください。
西山明宏:
大学時代の先輩から「日本は金融立国になっていくから、銀行も面白い」と聞き、大和銀行(現・りそな銀行)に入社を決めました。当初は希望とは異なる年金信託運用部に配属され、驚きもありましたが、その後多様な経験を積み、資産運用を一生の仕事にできたことをありがたく思っています。
現在のりそなアセットマネジメントは、りそな銀行の信託財産運用部門から独立する形で2015年に設立されました。私は初代社長に就任し、2023年から三代目の社長として再び指揮を執っています。
揺るぎない「お客さま本位」の精神と責任投資活動の強み

ーー事業の根幹として大切にされている思いや原点はどのようなものでしょうか。
西山明宏:
資産運用の力で、お客さまの幸せに太く長く貢献していきたいという想いがあります。地道でも長期的に資産が増えるような「長期国際分散投資」を通じた運用を提供します。そして当社の「将来世代に対しても豊かさ、幸せを提供する」というパーパス(企業の存在意義)の実現を目指しています。
また、信託銀行をルーツに持つ当社の根幹は、フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)です。新人研修で「お客さまのために仕事をするんだ」と強く言われたことを今も大切にしています。お客さまから信頼されてお預かりしたお金を運用し、増やすという信託の原点があります。そのため、常にお客さま本位であることは当然の精神です。
ーー貴社の強みについて教えてください。
西山明宏:
当社の強みは、長期的な資産形成を実現する力です。具体的には3点です。市場平均を上回る収益を目指すアクティブな運用力。社会的リターンも追求するサステナブル投資。そして信託銀行としての長期分散投資のノウハウです。特に社会的リターンを追求する責任投資は注目を集めています。
責任投資では、投資先企業に対し、投資家として対話を通じて働きかけを行います。たとえば、コーポレートガバナンス(企業統治)の改善を促します。そのほか、脱炭素目標の達成などについてサポートします。これは経済的リターンだけでなく、社会環境といった幸せの実現を長期的に行うための活動です。
運用不振時こそ誠実な説明で信頼を築くプロ意識
ーーお客さまとの対話や信頼関係構築において、特に大切にされていることはありますか。
西山明宏:
運用成績が振るわない時や、マーケット全体が悪い時こそ、お客さまに真摯に向き合います。誠実に説明を尽くすことが、逆に大きな信頼を得るチャンスになるという意識を持っています。お客さまが知りたいと思っていることをしっかりとお話しし、真摯に運用している姿勢をお伝えすることが大事です。
また、投資に「怖い」というイメージを持つ方々も少なくありません。そうした方々に向けて、「未来資産形成ラボ」を通じて金融教育を積極的に実施しています。この活動は商品の提案が目的ではなく、資産形成が人生にとっていかに大事かを幅広く伝えるものです。特に高校生を含む若い世代へ、投資が将来を豊かにする必須スキルであることを伝えています。
ーー貴社ではどのような人材を求めていますか。
西山明宏:
弊社のパーパスに共鳴し、お客さまのためにという考え方を共有できることが最も大事です。能力的には、論理性と柔軟性を求めています。弊社のカルチャーは「自分で考えて動く」ことを基本とし、指示を待つのではなく自律的に行動する文化を大切にしています。そういった積極的な方は特に大歓迎です。
資産運用が当たり前となる未来の創造
ーー今後最も注力していくテーマについて、どのようにお考えでしょうか。
西山明宏:
私たちの考えは一貫しています。長期分散投資という資産形成のコアとなるものを、全てのお客さまに根付かせていくことです。最終的に目指すのは「資産運用が当たり前の世の中」です。預金口座を開くように証券口座を開き、資産運用を行うことが当たり前になる、そんな未来を創りたいと考えています。
そのビジョンに向け、短期的な流行とは一線を画します。すべての運用プロダクトに長期的にコミットする信託銀行モデルを徹底していきます。目先の利益を追求するのではなく、お客さまの資産形成のコアとなる良質な商品を、長期にわたり提供し続ける責任を果たす考えです。そして、お客さまが成功体験を積み、それが広がることを目指します。「衣食住」のように資産形成が生活に不可欠なものとして社会全体に浸透していくことを目指します。
編集後記
西山氏は、お客さま本位の精神を事業の核に据えている。経済的リターンと社会的リターンの両方を追求する責任投資への注力は、同社のパーパスをまさに体現するものだ。市況が荒れた局面でも、顧客に誠実に向き合い、対話を重ねることで信頼を築く姿勢はプロフェッショナルである。同社が目指すのは「資産運用が当たり前の世の中」だ。この粘り強く真摯な取り組みは、日本の未来を豊かにするだろう。

西山明宏/1967年京都府生まれ。1990年大阪大学基礎工学部卒業後、大和銀行(現・りそな銀行)入行。一貫して資産運用業務に従事。2015年りそなアセットマネジメント株式会社設立時に代表取締役社長に、2018年りそな銀行執行役員に就任。2023年りそなアセットマネジメント代表取締役社長に再度就任。