
国際物流のプロフェッショナルとして、クライアントの海外展開を力強く支援する株式会社ペガサスグローバルエクスプレス。同社は国際宅配便事業を核に、航空・海上輸送を組み合わせたワンストップサービスを強みとし、特に大手がカバーしきれない中小企業の多様なニーズに寄り添うことで独自の地位を確立している。カンダホールディングス株式会社のグループ会社として海外事業を牽引する存在として急成長を遂げる。その一方、M&Aを経て多様な文化が融合した組織の融和と、DXによる徹底した業務効率化にも注力している。今回、代表取締役社長の中谷智氏に、同社の強みと組織づくり、そして今後の展望について話をうかがった。
国際宅配便を軸とした総合物流支援
ーー貴社の事業の核となる強みと、競合他社にはない独自性についてお聞かせください。
中谷智:
最大の強みは、売上の約7割を占めるクーリエ事業(海外への小口貨物輸送サービス)です。国際クーリエ大手の主要代理店として長年取り扱っており、その実績は日本でもトップクラスであると自負しています。
加えて、クーリエだけでなく、航空貨物や海上貨物という複数の輸送手段を1つの窓口でご提案できる点が、弊社ならではの大きな特徴といえるでしょう。通常、クーリエ専門の会社はクーリエのみ、フォワーダー(※1)は航空輸送のみといった特化型の業者が多い傾向にあります。しかし、弊社はこれらすべてを網羅しているため、お客様のお荷物の大きさや性質、コスト、納期といったさまざまなご要望に対し、最適な輸送方法をワンストップでコーディネートできるのです。
(※1)フォワーダー(貨物利用運送事業者):自らは輸送手段を持たず、船舶・航空機・トラック・JRなどを利用し、荷主と直接契約して貨物輸送を行う事業者。
ーーどのようなお客様を中心に、どのような体制で事業を展開されているのですか。
中谷智:
大手の物流企業をメガバンクに例えるなら、弊社は地方銀行や信用金庫のような存在でありたいと考えています。というのも、大手がカバーしきれない中小企業や、海外発送の手順に悩むお客様を支えることこそが、私たちの得意分野だからです。私たちは各地の地場産業へ深く入り込み、優れた「Made in Japan」を世界へ届けるお手伝いをしています。
現在、2,000社以上のお客様とお取引がありますが、お客様との関係維持と利便性向上の基盤として、「ペガサスクラウド」というシステムを開発しました。これは、お客様が画面上で大手クーリエ企業の料金比較やご自身でインボイスの作成から集荷依頼まで完結できる仕組みです。一度流れ始めれば、トラブルがない限りは自動で配送が進むため、お客様と私たち双方にとって手間がかからないのが特徴です。こうしたシステムの提供によってお客様の利便性を高めると同時に、私たちは新たなニーズの開拓に注力できる体制を整えています。
効率化で生み出す顧客への付加価値
ーー就任以降、どのような方針で組織づくりを進めてこられたのでしょうか。
中谷智:
弊社はM&Aを経て成長してきた経緯があり、多様な背景を持つメンバーが集まる「多民族国家」のような組織です。そのため就任当初は、上場グループの一員として誰もが納得して働けるよう、公平な人事評価制度の確立やコンプライアンスの徹底など、透明性の高いルール整備に力を注ぎました。
現在はそこから一歩進み、人材育成に注力しています。メンバーは「お客様のために」というベクトルは一致していますが、関わる業務に偏りがあり、全体を俯瞰できるマルチプレーヤーが育っていないという課題がありました。そこで、若手からベテランまでジョブローテーション制度導入や他部署へのチャレンジ等により、将来を担える幅広い人材の育成を強化しています。
ーー業務品質や生産性の向上に向けて、具体的にどのような施策を行っていますか。
中谷智:
私たちはDXを経営の要と位置づけ、数年前から積極的に投資を行ってきました。定型業務の自動化を進めるRPA(※2)の導入や、各拠点のベテラン社員が持つノウハウを学習させたAIの活用など、具体的な施策も進行中です。
こうした取り組みにより、少数精鋭の体制ながら残業時間を増やすことなく生産性を向上させていますが、お客様との大切な接点までデジタルに置き換えるつもりはありません。私たちの真の価値は、お客様一人ひとりの細かな要望にお応えする、人間ならではの「ひと手間」にあるからです。DXはあくまで、そのひと手間を生み出すための時間とリソースを確保する手段にすぎません。効率化によって得られた余力を活かし、人でなければできない付加価値の高い業務に集中させることで、お客様へのサービス品質をさらに高めていきたいと考えています。
(※)RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション):パソコンを使った定型的な事務作業を自動化するソフトウェアロボットのこと。
全国展開と次世代グローバル物流への投資
ーー貴社のグループにおける役割と、今後の事業連携についてお聞かせください。
中谷智:
私が就任した当初、国際事業において、グループ内での影響力は決して大きくありませんでした。しかし、コロナ禍で国際物流の需要が高まったことを機に、グループ内でもトップクラスの利益を上げる企業へと成長しました。現在は24社あるグループの中で、海外事業を牽引する中核企業として位置づけられています。特に国際物流事業は、国内から世界を支える体制を整え、グループ全体の利益の約3割を稼ぎ出す、重要な柱の一つとなりました。
一方で、国内物流を主力とするグループ他社との相乗効果については、まだ改善の余地があると考えています。今後は連携をさらに強化し、グループが取引する国内荷主様の海外展開を弊社が担い、弊社のお客様の国内配送はグループ会社が支えるといった双方向の連携を推進します。グループの強みを活かし、国内外の物流をワンストップでサポートできる体制を築くことが、私たちの大きな目標です。
ーー今後の展望と、それを共に実現するために求める人物像についてお聞かせください。
中谷智:
まずは、まだ営業所がなく開拓できていないエリアに新規拠点を開設し、日本全国のお客様のニーズに応えられる体制を整えていく方針です。さらに5年、10年先を見据えると、日本国内にとどまらず、海外代理店との連携強化や海外から海外への三国間物流レーンを確立していく必要もあるでしょう。現在拠点のあるタイに加え、今後さらに成長が見込まれる国への投資も視野に入れ、よりグローバルな物流企業へと進化していきたいと考えています。
求めている人材に対しては、業界経験の有無は問いません。最も大切にしているのは、コミュニケーション能力とチームワーク、そしてチャレンジ精神です。お客様が求めていることを的確に引き出せれば、専門知識を持つ社内のスタッフが全力でサポートします。特に新卒の方には、失敗を恐れずに「あれをやりたい、これをやりたい」と積極的に挑戦してほしいです。その意欲に応えられる環境は十分に整っていますし、経験豊富な先輩メンバーがあなたの挑戦を全面的に応援します。
編集後記
クーリエ事業という強固な軸を持ちながら、航空・海上輸送を組み合わせた柔軟な提案力で、大手とは異なる独自の市場を切り拓く同社。その根底には、多様なプロフェッショナル人材の力を最大限に引き出す組織づくりと、DXによる徹底した効率化があった。顧客に寄り添い、日本の優れた製品を世界へ届けるという使命感が、同社の力強い成長を支えている。今後、グループ内での連携強化と真のグローバル展開が加速した時、同社がどのような飛躍を遂げるのか、大いに期待したい。

中谷智/1964年生まれ。1987年株式会社三井銀行(現・株式会社三井住友銀行)に入行。支店勤務後、本店にて金融商品開発や投資銀行プロダクツの推進に従事し、法人営業部長を4カ店、理事東日本第五法人営業本部長を歴任。2020年よりカンダホールディングス株式会社の常務取締役を経て、2022年株式会社ペガサスグローバルエクスプレスの代表取締役社長に就任。2025年からはカンダホールディングス専務取締役を兼務。