※本ページ内の情報は2026年2月時点のものです。

士業とテクノロジーを融合させた会計事務所「SoVa」を運営する株式会社SoVa。同社は「会計事務所版のユニクロ」をコンセプトに、中小企業へ高品質なサービスを圧倒的なコストパフォーマンスで提供する。業界の常識を覆す独自の仕組みと生産性を武器に、急成長を続ける同社の根底には、「安心して挑戦できる社会をつくる」というミッションがある。独自の経営信念で組織を率いる代表取締役社長の山本健太郎氏に、事業にかける思いと今後の展望について伺った。

質の高い専門サービスを低価格で提供する独自の事業モデル

ーー起業された経緯と、設立にあたっての思いをお聞かせください。

山本健太郎:
起業の原点は、「これまでにない新しい会計事務所をつくりたい」という思いです。私が会計士として独立しようとしたとき、多くの先輩から忠告を受けました。「中小企業や創業期の会社は顧問料を多く払えないため採算が合わない。やめておけ」という内容でした。それが業界の常識だったのです。

しかし、私はリソースの限られた小さな会社にこそ、質の高い専門サービスが必要だと考えています。適切な支援があれば会社はもっと成長できます。また、志半ばでの廃業も防げるはずです。会計とテクノロジーを掛け合わせて業務を効率化すれば、この課題を解決できる。そう確信し、前の会社を辞めた25歳で起業しました。

ーーサービスを提供する上で、大切にされている考え方をお教えください。

山本健太郎:
私たちは、「会計事務所版のユニクロ」として、良いサービスを安く届けたいと考えています。「この値段でこのクオリティなら満足できる」という価値をお客様へ届けることが基本スタイルです。そのために、専門知識と経験を土台に、お客様の状況がどのパターンに該当するかを認識し、最適なアドバイスを提供しています。

特に中小企業では似たような課題が頻繁に起こります。そこで私たちが課題解決のベストプラクティスを定義し、それを当てはめることで、良いサービスを安く提供できる仕組みを構築しているのです。

市場を爆速で駆け抜ける覚悟と最高かつ最大を目指す原理原則

ーー貴社が提供する独自の価値や強みについて教えていただけますか。

山本健太郎:
まず、あらゆる業務に対して「最善のやり方」を徹底的に研究し、定義します。そのフローを細かく分解し、AIやロボットに代替できる部分を自動化します。再び一つの流れとして統合することで、通常の会計事務所の2倍から5倍という圧倒的な生産性を実現しました。だからこそ、日本で最も安い価格設定でもしっかりと利益を出せるのです。

また、私たちは「昨日よりも今日、サービスが良くなっている」と断言できる状態を常に追求しています。実際、過去2年間で約6000回、1日あたり約10個のペースで業務改善を行ってきました。お客様からのご指摘は直ちに改善し、二度と同じ指摘を受けない体制を徹底しています。この仕組み化と改善により、お客様は常に進化し続ける高品質なサービスを、最高のコストパフォーマンスでご利用いただけます。

日本には約2万6000の会計事務所があり、世の中に税理士は足りています。そのなかで、あえて私たちが事業を行う理由は、自社のサービスが全国の事務所のなかで「最も良い」と断言できるからです。

そして、自社が最高であると言い切れるなら、より多くの方々に届ける義務があります。これが私の経営における「原理原則」になりました。自社の価値が「最高」であることにこだわり抜き、それを「最大」多数のお客様へ届けていく。この原則を軸に据えることで、サービスの磨き込みや組織づくりにおいて、一切の妥協を排した経営へと進化しました。

ーー事業を拡大させていく中で、ご自身の経営観が変わるような転機はありましたか。

山本健太郎:
大きく2つあります。1つめは経営におけるパートナーである、現在のナンバーツーの参画です。かつての私は、現場への負担を考慮するあまり周囲の顔色を伺い、自らの理想にブレーキをかけてしまうことがありました。しかし、彼から「山本さんは成し遂げたい理想だけを示してください。実現するための手段は私たちが考えます」と言われ、迷いが払拭されました。私が一切の妥協なくビジョンを掲げ、専門性を持つチームがそれを形にする。この明確な役割分担が機能し始めたことで、組織成長の好循環が確立されたのです。

2つめは、実家へ帰る電車のなかでの些細な経験がきっかけでした。先に発車する各駅停車に乗れば、20分後に出発する特急よりも早く着くだろうと、自分の都合で判断して乗り込んだのです。しかし道中、後から来た特急に凄まじい勢いで追い抜かれてしまいました。

その光景を見たとき、ビジネスも全く同じだと思いました。自分のペースでのんびり進んでいれば、後から来た爆速の競合に一気に抜き去られてしまいます。先行者であることに甘んじず、常に圧倒的なスピードで走り続けなければならないと痛感し、スピード経営へ舵を切る決意を固めました。

心身の健康と家庭の平穏を土台に据える組織文化と基本思想

ーー現在の採用活動の方針についてお聞かせください。

山本健太郎:
現在、組織全体では100名を超える規模にまで急成長しています。積極的に採用を行っていますが、エージェントには頼らず、直接応募や紹介のみで採用しています。

弊社では、単に欠員を埋めるための採用はしません。選考では、その方が人生を通じて「どうありたいか」を深く伺います。その上で、弊社で働くことがいかにその理想に近づくステップになるのかを、私自身が候補者一人ひとりに全力でプレゼンします。

会社はあくまで「社員が自己実現を果たすための場」であるべきだと考えているからです。「ここで頑張ることが、なりたい自分への近道だ」と本人が確信できていれば、日々のモチベーションが大きく揺らぐことはありません。

ーー社員が挑戦し続けるために、どのような文化や制度を整えられていますか。

山本健太郎:
「一に心身の健康、二に家庭の平穏、三に仕事の成果」。これが私たちの基本思想です。心身の健康がすべての土台であり、家庭が平穏でなければよい仕事はできないという信念を持っています。そのため、家族の予定については、仕事よりも優先することを推奨してきました。年に一度、社員の家族を会社に招待する「ファミリーデー」を開催しているのも、ご家族に応援してもらえる環境づくりが、本人のパフォーマンス向上にもつながると考えているからです。

また、社員の成長サポートにも余念がありません。一人ひとりが「なりたい自分」に向かえているかを確認するため、3年から5年スパンの「グロースビジョン」と、半年から1年単位の「インパクトプラン」を作成する仕組みを導入しました。さらに3カ月に一度、役員が面談を実施して目標達成に向けた進捗を確認するなど、伴走する体制を整えています。

経営者が自身の事業に没頭できる環境を構築する社会的な使命

ーー今後のビジョンと、事業を通じてどのような社会を実現されたいとお考えですか。

山本健太郎:
定量的には、5年以内に顧問先1万社を達成することを目指しています。ただし、単に組織の規模を大きくする「膨張」ではなく、サービスの質を高め、お客様や社員にとっての価値を最大化する「成長」でなければ意味がありません。

私たちは、日本中の中小企業からバックオフィス業務の不安を解消します。経営者の皆さんが自身の事業や挑戦に没頭できる、挑戦に夢中になれる環境を作りたい。将来的には、蓄積された会計データを活用し、お客様の事業成長そのものを支援するサービスも強化していく考えです。

ーー最後に、この記事の読者に向けてメッセージをお願いします。

山本健太郎:
私たちは、テクノロジーを駆使して、お客様にとっても働くメンバーにとっても良いものを作ろうと真剣に取り組んでいます。会計事務所での勤務経験は問いません。実際、入社するメンバーの約8割が未経験者です。素直で、愚直で、謙虚な方であれば、成長できる環境があります。手に職をつけたい、専門性を高めたいという方は、ぜひ一度話を聞きに来ていただければと思います。

編集後記

同社は徹底的な合理性と、人への温かな眼差しが共存する組織である。業務改善を一日十回のペースで積み重ねる信念は、すべて顧客への価値提供へと直結している。一方で、家族や個人の理想を何よりも重んじる姿勢からは、一過性の成功ではない、持続可能な組織の在り方が伝わってくる。効率化の先にあるのは、誰もが安心して挑戦できる社会の実現だ。変革の旗手を担うリーダーの言葉には、確固たる自信と誠実さが宿っている。

山本健太郎/慶應義塾大学在学中に公認会計士試験に合格、資格学校にて公認会計士講座講師を務める。卒業後は不動産系ベンチャー企業にて取締役CFOに就任。2019年9月にCFOを退任し株式会社SoVaを設立、士業とテクノロジーをかけ合わせた新しい形の会計事務所「SoVa」を展開する。Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023「世界を変える30歳未満」選出
CPA会計学院 公認会計士講座 講師