※本ページ内の情報は2026年4月時点のものです。

クレイジーなクリエイティブ企業を目指し、ユニークなカプセルトイを次々と世に送り出している株式会社ブライトリンク。社員の約8割を20〜30代の女性が占め、独自の視点から生み出される商品はSNSで話題を集め、数々のヒットを記録している。同社を率いるのは、大学在学中に起業した佐藤明香里氏だ。「自分が目立てる事業」という独自の選定基準を軸に、後発ながらカプセルトイ業界で確固たるポジションを確立した。常識を疑う企画力で大人を熱狂させる同社の理念、そしてカプセルトイの枠を超えて世界を目指す壮大なビジョンに迫る。

盆栽からカプセルトイへ 課題を直感で突破し見つけたヒットの種

ーー起業という道を選ばれたきっかけについて、お聞かせください。

佐藤明香里:
実は、「社長になりたい」といった前向きな理由ではありません。大学3年生の就職活動中、スーツを着て決まった時間に通勤する自分の姿が、どうしても想像できなかった。それが起業の原点です。

起業を考え始めた当時は20歳で、お酒が飲めるようになり一番感動したのが日本酒でした。そこで、日本酒の銘柄を検索できるアプリの開発を構想。そして「まず箱をつくればやる気が出るだろう」と、会社を設立しました。しかし、貯金を充てた100万円の資本金では、アプリの開発費用が足りません。資金調達という選択肢も持っておらず、企画は頓挫してしまいました。

ーー現在の事業に至るまで、どのような経緯があったのでしょうか。

佐藤明香里:
「会社をつくったからには何かしなければ」という気持ちでどんな事業をするか模索していました。当初から事業を選ぶ上で一貫していたのは、「自分が目立てる事業をやりたい」という思いです。

最初に、男性的なイメージが強い「盆栽」を女子大生がプロデュースする意外性に目を付けました。そこで、アート盆栽の作家さんと提携し販売代行を始めたのが、弊社の本格的なスタートです。この企画がメディアの目にとまり、少しずつ会社の認知度を上げていくことができました。しかし、盆栽は高価で、すぐに売り上げにつなげるのは難しい側面もありました。

次の一手を考えていたとき、空港のガチャコーナーがインバウンド観光客で賑わっているというニュースを見たことで転機が訪れます。帰国前に小銭を消費する手段、そして「ジャパニーズカルチャー」のお土産としてガチャが人気だと知り、「これだ」と直感しました。「盆栽をガチャにして空港に置きたい」と考え、メーカー各社に片っ端から連絡。唯一返信をくださった一社との出会いが、現在の事業への第一歩となりました。

カプセルトイ市場に新風を吹かせる 常識を疑う企画力と女性視点

ーー貴社のものづくりを支える、独自の理念について教えていただけますか。

佐藤明香里:
社内で掲げているキーワードは「クレイジー」という言葉です。これは単に突飛なものをつくるという意味ではありません。私自身、かつてはガチャに対して「子ども向け」というイメージを持っていましたが、その固定観念を壊し、大人が心から熱狂できるものをつくりたいと考えています。

そのために、「まずは常識を疑うことから始めよう」とクリエイターには伝えてきました。たとえば、キューブパズルは色が違うのが当たり前ですが、それをあえて、すべて非常に近い色でつくる。こうした少し尖った発想が企画の原点になっています。

そうした理念を形にする上で、最近のカプセルトイ市場においては、ただ飾って可愛いだけでは当たり前だと捉えています。そこで私たちが重視しているのが、ただ飾るだけではない「使えるカプセルトイ」という付加価値です。毎月何百という新商品が登場する中で選ばれるためには、一度で満足させず、シリーズでそろえたくなる仕掛けや、インパクトと実用性といった付加価値が欠かせないのだと確信しています。

ーー貴社の組織体制には、どのような特徴があるのでしょうか。

佐藤明香里:
最大の強みは、社員の約8割が20〜30代の女性である点です。カプセルトイ業界は男性中心の傾向がありますが、後発の私たちは他社と同じことをしていては目立ちません。だからこそ、女性ならではの視点を生かした企画力は大きな強みです。

私たちが面白いと感じた企画が、当初は仕入れ担当の方に響かないこともありました。しかし、SNSでの小さなバズを積み重ねることで、高確率で話題を生み出せるメーカーとしてポジションを確立できたと考えています。

クリエイターの魅力で世界にポジティブな「輪」をつくる

ーー今後の事業展開について、どのような構想をお持ちでしょうか。

佐藤明香里:
実は、カプセルトイという商材にはこだわっていません。私の中では、あくまでブランドの認知を広げるための一つのツールだと捉えています。現在、中国や韓国などのアジア圏、さらにはヨーロッパ諸国からもお声がけをいただいている状況です。こうした海外市場のニーズに合わせ、展開を広げていく考えです。具体的には、引き合いの強いコンテンツをブラインドボックス形式の商品にしたり、キャラクターとして育てたりしたいと考えています。

その際の戦略は、「モノ」ではなく「ヒト」です。クリエイター自身にファンをつけていきたいという思いが強くあります。SNS戦略を駆使してクリエイター自身の魅力を発信し、「この人が手がけているから買う」という購買動線をつくり出すことが目標です。

ただ、昨年度から売上規模が倍以上に拡大しており、こうした構想に対して出荷体制や社内連携といった組織づくりが追いついていないことが一番の課題です。内部の地盤が固まっていなければ、商品だけが先走ってしまうという危機感があります。そのため、リーダーの育成や管理部門の強化といった組織体制の整備が、今まさに取り組むべき急務だと認識しています。

ーー最後に、これからの会社を担う社員へのメッセージをお話しいただけますか。

佐藤明香里:
弊社はまだ規模が小さく、手厚い研修制度があるわけではありません。そのため、与えられるのを待つのではなく、自ら課題を見つけ、自分の意見を持って提案していく主体性が非常に重要です。どのポジションにおいても、常にアンテナを張り、自分ならどう面白くできるかを考え、発信してほしい。そうして頑張った分だけ評価される環境で、成長を実感してもらいたいですね。

社員の活躍を通じて一緒に実現したいのは、社名の「リンク」に込めた思いです。笑顔やポジティブな連鎖を生み出したいと考えています。私たちの商品がきっかけで会話が生まれたり、友だちができたりする。そうした、人と人とのつながり、「輪」ができる瞬間に立ち会えることが、何よりのやりがいです。これからも、作り手とファンの双方にとってポジティブな連鎖を生み出せる存在でありたいと思います。

編集後記

「自分がどうすれば目立てるか」。その問いから始まった佐藤氏の挑戦は、カプセルトイ業界に新しい風を吹き込んでいる。常識を疑うことから生まれるクレイジーな企画と、それを形にする女性ならではの視点。その両輪が、人々を熱狂させるヒット商品を生み出す原動力となっている。カプセルトイの枠組みを超え、クリエイターと共に世界へと乗り出していく同社の飛躍が楽しみだ。

佐藤明香里/青山学院大学比較芸術学部に在学中の2014年頃より活動を開始し、2018年に株式会社ブライトリンクを設立。2019年に初商品となる「枯れない盆栽のカプセルトイ」をリリースし、その後同業界へ本格参入。自社ブランド「ガチャっと!」を立ち上げ、若手女性メンバーが主導する唯一無二の企画制作会社として急成長。2024年にブランド名を社名と統一し、さらなる展開を加速させている。独自の視点による企画力が支持され、2025年には「うちの子のけだまだま」が累計200万個を突破。業界に新たな風を吹き込み続けている。