
「20代前半のころの私は、履歴書を送っても面接にすら呼んでもらえなかった」。そう語る大賀氏は今、GoogleやAmazon出身のトップ層が参画するマーケティング会社を率いている。同氏がつくったのは、気合いや根性に頼らず、自動的に売上が上がり続ける「仕組み」だ。なぜ、特別なスキルもなかった若者が、年商10億円規模の企業を救うマーケティング集団をつくれたのか。その裏側には、徹底して無駄を嫌う、彼なりの生存戦略があった。
日商数億円のパチンコ店で見た「凡人が勝つ」ための答え
ーーまずは、起業する前の話から聞かせてください。20代の頃はどんな仕事をされていたのですか。
大賀聖也:
20歳くらいのときは、本当にただのフリーターでした。引っ越しの派遣や、パチンコ屋での勤務に励んでいました。履歴書を送っても全然相手にされない状態だったので、生活費を稼ぐためにとにかく必死でした。でも、そのパチンコ屋でのバイトが、今の自分の原点になっています。
ーーパチンコ屋での経験が、今のマーケティング会社にどう繋がるんでしょうか。
大賀聖也:
私がいた店は地域一番の繁盛店で、1日に数千万円が動くような巨大な店舗でした。そこで働いているスタッフは当時の私を含め、特別な学歴もスキルもない若者が多くをしめていました。世間から見れば、社会生活が困難だと思われかねないメンバーが集まっていました。それにもかかわらず、店は完璧に運営され、凄まじい利益を出していました。なぜ、成果を出せたのだと思いますか?
ーー教育が徹底されているから、などでしょうか。
大賀聖也:
教育も徹底されていましたが、それ以上に仕組みが完璧だったからです。どのタイミングで清掃に入るか、どうやって会員カードをお勧めするか。すべてがマニュアル化されていて、誰が行っても同じ結果が出るように設計に感動したのです。「優れた仕組みがあれば、個人の能力に依存せずビジネスは勝てるんだ」と確信しました。私が今取り組んでいる「マーケティングの自動化」も、考え方はこれと全く同じです。カリスマがいなくても、勝手に商品が売れていく仕組みさえつくれば、どんな企業でも勝てます。
「25歳で辞める」と宣言して入社 1500万円の借金で時間を買った

ーーその後、リクルートに入社されますが、4年で独立されていますよね。
大賀聖也:
はい。入社の面接で「25歳で起業したい」と宣言していたので、その約束通り、25歳の誕生日のころに辞めました。実は辞めた時点では、何をやるか具体的に決まっていなかったのです。最初はWebサイト制作から始めましたが、すぐに「これは割に合わない」と気づきました。自分で手を動かして納品して終わり、というやり方だと、どれだけ働いても大きな売上にはならないからです。
ーーそこで、どう軌道修正したんですか。
大賀聖也:
リクルート時代に学んだ「ビジネスは他人のお金(資本)を使って伸ばすもの」という教えを実行しました。まだ実績も少ない状態でしたが、制作案件の請求書を実績代わりにして銀行を回り、トータルで1500万円を借り入れました。そして、その資金で、すでに収益が出ているWebサイトを買収(M&A)したんです。ゼロからサイトをつくると時間がかかりますが、買収して改善すれば、最初から収益が上がった状態でスタートできるからです。
ーーいきなり1500万円の借金とは、思い切りましたね。
大賀聖也:
最短で結果を出したかったのです。私は面倒くさがりなので「どうすれば一番楽に、最短でゴールできるか」ばかり考えています。根性に頼るのではなく、パズルを解くようにビジネスの攻略法を見つけるのが好きなんです。
「原理原則」さえ押さえればどんな商売でも売上は作れる
ーー今の貴社の事業について教えてください。
大賀聖也:
簡単に言うと、企業の集客から販売までを自動化する支援をしています。SNS広告でお客様を集め、動画で商品の魅力を伝え、最終的な成約までを仕組み化します。経営者が不在でも、商談が入って商品が売れる状態を作るのが私たちの仕事です。
ーーなぜ、貴社の仕組みを使うと成果が出るのでしょうか。
大賀聖也:
流行りのテクニックではなく「商売の原理原則」に忠実だからです。ビジネスは結局、「欲しいと思っている人を集めて」「適切な提案をして」「断られない条件で売る」、これだけなんです。売れない時は、このどこかがズレているだけ。私たちはそのズレを修正し、誰が行っても売れる状態をつくっているだけなんです。
ーー今後の会社の目標を教えてください。
大賀聖也:
まずは通過点として、売上高100億円を目指しています。今、社内にはGoogleの元エンジニアやAmazonの元幹部といった、非常に優秀な人たちが集まってくれています。彼らの知見を借りながら、独自開発のマーケティングに特化したAIエージェントでのSaaS事業、メディア事業、EC事業にライブコマースなど、マーケティングの力を使ってあらゆる事業を伸ばす組織をつくりたいですね。
安定なんてない だからこそ「自分の可能性」に賭けてほしい
ーー最後に、これから働く若い世代にメッセージをお願いします。
大賀聖也:
「生活のために働く」とか「将来のために安定する」とか、そういう呪縛からは早く解放された方がいいと思います。私も20代のころは何も持っていませんでしたが、一つひとつの仕事に向き合い、仕組みを学んだことで人生が変わりました。これからの時代、AIが進化すれば単純作業はなくなって、人間はもっと「暇」になります。その暇な時間をいかに面白く、クリエイティブに使えるかが勝負になる。弊社は今、急成長中で人手が足りていません。優秀なプロたちの隣でビジネスの勝ち方を学びたい人、自分の人生をもっと面白くしたい人は、ぜひ一度話を聞きに来てください。
編集誤記
大賀氏との対話で最も印象的だったのは、彼が語る「仕組み」への圧倒的な信頼だ。かつて何者でもなかった自分を、個人の能力に関わらず利益を生み出す「完璧なシステム」が救った。その原体験こそが、現在の自動化マーケティングの根幹にある。最短距離でゴールするために、1500万円もの借金をしてまで時間を買うという合理性は、自身の可能性を誰よりも信じている証拠だろう。徹底して無駄を削ぎ落とした先に、彼がどのような「帝国」を築き上げるのか、その飛躍が楽しみでならない。

大賀聖也/1993年生まれ。20代前半はフリーターとして過ごし、その後リクルートへ入社。25歳で独立し株式会社LASTPASSを創業。Webマーケティング事業を開始する。現在はSNS広告運用や動画マーケティングを駆使し、企業の売上拡大を支援する傍ら、アパレルブランドの展開なども手がける。目標は年商100億円。