
ゲーム領域に特化し、マーケティングからコンテンツ制作、配信者支援まで多角的な事業を展開するGLOE株式会社。同社は「ゲームをきっかけに人と社会をHAPPYにする。」というミッションを掲げ、単なるエンターテインメントにとどまらないゲームの新たな可能性を追求し続けている。創業10周年という節目を迎え、独自の価値基準である「美学」を組織の核に据え、次なるステージへと歩みを進める同社。今回、代表取締役の谷田優也氏に、これまでの軌跡と事業の核心、そしてゲームと共に生きる未来像について話を聞いた。
狂気とも呼べる熱量が感動を生む AI時代に必要な決断の価値
ーーまずは、事業を行う上で大切にされている「軸」についてお聞かせください。
谷田優也:
創業してから10年が経ちますが、毎年違う仕事をしてきたように感じています。その中で一貫して考えてきたのは、人が何に感動し、心を震わせるのかということです。たとえば、お笑いやスポーツなど、入り口は誰でも触れられるような事柄であっても、それを数千、数万時間という「狂気」とも思えるほどの熱量でやり抜く。その圧倒的な努力の先にあるアウトプットこそが、見る人の心を動かすのだと確信しています。
私たちにとってのそれは、ゲームをやり続けた先に生まれる表現でした。月に300時間もの生配信を何年も続けるストリーマーのように、常人には真似できない時間を投下し、独自の価値を生み出している人たちが存在します。そうした突き詰めた努力が正当に評価され、その価値が担保される世界をつくりたい。これが、この10年間変わらない思いです。
ーー10周年を迎え、組織として新たに重視されている指針について教えてください。
谷田優也:
バリューをアップデートし、特に「美学を持って決断する」という点を重視するようになりました。現代はAIの登場により、論理的に正しい答えを誰でも導き出せる時代です。だからこそ、「なぜこうするのか」「自分はこうしたい」という個人のこだわりや美学に基づいた意思決定の価値が、相対的に高まっていくと予想しています。この考えは、当然社員一人ひとりにも求めており、常に「本当にそう思っているのか」と問いかけ、「あなたじゃないと駄目だ」と思われる仕事をしてほしいと伝えてきました。
最近では、部長クラスの社員が「これは美学がないから駄目ですね」と発言するなど、組織にも良い変化が生まれています。トップの考えを実現するだけの組織ではなく、社員全員が自らの美学をアウトプットできる場所でありたい。それぞれのこだわりを発揮できる人間が集まる会社こそ、これからの時代に価値を高めていけると信じています。
熱烈なファンを束ねる新たな広告媒体の形

ーー改めて、現在の事業内容について、詳しくうかがえますか。
谷田優也:
事業の柱は大きく2つに分けられます。一つは、法人向けにソリューションを提供するゲーム特化型のBtoB事業です。弊社の強みは、ゲームの特性やコミュニティの熱量を深く理解している点にあります。SNS運用から広告まで対応し、ゲームの価値を最大化する提案を継続してきました。
もう一つ手がけているのが、配信者らと共にコンテンツを創り出すBtoC事業です。巨大市場となったゲーム配信領域で、ファンが「時間を使ってよかった」と思える体験を共創してきました。花火ショーの企画やミュージカル制作など、活動は多岐にわたります。
これら2事業が深く連携している点が大きな特徴です。BtoBのマーケティング知見はBtoCの拡散に活き、BtoCで築いた信頼関係はBtoB施策で独自の強みとなり得ます。この相乗効果により、近年は弊社へ、一般企業からのZ世代向けマーケティング相談も急増しています。
ーー今後の事業展開において、現在どのような取り組みに注力されていますか。
谷田優也:
現在、「SCOP(スコップ)」という、次世代の配信者を育成・支援するプラットフォーム事業に注力しています。これは、まだ収益化できていない大多数の配信者が、活動を継続し成長していくための仕組みです。現在、トップ配信者はほんの一握りで、実に99%以上が十分な収益を得られていません。彼らが活動を諦めずに済むよう、著作権や広告に関する教育を無償で提供し、早期に収益化を支援することで、業界全体のエコシステムを健全に育てていきたいと考えています。
また、このプラットフォームは広告媒体としても非常に高い価値を秘めています。弊社の検証では、小規模な配信者ほど視聴者との距離が近く、ファンの熱量(エンゲージメント)が高いという結果が得られました。具体的には、視聴者100人規模の配信者わずか10人で、視聴者1万人を抱えるトップ配信者1人分に相当する広告クリック効果を達成。つまり、一人ひとりのファンに対する影響力は、トップ層の10倍にも及ぶということです。この「個の熱量」を束ねることで、従来の広告とは一線を画す高い投資対効果を実現できるのです。
現在、弊社のプラットフォームに参加している約300名の配信者が生み出す総視聴時間は、日本全国すべての映画館で1カ月間に上映される、広告の総接触時間を上回る規模です。Z世代がこれほどまでに時間を投じている場所は他にありません。彼らにダイレクトにリーチしたい企業にとって、極めて投資対効果の高い、新しい時代の広告媒体になると確信しています。
目指すのは人生のあらゆる場面にゲームが根付く社会
ーー求める人物像と、貴社で働くことで得られる経験や成長についてお聞かせください。
谷田優也:
弊社が掲げる4つのバリュー、「美学・美意識」「透明性+自律性」「プロ意識」「勝利によって利益を」に共感し、体現できる方と共に働きたいと願っています。特に重視しているのは、自分の本心に誠実であること、そして、本当に思っていることを正直に伝える力をもっていることです。嘘や取り繕いはすぐに見抜かれてしまうため、本心からの言葉や行動ができる方を求めています。
また、弊社では社員に対し、圧倒的な「決断の数」を経験できる環境を提供しています。人の成長速度は、どれだけ多くの決断をしたかで決まるからです。年齢に関係なく大きな裁量権を任せ、「まずはやってみなさい」と背中を押す文化を大切にしてきました。
常に決断を迫られる環境でこそ、「自分はどうしたいのか」という美学が磨かれ、最速で成長できるはずです。今後は海外市場への展開も加速させていくため、グローバルな挑戦を志す方にとっても、最高の舞台が整っていると思っています。
ーー最後に、これからの10年でどのような未来を実現したいと考えていますか。
谷田優也:
弊社は、ゲームを単なる「暇つぶし」で終わらせない「ゲーミングライフスタイル」を提唱し続けていきます。これは、ゲームが教育や健康、そして自己実現の手段となり、日常のあらゆる場面で「ゲームという選択をして良かった」と思える豊かな人生のデザインを指すものです。
たとえば、ゲームを通じて培った思考力が勉強や仕事の役に立つ世界、あるいは高齢者がゲームを楽しみながら健康や認知症予防を実現できる未来を、弊社は本気でつくろうとしています。また、配信者が独自の表現でファンを感動させ、それを職業として自立できる環境を整えることも、このライフスタイルを支える重要な一翼です。
生まれてから最期の瞬間まで、ゲームを愛する自分を誇りに思い、「良い人生だった」と胸を張れる社会。そんなゲームの可能性が最大化された日常をデザインするため、弊社は世界中で最も多くのゲーム関連ビジネスを創出する企業へと突き進みます。
編集後記
「人は何に感動するのか」。この問いに対し、谷田氏は「圧倒的な熱量を投じた先に生まれる結晶こそが答えである」と確信を持つ。論理的な正しさだけでは到達できない、個々の内面から湧き出るこだわりを尊重する姿勢が組織の隅々にまで浸透している。日常のあらゆる場面で自らの選択を肯定し、豊かな人生を謳歌できる社会の実現。既存の枠組みに捉われず、新たな価値を創出し続ける組織の歩みは、これからも着実に文化を形づくっていくだろう。

谷田優也/IPデジタルコンテンツのプロデュース業を経て、2015年11月に日本初のeスポーツ専門会社としてGLOE株式会社を設立。2022年11月には、eスポーツ事業として国内初の上場を果たした。「We are the GAMING LIFESTYLE Company.」をビジョンに掲げ、ゲームを起点として人と社会をHAPPYにするソリューション、サービス、プロダクトを多角的に展開している。