
ファッションブランド「Re Strada(レストラーダ)」や、クリエイター支援プラットフォーム「osaRe:(オサレ)」を展開する、株式会社SKY’S THE LIMIT。同社は商品を売るだけでなく、挑戦の機会や人とのつながりといった可能性を提供することで独自の価値を創出している。その根底には、大手専門商社時代に抱いた「ビジョンなく働く大人」への違和感と、「一度きりの人生を末広がりにしたい」という強い思いがある。代表取締役の兼丸昌也氏は、「自分と人の可能性を信じて挑戦し続ける」という信念を掲げ、スタッフ一人ひとりが事業の当事者となる組織文化を築き上げた。兼丸氏が描く、挑戦者であふれる社会の未来像に迫る。
収入は貢献と成長の面積 理想とのギャップから選んだ社長の道
ーーキャリアのスタートについてお聞かせください。
兼丸昌也:
大学卒業後、電設資材を扱う専門商社に入社しました。当時は「起業は特別な人がするもの」だと考えていたため、その会社で出世し、家族と幸せに暮らす未来を描いていたのです。しかし、10年、20年先を行く先輩方の姿を間近に見た際、理想とのギャップを痛感しました。なぜなら、与えられた仕事を淡々とこなす方が多く、ビジョンを持って生き生きと働く大人が少ないと感じたからです。
もちろん仕事の技能など尊敬できる点はたくさんありましたが、自分も同じように染まっていくのかと危機感を覚えました。そして、「一度きりの人生、もっと胸が躍るような、末広がりになる生き方をしたい」。そう願い、より良い人生をつくるための挑戦が始まりました。
ーー人生の転機となるような出会いはありましたか。
兼丸昌也:
大学時代の先輩に紹介していただいた、ある経営者との出会いが大きな転換点となりました。その方から「収入とは、貢献と成長の面積のようなものだ」と教わったのです。横軸が他者への「貢献」、縦軸が自分自身の「成長」を表し、このかけ合わせによって生まれる面積の分だけ、収入が得られるという考え方です。
たとえば、世界的なアスリートが収入にこだわるのは、それだけ多くの人に夢を与え、社会に貢献している証でもあります。この話を聞き、それまで抱いていた「稼ぐこと」への心理的な壁がなくなりました。会社員や自営業者とは違い、社長という立場には制限がありません。得た利益を次の事業や仲間に投じることで、日本を元気にしていける点に、強い魅力を感じました。
事業は全て「人」が起点 夢を叶えるアパレルと危機を救った絆
ーー新たな事業を始める際にはどのようなことを大切にされているのでしょうか。
兼丸昌也:
「何をやるか」以上に「誰がやるか」を重視しています。弊社の事業は全て「人」が起点です。スタッフの「ブランドを立ち上げたい」という熱意を受け、開始を決断したのがアパレル事業でした。現在はアパレルにかかわる2つの事業を展開しています。
1つは、サステナブルファッションブランド「Re Strada(レストラーダ)」です。服はあくまで「サブ」であり、着る人の人生に寄り添うアイテムと定義し、着る人自身のセンスが光るような商品を提供しています。
もう1つは、クリエイター支援プラットフォーム「osaRe:(オサレ)」です。こちらはアパレル業界を志す学生や若手に、ポップアップストア出店などの挑戦の機会を提供することが目的です。意欲ある人の夢を叶えるサポートをしたり、会社に投資したりすることで、日本を元気にしていきたい。それが私の事業に対する根本的な思いです。
ーーコロナ禍という逆風を、どのように乗り越えられたのでしょうか。
兼丸昌也:
日頃から築いてきたファンの方々との絆や、ご紹介を通じた広がりに助けられました。私たちがこだわっているのは、ツール越しではない「リアルな人とのつながり」です。スタッフには常々、とにかく人とつながり、人を大事にすることを伝えています。
信頼関係において、何かあったときだけ行動しても意味はありません。恋愛に例えるなら、トラブルがあったときだけプレゼントを贈るようなものです。何でもない日に相手を思い、役に立ちたいと願う「人への愛情」こそが本質だと考えています。
こうした姿勢を貫いてきたからこそ、苦しい時期でも「あなたから買いたい」と多くの方が支えてくださいました。その結果、会社として大きな売上減少を招くことなく、危機を乗り越えることができたのです。
「先義後利」で挑む青天井の未来 雪だるまの芯をつくる組織論

ーー組織づくりにおいて大切にされている考えについてお聞かせください。
兼丸昌也:
スタッフには常々、「先義後利(せんぎこうり)」の精神を伝えています。先に義、つまり相手への貢献を徹底すれば、利益は後からついてくると考えています。利益を追う前に、まずは相手の役に立つことを最優先する。商品やサービス以上に「自分という人間」を買っていただけるよう、高い技能とエネルギーを持って接することを求めています。
こうした姿勢を支えているのは、メンバー一人ひとりが持つ「自分の事業だ」という高い当事者意識です。彼らは、仕事の好き嫌いや定時といった枠組みにとらわれていません。自分の責任を果たしたうえで、仲間のために自ら動く。そんな「自律したチーム」であることが私たちの強みです。
この理想的な組織を築くために、私は採用において「雪だるまの芯」をつくることにこだわっています。雪だるまを大きく転がす際、中心となる芯がもろければ途中で崩れてしまいます。だからこそ、まずは事業責任者を目指す意欲ある人材を厳選し、私のリソースを全力で投下して「固い芯」へと育て上げる。その芯となるリーダーが次の仲間を巻き込んでいくことで、組織は力強く成長していくのです。
ーー最後に、今後の展望についてお話しいただけますか。
兼丸昌也:
私の軸である「自分と人の可能性を信じて挑戦し続ける」という信念を、社会に広げていける会社でありたいです。自分にはできないと諦めるのではなく、「同じ人間なのだから、あなたにもできるはずだ」と互いの可能性を信じ、高め合える。そんなポジティブな関わりが増えれば、日本はもっと良くなると信じています。
そのためにも、「自分にはできる」と信じ、前向きに物事を捉えられる方と一緒に働きたいと考えています。こうした姿勢は研修で身につくものではなく、その人の生き方が表れる部分だからです。自分の人生を良くするだけでなく、社会に貢献したいという気概のある方を求めています。働き方について相談しながら、人生を共につくっていく「バディ」としてお会いできることを楽しみにしています。
事業としては、現在東京が中心のビジネスを全国へ展開していきます。意欲ある人と組み、各地に拠点を構えることで、地域を盛り上げていく方針です。弊社は、自らの可能性に限界を設けず、どこまでも挑戦し続けられる環境を整えています。キャリアアップを目指す方も、家庭と両立しながら挑戦したい方も歓迎します。
編集後記
「自分と人の可能性を信じて挑戦し続ける」。取材中、兼丸氏が繰り返し口にしたこの言葉は、単なるスローガンではなく、同氏の生き方そのものである。商社時代に抱いた違和感を原動力に、自らの人生を切り拓いてきた経験が、スタッフの当事者意識を育む組織文化の礎となっている。単に商品を売るだけでなく、若手に挑戦の機会を提供し、その夢を後押しする事業モデルも、この信念から生まれた必然にほかならない。飽くなき探求心で、志ある人々があふれる社会をつくるという壮大なビジョンに向け、同社の歩みはこれからも続いていくことだろう。

兼丸昌也/1986年長野県生まれ。関東学院大学文学部比較文化学科卒業後、専門商社に入社。営業・事業推進を通じてビジネスの基礎を磨き、転職を経て独立。現在は株式会社SKY’S THE LIMIT代表取締役として、アパレル事業など小売業を中心に事業開発、組織づくり、人材育成を手がける。経営の現場で培った経験をもとに、価値創造と長期視点の経営哲学を発信している。