※本ページ内の情報は2026年3月時点のものです。

大阪を拠点に、焼肉、焼き鳥、海鮮など多様な業態の飲食店を展開する株式会社オーゼットカンパニー。同社は「日本で一番、乾杯の声が聞こえるお店」というコンセプトのもと、元気な接客とスタッフ主導の店づくりでファンを増やしている。特筆すべきは、飲食業界の常識を覆す高水準の給与体系と、メンバーを家族のように大切にする経営姿勢だ。今回、同社代表取締役の岡本匡洋氏に、2028年の100店舗達成を目指し、関東への進出も加速させる組織づくりへのこだわりと今後の展望について話を聞いた。

不満を原動力に変える業界基準の刷新

ーー飲食業に携わることになった原点と、歩みの中で感じた業界の課題をうかがえますか。

岡本匡洋:
きっかけは19歳の時、親族がフランチャイズ店を立ち上げたことです。当初は業界への知識もなく、特段のやる気があったわけでもありません。修行経験がないまま飛び込んだ結果、わずか2ヶ月で脱退を余儀なくされました。

しかし、手元には店が残っていました。私には、この場所を守り、食べていくために必死で働く以外の選択肢はありませんでした。必死に自力での運営を軌道に乗せた結果、一人の経営者として十分な収入を得られるようになりました。当初は、自分の生活が潤えばそれで満足だと考えていたのです。

しかし、現在の役員との出会いが私の転機となりました。彼から業界に対する「格好悪い」「給与が低い」といった数々の不満を耳にしたのです。同じ飲食業に身を置き、現場で必死に戦ってきた一人として、私は激しい憤りを感じました。文句ばかり言われているこの現状を変えられるのは、俺しかいない。その時、強くそう確信したのです。

自分一人が稼いで満足していても、業界の評価は変わりません。圧倒的な店舗数と実績を作り、業界の中で自分の意見が通る立場になる。そうすれば、飲食業界の基準を自分たちの手で塗り替えられる。この決意が、多店舗展開へと突き進む大きな原動力となりました。

ーー接客において、最も大切にしている姿勢についてうかがえますか。

岡本匡洋:
お客様を元気よく迎え入れ、元気よく送り出す。会社を立ち上げた当初から今日まで、この信念だけは一度も揺らいだことはありません。私たちの接客の真髄は、この一点に尽きると考えています。

暗い店より明るい店で食事をする方が、料理も美味しく感じますし、何より楽しい気分になれるはずです。特別なサービスをするというよりは、挨拶や活気といった当たり前のことを徹底し、お客様に「来てよかった」「元気をもらえた」と感じていただきたいと考えています。そのプラスのエネルギーが、お客様の翌日の活力になれば嬉しいです。

信頼関係を構築する誠実な向き合い方

ーー共に働くメンバーとは、どのような向き合い方をされていますか。

岡本匡洋:
私は、共に働くメンバーを家族のような存在だと考えています。彼ら本人だけでなく、その背後にある家族まで大切に思うのが私のスタイルです。一人の人間として誠実に向き合い人生を共にするため、私は頻繁に現場へ足を運び、直接対話をする時間を何よりも重んじています。「家族」という言葉を、単なる理想で終わらせるつもりはありません。互いの信頼という実態を伴わせることを大切にしています。

また、新しい店舗を作る際は、現場のスタッフたちが「働きたい」と思う店を作ることを重視しています。そのため、各チームのメンバーが意見を出し合い、自分たちが働きたいと思える店を形にしています。自分たちのアイデアが反映されることは、働くうえでの大きなモチベーションになりますし、結果としてお客様にとっても魅力的な店づくりにつながると信じています。

ーーメンバーの意欲を高めるため、具体的に取り組んでいることを教えてください。

岡本匡洋:
私がメンバーにしてあげられる最大のこと、それは「お金」で報いることだと考えています。精神論だけでなく、目に見える形で豊かになってもらいたい。だからこそ、大阪の飲食業界で一番高い給与水準を目指しています。現在は初任給を33万円からとし、さらに上げていく予定です。1000万円プレイヤーを100人輩出するのが私の夢であり、目標です。そうすることで、「飲食業は稼げない」という世間の固定観念を覆したいのです。

夢を持って活動できる活躍の場の創出

ーー組織運営において、特に注力している課題はありますか。

岡本匡洋:
社内から人間関係の理不尽さをなくし、互いに尊重し合える組織を作ることに注力しています。どの業界でも、心ない言葉や態度で相手を不快にさせてしまうケースは少なからず存在します。しかし、弊社においてそうした要素を一切残したくないと考えています。もちろん、人間ですから完璧ではありません。だからこそ、私が頻繁に現場へ足を運び、もし周囲への配慮に欠ける言動があればその場で正し、私自身の振る舞いを見せることで、意識の改革を促しています。スキル以上に素直さや人柄を採用基準として重視しているのも、そうした理由からです。

ーー今後のさらなる事業拡大に向けた、展望をお聞かせください。

岡本匡洋:
2028年までに100店舗体制を構築する計画です。大阪ではすでに多くの店舗を展開し、地域の方々に厚くご支持いただいています。この強固な基盤を軸に、さらなる飛躍の舞台として、より人口の多い関東圏に大きな可能性を感じています。実際に、東京や横浜のお客様は私たちの接客に対して非常に反応が良く、温かい言葉をかけてくださる機会が多いと感じています。

店舗を増やすことは、メンバーの活躍の場を広げることでもあります。これからも、メンバーが夢を持って働ける環境を作り続け、関わるすべての人を笑顔にできる会社を目指します。

編集後記

飲食業界の地位向上を志す決意は強固である。岡本氏自らが現場へ足を運び対話を重ねる姿勢は、働く環境をより良くしたいという思いを体現している。給与水準の引き上げや、相互に尊重し合う組織風土の構築は、業界に新しい価値観をもたらすはずだ。関東でのさらなる拡大を見据える歩みには、全従業員の未来を背負う経営者の意思が込められている。一人の人間として誠実に向き合う文化が、関わる人々の笑顔を生み出す原動力になるに違いない。

岡本匡洋/1982年、大阪府生まれ。19歳で焼き鳥チェーンのフランチャイズオーナーとして初出店を果たす。その後、わずか2ヶ月で独立を決意し、「とり藤」をはじめとする居酒屋・バルの独自運営へ転換。この成功が現在のキャリアの原点となる。2009年、株式会社オーゼットカンパニーを設立し、代表取締役社長に就任。現在は大阪・東京を中心に多様な業態の飲食店を展開し、従業員・アルバイト合わせ約480名、数十店舗規模を誇る企業グループを牽引している。